【男前マルチツールの世界】
マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”。とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。
そんなマルチツールの男前な魅力を紹介する連載第31回は、カラビナ型マルチツール、 prendre「PR-GHK-WHALE」(実勢価格:798円)です。
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「お値段1000円を切りました!」そんな口上が聞こえてきそうな価格です。カラビナに複数のツールを備えたマルチツールは、カラビナ自体がシッカリした造りであったり、素材がチタン合金であったりすると1万円を越える高価なものもあります。そういう意味では、今回紹介するアイテムは、ピンキリで言えばキリの方です。
■折り畳み式の鉤型カッターが付いたマルチツール
1000円を切るマルチツールとなると、あまり期待できないと思われますが、打ち抜き加工のプレートにわずかな構造で構成されたモノであれば、一般的な感覚で言えば適正価格と言っても良いかもしれません。
素材はステンレス製。プレートの厚みは3mm。折り畳み時の全長は73mm、全幅34mm、重量 約46g。
カラビナといっても登山用の丈夫なものではなく、ループやバンドに留められる程度の物。体重を支えられるようなモノではないと思います。日頃からバックや鍵束に付けて持ち歩ける軽量で小型のアイテムです。
このアイテムの最大の特徴は折り畳み式のカッターです。カッターといっても鋭利な切先をした刃物ではなく、先端は鉤状。用途としてはシートベルトや段ボールの結束バンドを切るためなど。鉤の部分にベルトを掛けて引っ張って使います。
カッターは三段階のノッチが付いており、展開すると118mmくらいになります。小ぶりですが、しっかりと握れます。丈夫なシートベルトを切ることは充分にできるかもしれません。
カッターにはボトルオープナーとミリスケールが付いています。カッターの基部付近には、黒い円柱状のストッパーが付いており、それ以上展開しないようになっています。
鉤型のカッターはカートンカッターとして使える場合もあります。ただこのカッター、先端は厚く丸くなっているので、テープへの掛かりは悪く切れ味は良くない。本来の使い方としては適切ではないかもしれません。カートンカッターとして使いたい場合は、先端を薄く削るなど工夫が必要かと思います。
カッター以外にもいくつかのツールが付いています。
カラビナプレートからはプラスドライバーが突き出ています。あまり精度は良くないですが、ひとまず使える程度のものです。
そして5種の六角レンチが付いています。存外に適合性が良く、充分に使えるものでした。強いトルクを掛けることは無理がありますが、緩んだボルトを留めるには充分だと思います。
パンツのベルトループやキーホルダーに付けられるカラビナ型マルチツールであり、ナイフレスで気軽に持ち歩けることが最大の魅力です。ドライバーやレンチなどの精度は値段なりですが、安いこともあり躊躇なく使うことができます。キャンプや釣りなどアウトドアシーンでの利用だけでなく、日常のちょっとした不具合を解決できるツールは実に便利です。
贅沢な素材であったり精緻な造りであることは、たしかに道具の魅力です。しかし、どんな素晴らしい道具でも使わなければ宝の持ち腐れ。どんなに安くても、ユーザーが身に着け、使いたい時に使えることが大切です。
カチカチと小気味よくノッチ音を立てるカッターを触りながらさまざまなことを考える。手の中で転がせるコンパクトでユニークなマルチツールは結構役に立つのではないでしょうか。
<取材・文/GOL>
GOL|歯科技工士、ECディレクター、webライターまで幅広く活動しております。指先に伝わるハンドツールの質感や重さ、音などアナログな部分に惹かれて今に至ります。一番好きなのは懐中電灯。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/517443/
- Source:&GP
- Author:&GP