クリスマスや忘年会など、何かとイベントが多くついつい暴飲暴食しがちな12月。その翌月の1月に、お酒を断ってお酒との付き合い方を見直す「ドライジャニュアリー」というチャレンジが注目を集めています。
今回は、日本初のノンアルコール専門商社である株式会社アルト・アルコの代表取締役 安藤裕氏に、ドライジャニュアリーの由来と起源、楽しみ方を解説していただきました。
ドライジャニュアリーとは?
みなさんはドライジャニュアリーという言葉をご存知でしょうか?
「乾燥した1月」「退屈な1月」という意味ではありません。
ドライジャニュアリーとは、クリスマスや大晦日などのイベントで何かと暴飲暴食しがちな12月の翌月である1月にお酒を断って、お酒との付き合い方を見直す月にしませんか?という今欧米で広まっている新しいトレンドです。
1月を目前に控えているということで、今日はドライジャニュアリーとその楽しみ方をご紹介します。
ドライジャニュアリーの由来と起源
ドライジャニュアリーの「ドライ」という言葉は、19世紀~20世紀に世界各地で起こった禁酒運動の時代に、禁酒運動反対派をWet(「湿った」を意味する語)派と呼び、禁酒運動賛成派をDry派と呼んでいたことに由来しています。
今やドライジャニュアリーは、とある調査で「アメリカ人の15%が参加している」と言われるほどの一大イベントとなっていますが、実は始まりは非常に個人的な試みだったことはあまり知られていません。
ことの発端は2011年、あるイギリス人女性が2月に行われるハーフマラソンにエントリーするところから始まります。
もともと走ることが好きではなかった彼女は、ハーフマラソンに向けたトレーニングの負担を少しでも軽くするため、1月は断酒をすることに決めました。
まるっとひと月も断酒するのは彼女としても初めての試みでしたが、体重は落ちる、よく眠れるようになる、体力がつくといったうれしい変化を経て、彼女は見事ハーフマラソンの完走に成功します。
しかし、物語はそこから始まります。彼女の断酒経験を聞いた友人・知人が、断酒経験の実態を知りたいと相談に来るようになりました。
翌年の2012年に、彼女がアルコール被害の軽減を目指すチャリティーに所属するようになると、さらに多くの人が彼女の体験談に興味をもつようになり、ついには今日のドライジャニュアリーに繋がっていったのです。
さらに翌年の2013年には最初のドライジャニュアリーがスタート。年を重ねるごとに参加者が増え、現在では世界中で数千万人規模の大イベントへと成長しました。
ドライジャニュアリーの楽しみ方
それでは、ドライジャニュアリーをどのようにして楽しめばいいでしょうか?
もちろん楽しみ方に正解なんてないのは百も承知ですが、いくつかの秘訣をご紹介します!
①仲間を見つける
②お酒に費やしていた時間とお金を有効に使う
③美味しいノンアルコールドリンクを開拓する
④真剣に向き合いすぎない
①仲間を見つける
ドライジャニュアリーの楽しみ方の1つ目は、一緒にドライジャニュアリーに取り組む仲間を探すことです。それは家族であっても、友人知人であっても、SNS上の仲間であっても構いません。
お互いに鼓舞しながら、「今日一日も飲まずに過ごせた」と報告し合える仲間の存在はとても大きいものです。SNSで「#ドライジャニュアリー」と検索してみると、仲間が見つかるかもしれません。
また、日本では2022年からドライジャニュアリーのイベントがパルコ主催で行われています。2023年も開催されるので、ぜひ情報をチェックしてみてください。
②お酒に費やしていた時間とお金を有効に使う
2つ目は、いつもなら飲んでいたであろう時間を有効活用することです。
お酒を飲まずに過ごしていれば、飲み会の帰りなど、いつもならお風呂すらおぼつかなかった時間に、積読になっていた本を読んだり、スキルアップのための勉強をしたり、趣味に時間を費やしたり、と一気にできることが広がります。
また二日酔いでつぶれていた(かもしれない)時間を、ちょっと贅沢なモーニングに使うのも素敵です。それでもきっと、トータルの出費は飲んでいた頃よりも抑えられるはずです。
③美味しいノンアルコールドリンクを開拓する
3つ目は、美味しいノンアルコールドリンクを開拓してみることです。
「美味しい料理と一緒に美味しいお酒を楽しみたい」という人にとっては、ドライジャニュアリーはどこか無味乾燥なものに思えるかもしれません。しかし、今は料理に合わせることのできるノンアルコールもたくさん登場しています。
これを機会に、ノンアルコールの世界を散策してお気に入りのドリンクを探してみるのもオススメです。
④真剣に向き合いすぎない
最後は、真剣に向き合いすぎないこと!これが一番大事なことかもしれません。
「ドライジャニュアリーをしようと意気込んだのに、お酒に手を出してしまった……。自分はなんて意志が弱いんだ」なんて気にすることはありません。
ドライジャニュアリーのそもそもの目的は「お酒との付き合い方を見直すこと」であり、断酒それ自体が目的ではありません。
ちょっと飲んでしまったということも、今の自分とお酒の関係を知るにはいい機会になるはずです。無理に背負い込まず、カジュアルに、そして冷静に楽しむことが最も大事です。
もう間もなく2022年も終わりとなりますが、ドライジャニュアリーに興味をもったみなさんは、ぜひ新年をドライジャニュアリーとともに迎えてみてください。
Have a Happy Dry January!
<著者プロフィール>
安藤裕
株式会社アルト・アルコ代表取締役大学在学時に渡仏、以降ワインの業界で経験を積み、2018年同社起業。著書に『ノンアルコールドリンクの発想と組み立て』(誠文堂新光社)。
- Original:https://techable.jp/archives/187733
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:はるか礒部