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ソニーの最新”ながら聴き”イヤホン「Float Run」レビュー。骨伝導、Oladanceとの音質比較も

ソニーから2月3日、耳をふさがないオープンイヤー型の新しいイヤホン「Float Run」が発売されました。音楽を聴きながら周囲の音も自然に聞こえる“ながら聴き”スタイルの本機。ランニング愛好家向けのアイテムと思われがちですが、最近は“ながら聴き”をテレワークで活用する人も増えているんですよね。

▲ソニー「Float Run」(実勢価格:1万9800円)

でも、“ながら聴き”というと、既に市場にはライバルが多数存在しています。Shokzの骨伝導イヤホン「OpenRun」(実勢価格:1万7880円)と「OpenRun Pro」(実勢価格:2万3880円)は耳が完全にオープンになるし、2022年にはベンチャー企業Oldanceによるイヤースピーカー「Oladanceウェアラブルステレオ」(実勢価格:2万980円)も話題を集めました。

そこで、激戦となりつつある"ながら聴き”市場に投入された最新モデル、ソニーの「Float Run」をレビューしつつ、ライバル機種との音質や使い勝手を比較していきます。

 

■イヤースピーカーという独自形状

まずは、ソニー「Float Run」を。左右がつながっているワイヤレスイヤホンタイプで、耳の間近にイヤースピーカーが浮くような形で取り付けられています。

▲16mmドライバーユニット搭載。耳への音の指向性を考えた設計だ

重量33gは特別重くはありませんが、スポーツ志向の設計で、耳に固定する形状。フックで固定する耳の周囲との接触や、首周りに伸びる左右を繋ぐケーブル部はどうしても意識してしまいます。なお、IPX4相当の防滴性能という点はスポーツ志向ならでは。

▲耳の上にフックを差し込んで装着

▲右イヤホン部に操作ボタンがある。左右を繋ぐケーブルは曲げられるタイプ

ではここで、“ながら聴き”のライバル製品の装着感も見ていきましょう。

▲骨伝導代表のShokz「OpenRun Pro」。耳を全く塞がず接触感も軽め

▲「Oladanceウェアラブルステレオ」は完全ワイヤレス型で首後ろのワイヤーがない

装着して比べてみると、ソニー「Float Run」は、“ながら聴き”系の中では大柄でしっかり固定する部類と言えます。

次に、ソニー「Float Run」の“ながら聴き”具合も体験していきます。まず室内。当然ながら音楽を流さない状態での外音の聞こえ具合は完璧。

▲音楽を流しつつ、周囲の音も自然に聞こえるところがポイント

あとは音楽を流しつつ周囲の音を聞こえるかどうかですが、音楽と周囲の音が自然にミックスされて聞こえます。iPhoneの音量1/3程度までなら自然に周囲の音を取り込むくらい。インターホンの音が聞こえればいい程度なら、iPhoneの音量半分くらいまで上げられそうです。

この“ながら聴き”スタイルが活躍するのが、長時間のオンライン会議というシーン。やや装着している感はありますが、耳を塞ぐ密閉感はナシ。

▲通話音量はさほどクリアではないが実用範囲だ

これなら来客や宅配便が来てもすぐに対応できます。連続再生・通話時間とも10時間というスペックで、10分の充電で60分使える急速充電機能も搭載している点も優秀です。

屋外にも持ち出してみました。

当たり前のことですが、電車内、そして街中では周囲の音が聞こえて、音楽もその上で同時に流れるイメージ。音量が小さいと騒音負けするので特に低音の再現は苦手ですが、まず周囲の音が聞ける安心感があるし、自分だけBGMが流れていると考えると悪くはありません。なお音漏れは予想以上に小さいのですが、周囲の環境音に合わせて調整したいところです。

気になる音質ですが、サウンドとしては、ナチュラルで特に中高域の厚みとクリアさがポイント。と言っても、あくまで同タイプの製品で優秀というくらいで、実勢価格1万9800円に近い一般的なイヤホンと比べられる音質ではありません。

それよりも気になるのが、”ながら聴き”ライバル製品との音質比較です。

価格面で近い骨伝導イヤホンのShokz「OpenRun」は、音の臨場感こそあるが、中低域の情報量がやや弱めです。価格面では上のShokz「OpenRun Pro」は、特に低音の再現性と臨場感が得意。ただ骨伝導では中高域のクリアさが伸びにくいので、ここは好み次第といったところでしょうか。

そんななかで、強力なライバルが「Oladanceウェアラブルステレオ」の存在です。ソニー「Float Run」と同じくイヤースピーカー型の製品ですが、「Oladance」の方は異次元なほどの重低音が響いて、中高域のクリアさ、臨場感もなかなか。音質面では「Float Run」の完敗と言わざるをえません。

*  *  *

2月3日に発売したばかりのソニー「Float Run」。骨伝導ではないイヤースピーカー型、そして中高域のクリアさ志向の音質は魅力もあります。ただ、ライバルも強力で、装着感ではShokz「OpenRun」「OpenRun Pro」が扱いやすいし、音質面では「Oladanceウェアラブルステレオ」が突き抜けて優秀です。

ライバルとの比較は厳しい結果になりました。「Float Run」の売れ行きは今後の価格の値下がり次第だなと思うのも事実。とはいえ、“ながら聴き”という製品カテゴリに「Float Run」が登場したことで、市場が活性化していくことは間違いなさそうです。

>> ソニー「Float Run」

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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