【2022年人気アイテム総まとめ】
密を避ける趣味や移動手段として、新しいライフスタイルの広がりとともに訪れたバイクブーム。その傾向は、2022年も継続どころか加速しているようで、新たに免許を取得する人や、久しぶりにバイクにリターンするライダーも増えています。
販売台数に目を向けても増加傾向は続いていて、特に251cc以上の小型二輪クラスは2022年の上半期は前年同期比で30%以上の躍進を遂げました。通勤・通学の足というよりは趣味性の高いカテゴリーだけに、このブームが一過性のものでないことを感じさせます。
そんな2022年のバイク業界のトピックを、人気モデルとともに振り返ってみましょう。
1. 空冷単気筒マシンが人気!? ホンダの「GB350/S」が大躍進
2021年、400cc以下の排気量で一番売れたモデルは長い歴史に幕を降ろしたヤマハの「SR400」でした。そして2番手がホンダの「GB350/S」。どちらも空冷単気筒エンジンを搭載したマシンです。令和の時代に、クラシカルなエンジンである空冷シングルが人気を集めるというのが面白い。
そして2022年の上半期、「GB350/S」は堂々の販売首位に躍り出ます。半年で6000台近くを売り上げ、小型二輪(251cc以上)全体で見ても販売台数はトップ。55万円〜というリーズナブルな価格も人気のポイントですが、発売時にここまで人気になると予想した人は少なかったでしょう(発売時の販売計画台数は年間で4500台でした)。
昔ながらの直立した空冷シリンダーを持つ「GB350/S」ですが、エンジンは新設計。トラクションコントロール機構を装備するなど、現代的な技術が採用されています。そのため、実際に乗ってみると適度な鼓動感がありながらも、不快な振動はきれいに取り除かれており、乗り心地は快適。こうした乗り味が多くのライダーを惹き付けているのかもしれません。
2. 前年同期に比べて3倍の台数を販売したカワサキ「Z900RS」
大型免許が必要な401cc以上のクラスで、特に人気が高かったのがカワサキの「Z900RS」。発売以来、5年連続で販売台数クラストップになることは間違いないでしょう。特に2022年上半期の躍進は大きく、昨年の3倍以上の台数を販売。一時期は「Z900RSを注文しても納車されない」という声も聞かれましたが、大増産でユーザーのニーズに応えた結果ともいえます。
「Z900RS」の人気の理由は、何といってもかつての「Z1/Z2」を思い起こさせるスタイリング。確かにデザインの完成度は高く、眺めていても水冷エンジンであるはずなのに空冷時代の「Z」シリーズの血脈を感じさせる仕上がりです。それでいて、乗ってみるとコンパクトに感じる車体で非常に扱いやすく、その気になればスポーツ走行を本気で楽しめる懐の深さも併せ持っています。この牙城を崩すモデルはいつ登場するのか? それが今後の注目点となりそうです。
3. 今年も爆売れ!ホンダ「レブル250」が支持される理由
250cc以下の軽二輪クラスで、最も支持されたのはホンダの「レブル250」です。こちらも4年連続となる販売台数クラストップの座は安泰な状況で、上半期に販売された軽二輪の5台に1台は「レブル250」という人気っぷりです。
2017年に登場した車種ですが、発売当時、これほどの人気モデルとなることは誰も予想していなかったでしょう。しかし、ユーザーの口コミやSNSでの拡散を経て多くの支持を集め、今やこのモデルに乗るために免許を取得するという話も少なくないほどの人気車種に。ユーザー発信による人気の広がり方は、過去の「TW200」を思い起こさせます。
2020年にはLEDヘッドライトを採用するとともに、ビキニカウルやフォークブーツを装備した「Sエディション」も追加され人気を不動のものとしました。
支持されている大きな理由は、従来のアメリカンとは異なる“何にも似ていない”デザインと、690mmというシート高の低さからくる足付き性の良さ。そして、乗ってみると感じる“どこまでも行けそう”と思ってしまうほどの乗りやすさでしょう。このクラスは、しばらく「レブル250」の長期政権が続きそうです。
4.「ダックス125」の登場でホンダのレジャーバイクが出揃う!?
「CT125・ハンターカブ」や「モンキー125」など人気モデルが次々登場し、原付二種クラスを席巻しているホンダのレジャーバイクたち。2022年上半期の販売台数トップは「CT125・ハンターカブ」でした。9月には「ダックス125」も発売され、このクラスのレジャーバイクが一旦は出揃ったかたちです。
「ダックス125」の魅力は、このクラスとしては快適に2人乗りが楽しめること。体格の大きな男性同士でのタンデムはキツそうですが、夫婦や親子でのショートツーリングなどは十分にこなせるだけの快適性があります。
このクラスのレジャーバイクの人気を支えてる要素のひとつは、小型AT免許で運転できるものが少なくないことでしょう。「ダックス125」も「CT125・ハンターカブ」も、自動エンジンクラッチを採用しているので、小型AT免許で乗ることができます。小型AT免許は最短2日間、教習所に通えば取得することが可能ですので、これから免許をとってバイクに乗りたいという人には格好の入り口といえます。
5. カフェレーサー復権!? ロケットカウル装着モデルが登場
近年、ネオレトロやネオクラシックと呼ばれる、ヒストリックなバイクを現代の技術で復刻したようなマシンが人気ですが、その流れにカフェレーサースタイルが加わるかも…と感じさせるマシンも登場しました。ロケットタイプのカウルを装備したホンダの「ホーク11」と、トライアンフの「スピードトリプル1200 RR」がその代表格です。
どちらも、いわゆるスーパースポーツ系とは異なる、空力向上のためというよりカッコ良さのためのカウルデザイン。マシンのキャラクターとしても、サーキットでタイムを削るような走りを求めるのではなく、大人が趣味で楽しむスポーツライディングを追求したような方向性。こういうマシンが増えてくれると、バイクはもっと面白くなると感じています。
街中や高速道路のSAなどで見かけるバイクの数も増え、ライダーの楽しみ方も確実に多様化していることを感じた2022年。これが一過性のブームではなく、文化として定着してくれることを個人的には願っています。そのためには、ライダーのマナーや安全に対する意識を高めることも必要だと感じています。2023年も安全運転で!
<文/増谷茂樹>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/502123/
- Source:&GP
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