あの手この手で節税を試みる巨大テック企業に対し、国際的な条約を施行しようとする動きがあるものの、米国などの反対によって、取りまとめはかなり難しいと考えられています。こうした状況を踏まえフランスは、国際的な取りまとめを待たずに、自分たちでデジタル課税を取りまとめるべきだと欧州連合(EU)に進言しました。
国際条約としての成立は難しいか
経済協力開発機構(OECD)は2月、巨大テック企業を主な対象とする、デジタル税制改革を国際的に行っていく方針を改めて明らかにしました。具体的には国際課税原則の見直しに加え、軽課税国への利益移転への対抗も視野に入れ、国際条約として成立させることを見込んでいます。
ところがOECD加盟国のうち、米国やインド、サウジアラビアといった一部の国が、税制取り決め案を阻止する構えを示しているため、この計画は大きく難航する見通しです。とくにインドは、独自の優遇政策によってテック企業の誘致を行っていることも関係していそうです。
そのため、フランスはOECDでの取り決めを優先させる形で保留していた、国・地域レベルでのデジタル課税法案を再び検討すべきだとし、EUに自分たちで巨大テック企業の課税枠組みを作っていくべきだと訴えかけました。
デジタル市場法に続くか
世界中にある拠点を生かした租税回避や、独占的なプラットフォーム上での振る舞いが問題となってきた巨大テック企業ですが、近年は彼らを締め付ける動きが国際的に強まっています。
例えば2022年11月に発効した、EUのデジタル市場法・デジタルサービス法は、そうした大掛かりな規制の筆頭格で、AppleやGoogleなどはプラットフォームで自社を優遇することが禁じられています。
そうした中で、彼らの大掛かりな租税回避についても国際的な規制枠組みを作っていく動きがあるものの、こちらは各国の思惑が絡み合って思うように進展していないことが、改めて浮き彫りとなった格好です。
Appleのアイルランド節税問題
フランスの財務相によれば、OECDで国際課税原則の見直しを取りまとめられる「可能性は低い」そうですが、同国の求めにEUが応じるかは現時点では不明です。
とはいえ、こうした動きを後押しした出来事の一つが、EU(アイルランド)で起きた、Appleの租税回避問題なのは確かでしょう。法人税の圧縮を目的として、Appleがアイルランドと特殊な取り決めを結んでいたことは大きな問題となり、同社はEUから巨額の制裁金を科されることとなりました。
Source:PwC,AppleInsider,Bloomberg
(kihachi)
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- Source:iPhone Mania
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