Appleが提供する「アプリのトラッキングの透明性(ATT)」について、このところ立て続けに米国で訴訟が起きています。匿名を意図しているはずなのに、ユーザー固有のデバイス識別子を取得できる状況にあるというのが理由です。
昨年11月に登場したレポートきっかけ
一連の集団訴訟が起こったきっかけは2022年11月、iOSアプリを開発するデベロッパーのMyskらによる指摘です。
彼らが公開したレポートによれば、本来ユーザーのデバイス使用に関する情報は匿名化されているはずですが、実際にはDSID(Directory Services Identifier)というIDがiCloudのアカウントとリンクしているため、Appleが望めば、関連するユーザーの名前やメールアドレス、アカウントに関する情報を取得できてしまう状況にあるそうです。
このレポートをきっかけとして、ATTの原理に反していると主張する集団訴訟が全米各地で起こっています。
同様の訴訟は今回が四件目で、いずれも原告側はAppleが「消費者のプライバシーを著しく侵害」し、個人データの共有を制限するというユーザーの要求に応えられていないとし、損害賠償を求めています。
ATTの目的を根本的に誤解?
しかし、そもそもATTの目的はサードパーティーアプリを対象とするトラッキング抑止であり、Apple自身を対象にしてはいませんし、データ収集そのものがなくなることを意味してもいません。
現にAppleのホワイトペーパーには、ファーストパーティーのデータ利用を制限しないと記載されていますし、同社は以前からユーザーがアプリ使用やWebサイトの閲覧を通じて、データブローカーが個人データを売買することを制限するためのプライバシーツールとして宣伝してきました。
もちろん、Appleが自社を特別視する根拠に疑問を投げかける余地はありますが、ニュースサイトAppleInsiderは一連の集団訴訟が「ファーストパーティデータとサードパーティデータ、Appleがそれぞれにどのようにアプローチするかについて、根本的に誤解している」と指摘しています。
Source:AppleInsider
(kihachi)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-521990/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania