スマートフォンの内蔵バッテリー容量は年々増加傾向で、OSの進化もあってバッテリー持続時間も改善しつつありますが、外出時にスマホが電池切れにならないように、モバイルバッテリーを持ち歩いている人も多いのではないでしょうか。
新製品への買い替えなどにより使わなくなったモバイルバッテリーは、適切な保管をしていないと過放電状態になり、バッテリーの劣化が進むこともあります。バッテリー製品の寿命を長持ちさせることも重要ですが、不要になったら正しい処分方法で処分することが大事です。
▼ 「燃えるごみ」で捨ててはいけないモバイルバッテリー
▼ モバイルバッテリー製品で重要な「PSEマーク」
▼ JBRC会員企業の製品であればリサイクルボックスへ
▼ モバイルバッテリーの劣化と寿命を長持ちさせる方法
▼ モバイルバッテリー処分方法まとめ
「燃えるごみ」で捨ててはいけないモバイルバッテリー
モバイルバッテリーは、使用後も充電することで繰り返し使える電池「小型二次電池(充電式電池)」に分類される製品です。小型二次電池には、電動歯ブラシなどに使われるニカド電池、機器の小型軽量化に役立てられているニッケル水素電池、スマホやノートパソコンなどで使われているリチウムイオン二次電池があります。
経済産業省公式サイトによると、小型二次電池は法律により自主回収とリサイクルが義務づけられています。収集後に収集車やごみ集積場での火災につながるおそれがあるため、燃えるごみ(可燃ごみ)など一般ごみとして捨ててはいけません。
回収・処分方法については自治体により取り組みが異なるため、必ずお住まいの自治体における回収・処分方法を確認しましょう。
一例として、東京都目黒区では2023年3月1日より、区内施設に設置した回収ボックスでモバイルバッテリーなどの回収を開始するほか、2023年4月からは栃木県宇都宮市、愛知県豊川市など一部自治体でごみの分別方法が変わり、モバイルバッテリーや充電式電池などを「危険ごみ」として出せるようになります(従来通り家電量販店などでの回収も継続)。愛知県名古屋市などすでに電池類の一括収集を行っている自治体もあります。
モバイルバッテリー製品で重要な「PSEマーク」
モバイルバッテリー製品には、製品名や型番、バッテリー容量などのほかに、さまざまなマークが表示されています。写真は筆者が所有する使わなくなったモバイルバッテリー製品ですが、製品によって表示されているマークが異なっています。CEマーク、RoHSマーク、FCCマークなどは海外の輸出や廃棄、リサイクルに関する認証です。
上記画像の製品はいずれも2019年以前に購入した製品のため表示されていませんが、2019年2月よりモバイルバッテリー製品への「PSEマーク」取得が義務づけられているため、以降に流通しているモバイルバッテリーにはPSEマークが表示されています。
PSEマークのない製品は個人間でも売買できない
PSEマークには、ひし形と円形の2種類があります。
ひし形はメーカーの自主検査に加えて、経済産業省に登録された第三者機関による適合性検査、証明を経て表示されるマークです。丸形はメーカーが法律で規定された技術基準に適合されているか自主検査し、基準に合格していれば表示できます。
2019年2月以前に購入したPSEマークのないモバイルバッテリー製品は、使用は禁じられていないため、引き続き使用できます。
しかしPSEマーク表示のない製品は、メーカーや小売事業者だけでなく個人の売買も禁止されているため、オークション・フリマサイト等ではPSEマークのない製品は取り扱い禁止となっています。注意しましょう。
JBRC会員企業の製品であればリサイクルボックスへ
モバイルバッテリー製品の一般的な処分方法は、家電量販店などの店頭に設置されている「小型充電式電池リサイクルボックス」での回収です。小型充電式電池のリサイクル活動を促進するJBRCによるもので、家電量販店のほか、携帯キャリアショップなど各地の協力店にも設置されています。
2001年施行の資源有効利用促進法に基づき、小型充電式電池メーカーやこれらを使用する機器のメーカー、それらの輸入事業者などに回収とリサイクルが義務づけられました。これらのメーカーなどを会員として、会員の小型充電式電池のリサイクル活動を共同で行う団体がJBRCです。
リサイクルボックスで回収対象となるのはJBRC加盟企業のみとなっているため注意しましょう。JBRC会員一覧はJBRC公式サイトで確認可能で、一例としてAnker(アンカー・ジャパン)、buffalo(バッファロー)などはJBRC会員のため対象となります。
JBRC会員でない企業の製品は?
通販サイトでよく見るメーカーでも、JBRC会員ではない場合も。非会員企業の製品は前述のリサイクルボックスでは回収できないため、メーカー側に回収可能かどうか、または処分方法について問い合わせる必要があります。
モバイルバッテリーの劣化と寿命を長持ちさせる方法
充電して繰り返し使えるモバイルバッテリー製品ですが、長期間の利用や誤った使い方により、充電ができなくなったり、発火などのトラブルにつながったりします。製品評価技術基盤機構(NITE)に掲載されている事故情報でも、モバイルバッテリー関連の火災などが約100件発生しています。
モバイルバッテリーの寿命は、破損などを除いてリチウムイオン電池の寿命と同じで、充放電回数を重ねることで劣化していきます。寿命の目安と言われているのは一般的に電池容量が本来の80%以下になった状態で、およそ300~500サイクルの充電回数と言われています(1サイクルはバッテリー残量0%から100%まで充電して再び0%になるまでのこと)。使用頻度により異なりますが平均2年程度です。
モバイルバッテリーが劣化するとこれらの症状が現れます。使用期間に限らずこうした劣化症状がみられた場合は、使い続けずに買い替えるのが良いでしょう。
極端に高温・低温な環境での使用は避ける
リチウムイオン電池は極端な高温、低温に弱い性質があります。Ankerによれば、推奨範囲は使用時は0度~40度、保管時はマイナス20度~45度で、理想は使用温度0度~25度、保管マイナス10度~35度としています。保管時は特に、35度以下の涼しく乾燥した環境が良いそうです。
バッテリー残量がない状態で長期間放置しない
リチウムイオン電池には、使用していないときでも電池容量が減る「自己放電」という特性があり、バッテリー残量が少ない、ほとんどない状態で長期間放置すると過放電状態となり、最終的には充電できない状態まで劣化する場合があります。また過放電により電池内にガスが発生し、バッテリーが膨張することもあります。
長期間使用しない場合はバッテリー残量を50%~80%にする良いとされています。また複数のスマホアクセサリーブランドはバッテリー製品の取り扱いについて、バッテリー寿命を長く保つために少なくとも3カ月に一度は充電するよう推奨しています。
モバイルバッテリーを充電したまま放置しない
モバイルバッテリーの電池残量が満充電になっているのに、コンセントを抜かずそのまま放置することも、バッテリーの劣化につながる原因です。この状態だと繰り返し充放電されてしまい、バッテリー寿命を縮めることになるため注意しましょう。
モバイルバッテリー処分方法まとめ
リサイクルボックスでの回収やごみとして出す場合にも、他の金属と接触してしまうと火災につながる可能性があるため、必ず金属部分をガムテープやビニールテープなどで覆って絶縁対策を行いましょう。
処分方法 | 注意点 |
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自治体指定のごみ分別で出す | ・お住まいの自治体での回収・処分方法を必ず確認する |
小型充電式電池リサイクルボックスに入れる | ・JBRC会員企業製の製品でないといけない ・処分する製品が破損・膨張・水濡れ等していない ・ハードケースに入っていないラミネートタイプは回収対象外 |
オークション・フリマサイトで販売する | ・PSEマークが表示されている製品でないと売買できない |
メーカーに問い合わせて回収してもらう | ・メーカーにより対応が異なる |
Source:経済産業省 (1), (2), 目黒区, 豊川市, 愛知県名古屋市, 宇都宮市, Anker (1), (2), JBRC概要, JBRC加盟企業一覧, NITE事故情報, オウルテック, ビックカメラ
(asm)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-525880/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania