景気の冷え込みによって、誰もが名前を知るような巨大テック企業が次々と大規模な解雇(レイオフ)を発表するなか、Appleだけが沈黙を保っています。同社が人員整理に踏み切らない理由について、Wedbush証券のアナリストが分析し、ティム・クック最高経営責任者の経営手腕を“殿堂入り”だと褒め称えています。
殿堂入りさせたいほど素晴らしい
景気減速による悪影響を大きく受けているのが、これまで好景気の牽引役となってきた大手テック企業です。
並みいる巨大テック企業が数千人規模の解雇を当たり前のように行うなかで、Appleだけが人員整理のための大鉈を振るっていません。Wedbush証券でアナリストを務めるダニエル・アイブス氏は、他社に追随しないAppleに着目し、ティム・クックCEOを「殿堂入りのCEOだ」と絶賛しました。
積極雇用のツケを払う羽目に
テック企業を中心に構成されるNasdaq指数(ナスダック指数)は、2021年11月につけた約16,000ポイントをピークに、現在(1月31日時点)では25%減の約12,000ポイントで推移しています。
好景気に乗じて、いわゆる“GAFAM”(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)などの多くが雇用を急拡大させてきました。例えば、Facebookの親会社であるMetaは2020年〜2021年だけで、約27,000人を増員したとされています。Amazonに至っては2019年第4四半期(10月〜12月)から2021年の終わりまでに、80万人以上を新たに雇用したことが分かっています。
しかし景気が減退し株価が下がれば、投資家に責任を追う株式企業は、何らかの対応策をとる義務が生じます。こうして昨年末から立て続けに、多くのテック企業が大規模なリストラに踏み切りました。先述したMetaは昨年11月に、全従業員のおよそ13%にあたる約11,000人を解雇しています。
Appleの雇用戦術を褒め称える
ところが、急速に人員を増やした他社とは対称的に、Appleは景気の拡大局面でも雇用を大幅に増やすことはありませんでした。
景気に暗雲が垂れ込めだした2022年第2四半期(4月〜6月)の決算報告でも、ティム・クックCEOは予算削減の報道を否定するとともに、新規採用について「熟考して行」っていると述べています。
Yahoo!Financeにダニエル・アイブス氏が語ったところによれば、Appleが大掛かりな解雇に現在踏み切っていないのは、このような慎重方針を以前からクックCEOが採ってきたことが大きいそうです。
もちろん今後の状況次第によっては、Appleも大型解雇を余儀なくされるかもしれません。アイブス氏も別のレポートでは「(どこかの時点で)Appleも何らかのコスト削減をすると思う」と指摘しています。
とはいえ、少なくとも現時点で多くの従業員の雇用が守られているのは事実です。先見の明があったクック氏を「殿堂入りのCEOだ」と称したアイブス氏は、「思い切ったコストカットが行われるなか、クパチーノ(Apple本社の所在地:Appleのことを指す)は、いわば戦術家だ」と述べ、Appleの経営手腕に賛辞を送りました。
なお、2022年第4四半期(Apple独自の会計年度では2023年第1四半期)の決算発表は、2月2日(現地時間)に行われる予定です。世界的なスマートフォン需要減退や新型コロナウイルス(COVID-19)による中国のロックダウンといった逆風の中、同社の業績を支えてきたiPhoneが、一体どれだけ売れているのかに注目が集まります。
Source:Yahoo!Finance via AppleInsider,CNBC
(kihachi)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-522052/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania