Facebookが独占的地位を利用し個人情報を不当に収益化していたとする集団訴訟に対し、同サービスを手掛けるMetaが、訴えを却下するよう法廷に要求しました。
ユーザーの経済的価値はいくら?
Facebookの親会社であるMetaは30日、イギリスで起きた最大30億ポンド(約4,820億円)となる集団訴訟を阻止するべく、同国の法廷に異議を申し立てました。
イギリスのFacebookユーザー4,500万人を代表するこの集団訴訟は、Metaが個人データ利用において独占的なプラットフォームを悪用し、ユーザーに適切な補償を行っていないと主張しています。
訴訟を手掛ける法律学者のリーザ・ゴームソン氏(Liza Gormsen)は、今のような独占的地位になければユーザーが受け取っていたであろう経済的価値を、Metaは支払うべきだと述べました。また、同氏の代理人も「支配的企業による乱用行為の禁止に違反している」とし、訴訟に法的根拠があることを強調しました。
これに対してMetaは法廷に異議を申し立て、請求された損失はFacebookが提供した経済的価値を無視したものだと反論、「まったく意味がない」として訴訟の却下を求めました。
つまり、Metaが個人データを不当に過小評価することで得られた「超過利益」があったとしても、同時にユーザーはFacebookから恩恵も受けているため、その利益がそのままユーザーの経済的損失だとは言えないというわけです。
Metaが抱える問題とは
最大30億ポンドに上る請求額について、Meta側の弁護団が「控えめにいってもでたらめなまでに膨れ上がっている」と述べる通り、ユーザーの個人データが本来持つ経済的価値を適切に評価するのは難しいでしょう。
しかし、Metaに問題がないわけではありません。SNSにおける独占的な地位を利用し競争相手を排除しているとして、2020年には米連邦取引委員会(FTC)が独占禁止法で提訴しています。この裁判は現在も続いており、1月中旬にはFTCの訴えを却下すべきだとする同社の申し立てが退けられたばかりです。
また、ユーザーの個人データを活用するFacebookのビジネスモデルは、AppleがiOS14で導入した「アプリのトラッキングの透明性(ATT)」によって、大きく勢いを削がれることとなりました。大半のユーザーがトラッキングを拒否するため、Facebookは最適化された広告を表示することが難しくなったのです。これによって2022年第2四半期(4月〜6月)、Metaは上場初の減収を発表しています。
Source:Reuters(1),(2)
(kihachi)
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