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アジを釣るなら狙い時はいつ?どんなときが好条件?【アジング編】

<プロが教える超初心者からの釣りデビュー講座>

前回までで、身近な堤防で手軽に楽しめるマアジのルアーフィッシング“アジング”に必要なアイテムとルアーのキャスティング(投げること)を解説してきましたが、今回はアジングの基礎を解説します。

というのも、釣りは狙う魚によってポイントや釣り方、時間帯などを合わせなければ、何時間、何日と釣りをしてもまったく釣れないことがよくあるからです。

アジングについて何もわからない状態で、ただ海へ向かってルアーをキャストするのでは、遠回りになってしまうかもしれません。

しかし、アジの習性を覚えておけば、チャンスタイムにアジの集まりやすいポイントを狙えて、釣れる確率をグンと上げられます。

■アジングにベストな時期とタイミング

どんな魚も365日24時間いつでも釣れるわけではなく、必ずベストな時期とタイミングがあります。

魚釣りのほとんどは“魚がエサを食べたい”という食性に訴えかけ、糸とハリの付いたエサや、アジングのように本物のエサに似せたルアーで魚をダマして食わせる方法で釣ります。

そのため、魚がエサを食べたいときが、釣り人にとってはチャンスタイム。

魚が活発にエサを食べるチャンスタイムを、釣り用語で「時合(じあい)」といいます。水槽の金魚が、人が近寄ったときに水面でパクパクし始めるような状態です。

その時合が終わると突然釣れなくなるのは、釣りでは当たり前にあること。満腹のライオンの目の前に獲物がいても襲い掛からないのと同じようなものです。

アジングで釣果を出すためには、チャンスタイムを知っておくことが重要になります。

アジングでベストな時期は、アジが釣り場となる沿岸に多くなる時期。

アジは基本的に海を泳ぎ回る回遊魚で、エサの多い場所や居心地の良い海域を求めて移動するため、常に堤防の周辺にアジの群れがいるわけではありません。

エキスパートともなれば、アジの数が少なくても釣れるかもしれませんが、アジングの入門者がアジを釣るためには、大きな群れがいるところで釣りをするのが理想です。

といっても、大多数のアジは大海原を回遊しているため、釣り場に群れがいるかどうかはアジ次第。

「じゃあ群れがいるかは運ってこと?」

と思う方もいるかと思いますが、エサの豊富な場所やアジにとって居心地の良いところには回遊してきた群れの一部が居着くことがあり、そのようなポイントであればアジがいる可能性があります。(ここでポイント選びについて書いてしまうと長くなってしまうので、次回で詳しく解説しますね)

ちなみに、居着き系のアジはあまり動き回らずにエサをたくさん食べるため、脂のノリが良く、一部ではブランド化されているほどのおいしいアジになります。

回遊系のアジに比べて体高があり、尾ビレは黄色味を帯びているので、東京湾では黄金アジや金アジとも呼ばれています。

一方で、回遊系のアジは全体的に黒っぽくスリムなため、クロアジやノドグロと呼ばれますが、どちらもマアジには変わりありません。

話が少し脱線してしまいましたが、大多数のアジはエサや居心地の良いエリアを求めて回遊している、ということなんです。

では、アジにとって居心地の良い場所とは、どのようなところでしょうか。

それは、アジにとって快適な海水温になっている場所です。

マアジの適水温は17~24℃ほどといわれており、水温がこの範囲に収まっているエリアだと、アジが回遊してくる確率が高まります。

どの時期に17℃以上になるかというと、私の地元である房総半島南部であれば、4月~翌年の1月頃まで。夏場は水温が24℃を超えてしまうものの、温かい黒潮が直接あたらない房総半島北部や茨城県では適水温から大きく離れることは少ないため、夏でもアジはよく釣れます。

2~3月は水温が17℃以下になってしまうものの、黒潮のあたる房総半島南部では、こちらも適水温から大きく離れないため、アジの群れはいます。

つまり、関東では一年中アジを狙えるということです。

その中でも、もっともオススメの時期が、春と晩秋。

この時期は、共に適水温ど真ん中。春は産卵前に体力をつけるため活発にエサを捕食するので釣りやすく、晩秋は春~夏に産まれた数多くの0歳魚が15~20cm程度にまで成長しているため、数釣りを楽しめます。

他のエリアだと、九州や四国など、関東より西の太平洋側も一年中狙え、東北では春から秋にかけて狙えます。近年では温暖化のためか、夏場には北海道でもマアジが釣れるようになっています。

アジは明るい時間に活動する昼行性ですが、アジングは夜に行うのが基本になります。

漁港には、夜間でも船が安全に航行できるように、堤防の先端に常夜灯がありますが、その明かりを狙うのがもっともオーソドックスなアジングの方法です。

常夜灯の明かりにはプランクトンや小魚が集まり、それらを捕食しにアジも集まってくるのです。

エサ釣りの場合は撒き餌(おびき寄せるためのエサ。コマセともいう)でアジを集めますが、アジングの場合は常夜灯がアジを寄せる要素になるのです。

常夜灯に集まるアジは捕食が目的のため食欲旺盛で、比較的簡単にルアーにアタックしてくるため、昼間に比べてかなり釣りやすくなります。ですので、まずはナイトゲームで常夜灯周辺を狙うのがオススメです。

また、時合は短いものの、アジの活性(魚の食欲)が上がるのがマヅメ時。

マヅメというのは朝と夕方の薄暗い時間帯のことで、朝マヅメは空が明るくなり太陽が出る頃まで、夕(ゆう)マヅメは日没後から空が暗くなるまで、といった感じです。

アジは他の大型魚に狙われる立場でもあるため、視界の悪くなる薄暗い時間になると身を守る警戒心が薄れ、食欲を一気に爆発させます。

ルアーを投げて沈めているだけで勝手にアジが食ってくることが良くあり、1日の中でもっともチャンスといっていいでしょう。

■好条件は?

アジングは1〜2gという軽いルアーがメインとなる釣りで、さらに上級者ともなれば0.3gの超軽量ジグヘッドを使うこともあります。

そのため、大敵となるのが風です。

風があるとルアーが軽いためラインが流されやすく、ルアーの操作が思うようにできなくなります。

ラインを流されにくくするために、ルアーを重くする方法がありますが、ルアーを重くしてしまうと水中で漂うような浮遊感が無くなってしまい、アジにエサではないと見切られやすくなるというジレンマが起こります。

そのようなことから、アジングには軽いルアーでも操作しやすい風のない日がベストになります。

といっても、無風の日を選んで釣りに行くなんてほとんど無理な話。釣りに行く日に風が強い場合は、風裏のポイントを選ぶようにします。

風裏とは山や建物で風が遮られている場所のことで、風の当たる風表側に比べると風は弱く、吹いていても追い風となるので、釣りにくいわけではありません。

風裏や追い風になる場所がない場合は、正面からの向かい風になる場所がオススメ。

真正面の風なら、ルアーの飛距離は落ちるものの、ラインが左右に流されないため、追い風と同じように釣りにくくはありません。また、向かい風のポイントはアジのエサとなるプランクトンが寄せられていることも多く、結果としてアジも多い場合があります。

ナイトゲームでの好条件は月明かりの無い闇夜です。

月明かりがあると常夜灯のアジを集めるパワーが半減してしまい、アジの寄りが悪くなってしまいます。

そのため、月の出ない新月前後や月光が当たりにくい曇りの日がナイトゲームではベストです。

水温は魚全般にとって重要な要素になりますが、単純に「〇〇℃なら良い」というわけではありません。重要なのは、温度差があるかどうかです。

アジの適水温は前述の通り17~24℃ほどですが、水温が17℃以下の場合でも、数日にわたって15℃が続いている場合は問題なく釣れます。ただし、17℃から15℃に下がった直後だと、アジの活性が下がって釣りにくいケースもあります。

水温が急激に下がる要因は風の場合が多く、表層の暖かい海水が風によって沖に流されてしまうと、冷たい底潮が湧き上がる現象がおこります。そうなると、一気に水温が2~3℃下がることも珍しくありません。

ちなみに、水温の調べ方ですが、気象庁のサイトから「各種データ・資料」、「海洋の健康診断表」、「海面水温に関する診断表、予報、データ」に進むと、日別海面水温が見られます。

このページでは平均水温との温度差もわかるため、例年に比べて水温が高いのか低いのかもわかります。

しかし、正直なところ、普段のアジングで水温を気にすることは、真冬や真夏以外ではほとんどありません。あくまでも参考程度といった感じです。

と、ここまで好条件、悪条件をいろいろと書きましたが、つまりアジングは風と波の無い凪の日がベストということです。

>> [連載]プロが教える超初心者からの釣りデビュー講座

<文/渡邉長士 写真/須田俊哉>

渡邉長士|1981年生まれ、千葉県出身。地元の房総半島を中心に旬なターゲットを狙うプロ釣り師。海のルアーフィッシングが得意。アジをルアーで釣る“アジング”を提唱したパイオニアで、全国にブームを広めた1人。釣り具メーカー「ダイワ」「オーナーばり」と契約し、数々のアジング製品の監修、プロデュースやテレビ、雑誌などで釣りの楽しさを発信している

 

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