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【第2回】世界に広がる「ソフト・アプリ自動テスト」の波。MagicPodが提供する“日本らしい”自動化ツールの魅力とは?/~ソフトウェアテスト自動化の今とこれから~

今後、ソフトウェアやアプリの「テスト自動化」のグローバル市場は大幅に拡大していくと予測されています。

世界的にテスト自動化ツールが注目される中、ノーコードでソフトウェアテストの自動化を実現させる、AIテスト自動化プラットフォーム「MagicPod」を運営する株式会社MagicPodには、グローバル市場において“優位な点”があるといいます。果たして、どんなものなのでしょうか。

MagicPodのメンバーが3回にわたって「ソフトウェアテスト自動化の今とこれから」を解説する本連載。

第2回目となる今回は、2022年7月にMagicPodの海外事業担当として入社したセティ・クナール氏に、グローバルでのテスト自動化市場や、MagicPodの強みについてご寄稿いただきました。

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ソフトウェア自動テストを活用している企業はどれぐらい?

最初に、ソフトウェアテスト自動化のユーザーデータに関する統計(PractiTest Ltd.,Research Nester調べ)を紹介します。

出典:PractiTest Ltd.

こちらは40カ国のソフトウェア会社1000社(2022年6月時点、従業員数30名以上)に対するアンケートです。

ソフトウェア自動テストを活用している企業は全体の88%、自動テストによって手動テストの作業を100%置き換えることに成功した企業は3%でした。100%までは届かずとも手動テストの50%を自動テストに置き換えた企業は46%でした。

2020年は36%だったので、2年足らずで10%も成長していることになります。自動テストに興味のある企業に取ったアンケートだとしても、かなりの伸びと言えます。

どんなテストを自動化しているのか?

次にソフトウェア自動テストの活用フェーズについての統計を見ていきましょう。

出典:PractiTest Ltd.

自動テストの用途として最も多いのは「Functional Testing(機能テスト)」です。2022年で73%、2020年でも75%と回答されています。

次に多いのが「Unit Testing(単体テスト)」で、こちらは2年前に比べて7%減っています。3番目に多いのが「CI/CD(継続的インテグレーションとデリバリー)」です。こちらも統計上は減少傾向にあります。

2019年時点では、2個以上のテストで自動テストを使用していると答えた企業が20%強だったのですが、2022年版では40%に増えています。テスト自動化に成功した企業がより多様なテストで自動テストを使おうと模索しているのが分かります。

テストの何%をQAチームが担っているのか?

次に「テストの何%をQAチーム(品質管理を担当するチーム)が担っているか」というデータを見ていきましょう。

出典:PractiTest Ltd.

QAチームやQA担当者が全てのテストを担っている企業の割合が2020年では10%、2021年では15%、2022年では18%となっており、年々増えているのが分かります。

増えている要因として、「コンプライアンス管理」「より早いリリースサイクルが求められてる」といった理由が挙げられ、それらによって専任担当者の必要性が増しています。

同じアンケートでは全ての企業が「正しいツール選択のために専任のQAメンバーを置いている」と回答。より多くのテストプロセスを早く、少ないマージンオブエラー(安全域)で効率化することを企業が期待しているのがうかがえます。

数カ月前まで素人だった僕は「QAチームを置く=手動テストが増える」と捉えていたのですが、むしろ逆でした。

技術が進歩し、ユーザーにとってアプリやWebサービスを問題なく使えることが当たり前になり、バグや不具合を残したままサービスをリリースしてしまうリスクへの考え方がよりシビアになってきた中で、専任の担当者に正しいツール、正しい自動化を選択してもらうため、QAチームを置く企業が増えています。

アプリのテスト自動化のグローバル市場

次にアプリのテスト自動化のグローバル市場に関するデータを紹介します。

出典:Research Nester

今後10年でアプリのテスト自動化のグローバル市場は6倍以上に成長し、世界のアプリ市場は2031年に1000億ドル(およそ13兆円)を突破すると予測されています。なお、2022年現在は2兆6700億円です。

ここまでアプリのテスト自動化の市場が急拡大しているのは、爆発的に増えているアプリ需要に対応するため、AIを活用したコードレスツールなどさまざまなテスト自動化が必須になっているからです。

5年前までは自動テストがなくても市場の規模に対応できたのですが、現在は自動テストをうまく使いこなせないと、現在の市場でポテンシャルを発揮できない状況になっています。

今後はテストを自動化しないとリリースサイクルやコンプライアンスに対応できず、生き残っていけません。さらに、継続的インテグレーション(CI)が当たり前になっていく中で、より複雑なアプリが増えて自動化の需要が高まることが予測されています。

アプリのテスト自動化のアジア市場

次にグローバルからAPAC(アジア太平洋地域)におけるアプリのテスト自動化市場を紹介します。

出典:Research Nester

APACは今後10年で8倍以上成長すると予測されています。グローバル市場の年平均成長率が20.6%であるのに対して、アジアの年平均成長率は23.2%になるとのこと。

また、2021年では5000億円程度だった市場が、2031年には3兆9000億円まで急拡大することが見込まれています。

グローバル市場の中でもAPACが突出しているのは、中小企業(SME)の成長です。アジア市場では2021年のアプリテストの自動化市場において大企業のテスト自動化の需要は58%で、中小企業は42%でした。これが2031年までに、中小企業が45%の需要を担うと予測されています。

3%の変化は一見すると小さいのですが、グローバルで爆発的に成長するアプリテスト自動化の需要の中で、中小企業が需要を引っ張るのはAPACだけで、ほかの地域は中小企業のシェアが横ばい、もしくは下がると予想されています。

つまり、APACでは中小企業のニーズが1つのドライバーになる可能性があるということです。

動的テスト・静的テストの市場規模

次に自動テストをDynamic Testing(動的テスト:実際に動かして検証すること)とStatic Testing(静的テスト:コードチェックなど、動かさずに検証すること)に分けたデータを紹介します。

出典:Research Nester

バーグラフで見られるように、Dynamic Testing、Static Testingともに大きく市場規模が成長することが予測されています。

パイグラフでは市場におけるシェアを示していますが、2021年にDynamic Testingが44%を占めていたのが2031年には47%、2035年にはStatic Testingと50:50になるとのこと。

Dynamic Testingのパイが大きくなる要因としては、アプリのリリース・アップデートのサイクル、セキュリティアップデートなど、今後さらに早いペースでの精度が求められるようになることが挙げられます。

Dynamic Testingなしではアプリなどを開発できない状況が続いたので、Dynamic Testingの平均成長率は現在約20%のところ、今後はおおよそ年25%に、一方Static Testingの年平均成長率は現在約20%のところコストカットによって23%になると見込まれています。

Static Testingによって85%のエラーを最初に検出できるという統計もありますが、今はそれ以上にアプリのリリースサイクル・アップデートのサイクルが早まっている傾向にあります。

Dynamic Testingでプログラムを回してテストする需要が増えているので、Static Testingよりも急拡大するという予測も。

【セクター別】アプリ自動テストへの投資額

次が最後の資料で、APACのセクター別にアプリの自動テストへの投資額を表にしたものです。MagicPodにとってはこの数字が各セクターでのビジネスチャンスになります。

出典:Research Nester

全てのセクターでのアプリの自動テストの市場規模は、2031年までに年平均20%以上に成長していきます。また、市場企業規模が大きく成長するため、それぞれのセクターが2021年以降の10年間でアプリの自動テストに投資する額も増えていくとのこと。

今後、市場規模は年平均23%成長し、それに伴って投資額も年々増えていくと予測されています。2021年から2031年までの投資額の合計値で一番少ないセクターは運輸物流セクターですが、それでも約22億ドル(約3000億円)の投資が見込まれています。

年平均成長率・投資額ともに1位の「IT&テレコミュニケーション」セクターでは、APACだけで約70億ドル(約9306億円)もの金額がアプリの自動テストのために投資されると予測されています。

今後10年でAPACにおけるアプリの自動テストへの投資金額は膨大です。さらに、モバイルアプリの自動テストへの投資もAPACのスマートフォン需要の拡大に伴ってかなり大きく伸びると予想されています。

自動テストは確実に、そして加速度的に導入が進んでいきます。「リソースを減らしながらもきっちりやる」という流れがあるので、それができない会社は競争力が保てない状態になるでしょう。

MagicPodの日本らしさが世界で強みになる

ここまで自動テスト市場のユーザー側について紹介してきましたが、ここからはMagicPodを中心としたテスト自動化ツールを提供する側について紹介します。

グローバル市場においてMagicPodが優位な点は「すでに日本でかなり大きな企業がお客さまになっている点」です。

現在のグローバル市場には、まだ自動テストのトッププレイヤーがまだいませんか、海外でも日本と同じように使ってもらえる可能性があります。

MagicPodは今後の数年が勝負どころだと考えており、まず英語圏の国全てをターゲットにして薄く広く使ってもらうことを目指しています。

その意図は2つ。1つは料金がローコストで使い始めのハードルが低いことです。もう1つは、開発がプロダクトドリブン(経営戦略としてプロダクトによる価値提供に重きを置くこと)なので、たくさんの人に使ってもらうことで製品力の向上につなげるということです。

CEOの伊藤も、MagicPodのプロダクトドリブンな成長を目指してかなりのペースでアップデートサイクルを回しています。日本のお客さまは双方向のコミュニケーションを密に取ってくれるので、プロダクトドリブンであることは文化的にも合っています。

海外ではテストの現場で1つのアプリに対して大きなアプリでも2、3人しかテスターがいないことがよくあり、当然バグは多くなります。一方、日本は文化的に小さな間違いもよしとしないところがあって、日本企業のほうが完璧なテストを求めるためのコストを割いていると言えるでしょう。

その結果、MagicPodはグローバルのツールと比較しても、ものすごく機能が多くなっていると思います。海外から見たら「そこまでやる!?」という水準となっており、日本らしいです。

ただ、​​バグが多ければエンドユーザーは簡単に違うアプリに移ってしまうので、海外の企業も現状のままでよいとは思っていません。インドのように人件費が安い国でもテストオートメーションを導入しようとしている会社はたくさんあります。

グローバルへ向けてもMagicPod最大の強みが「ノーコード」や「AI」であることに変わりはないのですが、今後はさらに、海外のユーザーから「そんな機能もあるの!?」と思われるようなことをどうやって伝えていくかが大事だと考えています。

グローバル市場ではどの国、どの文化でも快適に使えるようにすることが求められますが、それをうまくやっている自動テストを提供している企業は今のところありません。MagicPodが評価されるためには、とにかくお客さまに使っていただく必要があります。

ビジネスサイドの私としても、お客さまと話してよさを宣伝するというのを続けていきます。しっかり宣伝してしっかりコミュニケーションが取れれば、「さすが日本製品。ちゃんとしてるな」と思われるようになると考えています。

日本発のグローバル企業へと進化を続けるMagicPod

最後に、私がMagicPodに入社した理由についてもお話しできればと思います。

私はもともとスタートアップに興味がなく、MagicPodに入るまではずっと大きな会社で働いていました。それが30代後半になり、「これから大きくなる会社で、もっと社会にインパクトを残すことに挑戦したい」と思うようになりました。

特に「大好きな日本で働いて日本に貢献したい、恩返しをしたい」という想いを強く持っています。

そんなときに出会ったのがMagicPodでした。MagicPodを選んだ理由はいくつかありますが、一番はCEOの伊藤です。

「この人のビジョンのお手伝いをすれば商品としてすごくチャンスがある」と思いましたし、伊藤は最初から明確に「MagicPodは海外で勝負します」と話していていて、一緒に働きたいと思うには十分でした。上司としても、伊藤のような人が自分には合っていると思いました。

実際に働いてみて、とても居心地のよい環境だと思っています。もちろんソフトウェア開発、自動テストというのは未経験の分野ですので不安はありましたし、正直、今もその不安は全くぬぐえていません。それでも頑張れるのは、MagicPodに対してこれからよくなるビジョンしか見えていないからです。

その成長性というのは、市場としてだけでなくプロダクトとしても、メンバーとしてもです。伊藤が採用しているメンバーはみんなとても優秀です。熱量が高くて、それぞれ裁量を持って仕事しています。これからも自由にのびのびと開発できるMagicPodであってほしいと思います。

自動テストは世界規模で社会を豊かにする変革のツールで、私はMagicPodがそのゲームチェンジャーだと考えて入社しました。MagicPodは日々進化しています。日本のノウハウを効率よく海外に伝えて、海外のノウハウを日本に伝えられるように。できる限りたくさんのお客さまとお話しすることが自分の役割だと思っています。

目標はMagicPodを日本発のグローバル企業、それもユニコーンクラスのグローバル企業にすることです。まだまだ道なかばのMagicPodではありますが、より多くの皆さまのお役に立てるように進化を続けていきたいと思っています。

次回はCEO伊藤から、テスト自動化の展望やMagicPodの未来についてご紹介します。

<著者プロフィール>

セティ クナール
株式会社MagicPod 海外事業部長

米ペンシルバニア州立大学卒。ゴールドマンサックス シンガポール、JPモルガン証券などで投資銀行や戦略コンサルタントの立場で数々のIT関連プロジェクトに関わった後、OYO Japanにて西日本の事業を統括。データに基づいたアプローチを得意とし、組織立ち上げ、プロジェクトマネジメント、カスタマーサクセス、営業、マーケティング、人材採用、ファイナンス等の幅広いスキルを有する。趣味は本と映画とサッカー観戦とテニス。急な関西弁とスケール違いのエピソードでメンバーを盛り上げる、神戸出身の日英バイリンガル。

■AIテスト自動化プラットフォーム「MagicPod」

「MagicPod」は、モバイルアプリテスト、ブラウザ(Webアプリ)テストの両方に対応したAIテスト自動化プラットフォームです。プログラミングなどの特別なスキルがなくても直感的に使うことのできるデザイン、クラウドでのサービス提供によるメンテナンス性の高さ、AI技術を活用した自動修正によるテストプログラム修正の手間削減などによりリリースサイクルの高速化を支援します。IT業界のリーディングカンパニーを中心にすでに500社以上の企業が導入しています。

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