「東京オートサロン2023」が、23年1月13日から15日の週末にかけて、幕張メッセで開催されました。
出展者数341社、展示車両は789台にのぼり、約18万人の来場者を集めた、かなりの熱気のショーでした。
「日本のカスタムカー文化を国内外に発信するべくスタートし、いまでは世界最大級のくるまの祭典として自動車ファンの皆様に長く愛されるイベントになりました」
上記は、ホームページに記されている主催者の言。しばらく前から「東京モーターショー(現在は「JAPAN MOBILITY SHOW」)をしのぐ集客力」として、新車発表の場にもなっています。
今年も、日本のメーカー各社が新車を発表。一方で、個人的に面白かったのが、古いクルマの重要性が増しているように思えたことです。
■トヨタ・豊田社長「クルマ好きだからこそできるカーボンニュートラルの道がある」
トヨタ自動車は、報道陣むけのプレスカンファレンスを会場で開催。壇上に姿を現した豊田章男社長は、GRヤリスRZ“High-performance”をさらにカリカリに仕上げた仕様を発表しました。
同時に、電気、あるいは水素で走るように改造した1980年代のレビンとトレノ(いわゆるエーイーハチロク)を紹介。
「クルマ好きだからこそできるカーボンニュートラルの道がある」とした豊田社長。水素エンジンのトレノと、バッテリーEVのレビンを作りあげたことを披露してくれました。
2050年にカーボンニュートラルを目指すには、電気自動車をこれから販売していても達成は困難。
既存のエンジン車を、水素エンジンや電気モーターで走るように改造できるようにするのも、ゼロエミッション社会実現のために重要、というのです。
「コンバージョンの先にカーボンニュートラルの実現がある。クルマ好きだからこそやれるカーボンニュートラルがある」と豊田社長。
そもそも、いまだに人気の高いスポーティな後輪駆動クーペである、AE86シリーズ。たとえば電気モーター搭載でも、クラッチペダルとマニュアル変速機は残すといいます。
操縦する楽しさそのまま、カーボンニュートラル化されれば、それはまた楽しいかもしれません。
同時に、このとき、GRカンパニーの佐藤恒治プレジデントが登壇。「GRヘリテージパーツの更なるライナップ充実を図ります」と語りました。
「サプライヤー様の協力の下より多くの部品の復刻をめざして努力してまいります」とホームページにあるのが、GRヘリテージパーツ。
現在、2000GTにはじまり、AE86、A70スープラ、A80スープラ、ランドクルーザー40という、とりわけ市場で人気の高いモダンクラシックスのパーツ供給を手がけています。
■クリーンディーゼル化して蘇ったスーパーレストアランクル!
偶然というか、この流れというべきか。同じショーではランドクルーザーの開発を手がけているトヨタ車体が、「ランクルBASEゼロ号店」なる展示を見せてくれていました。
23年1月に、愛知県刈谷市に開くというランクルBASEでは、ランドクルーザーのカスタマイズ・⽤品の専⾨店。
ブースには、ランクル40を展示。黄色い車体がきれいだなと思いつつ、三浦正人店長に話を聞くと、このクルマ、シャシーはランクル70のものなんだそうです。
べつべつにレストアして、のちに合体。マウントポイントは、新たに作っています。
40系はデザインは適度に無骨で魅力的ですが、旧タイプのディーゼルエンジンに問題があります。
東京都などでは「東京都環境確保条例で定める粒子状物質排出基準を満たさない」と車検を取ることができません。
三浦店長によると「それもフィルターで対処できます」とのこと。クリーンディーゼル化して、古いランクルもあたらしい時代に適合したクルマになるということですか。
「価格はけっこう高くなりそうです。ただ、ランクルは大事に乗っている人がけっこういらっしゃいますので、状態のいいベース車両が見つかりやすいです」
少々高くても、意外にいい買い物になるのでは、ということですね。
■トヨタ2000GT、日産GT-R…古い車への愛に溢れた展示続々!
古いクルマへの愛という点では、愛知県岡崎市の「Rocky Auto」が、往年のトヨタ2000GTの「スーパーレプリカ」(同社)として作りあげたRocky 3000GTが印象的でした。
見た目はほぼオリジナル。トヨタ車体出身のオーナーが、トヨタ関係者の協力を得て、実車を採寸してボディを設計したという凝りかた。
ほとんどの部品が「トヨタ2000GTにも取り付けが可能な再現性を確保している」のも、このクルマの特徴といえます。
限定50台を3000万円で販売。24年に最後の納車完了を見込んで、次なるプロジェクトが並行してスタートしているそうです。
3リッター直列6気筒に代えて2リッター直6エンジン搭載のRocky 2000GTなる改良型を手がけることになるでしょう、と渡辺喜也代表取締役。
GT-RやフェアレディZの高度なチューニングで人気の高いTOP SECRETは、現行のGT-Rをベースにエンジンや足回りなどを高性能化したモデルをずらりと展示。
同時に「TOP SECRET VR32 GTR Ver.2023」といって、R32に(89年発表のGT-R)に、現在のGT-Rの3.8リッターツインターボエンジンとツインクラッチ変速機を載せたモデルも持ちこみました。
ある意味、同社の看板車種ともいえるこのチューニング。スモーキー永田代表は、R32が大好きだから、と開発の理由を語っています。
これなんかも、旧車への愛(の一変型)といってもいいのではないでしょうか。
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
【関連記事】
◆釣り具からオフロードバイクまで!? 多趣味な人生、丸ごと載せてます!【「男の趣味部屋」「理想の愛車」拝見】
◆『東リべ』から『特攻の拓』までヤンキー漫画に登場する名車列伝
◆ネオクラや最新車種だってあるぞ!「マッチボックス」日本車シリーズ第2弾が登場!
- Original:https://www.goodspress.jp/reports/504715/
- Source:&GP
- Author:&GP