【新作完全ワイヤレス一気聴き】
いまや音楽リスニング時の定番となった完全ワイヤレスイヤホン。アップル、ソニー、ボーズといった大手ブランドはもちろんですが、それ以外のさまざまなブランドからも、音質や機能などで特色のあるモデルが日々登場しています。
そんな大激戦となっている完全ワイヤレスイヤホンから、直近数ヶ月に発売された新作モデルを、オーディオ・ビジュアルライターの折原一也氏がまとめて実機テスト。
今回はNoble Audio「FoKus Mystique」、Bowers & Wilkins(B&W)「Pi7 S2」、JBL「TOUR PRO 2」、SOUNDPEATS「Capsule3 Pro」の4モデルをお届けします。
* * *
■Noble Audio「FoKus Mystique」
完全ワイヤレスイヤホンの市場のなかでも“音質ファースト”という異色のモデルがNoble Audio「FoKus Mystique」。実売価格で6万円台後半という価格も、数十万円のハイエンド有線イヤホンを手掛けるNoble Audioと聞けば半ば納得。約1年前に手掛けた「FoKus PRO」のヒットを受けて誕生した機種とか。
仕様面も音質特化で、6万円以上のハイエンドなのにノイズキャンセル機能はナシ。一方中身は、Noble Audioが超高級イヤホンでも採用するKnowles製BAドライバー 2基と大口径8.2mmダイナミックドライバー1基のハイブリッドに、有線イヤホンのIEM(インイヤーモニター)を彷彿とさせる筐体デザイン。Bluetooth 5.2でaptX adaptiveコーデック対応、アプリ面は作り込まれていて聴力測定によるEQカスタマイズも可能です。
サウンドバランスは極めてニュートラルであるにも関わらず、圧倒的な音数の多さと臨場感。と同時に、音の分離感が良く、歌声の伸びもアコギもベースもドラムも一音一音すべて繊細かつ歪みなく鳴らすところが、驚きを超えて異常です。完全ワイヤレスイヤホンで正確な音の再現に全振りした実力は本物というか。この音質なら6万円オーバーの価格もアリかも…と思ってしまった一台です。
▼ここが○
・ニュートラルかつ極めて高音質なサウンド
・プリセットEQ設定と聴覚測定でカスタマイズも可
・IEMのような高級感あるデザイン
▼ここが✕
・6万円オーバーでノイキャンなし
・防水や低遅延などの機能すらなし
Noble Audio「FoKus Mystique」
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive
アクティブノイズキャンセル:ー
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):7.5時間
最大再生時間(ケース込み):37.5時間(※3~4回充電から)
マルチポイント接続:ー
3Dオーディオ:ー
低遅延モード:ー
防水:ー
ワイヤレス充電:ー
実勢価格:6万4780円
■Bowers & Wilkins(B&W)「Pi7 S2」
英国アビーロードスタジオにも設置されている世界的なスピーカーブランド、Bowers & Wilkins(B&W)。同社の手掛けるハイエンド完全ワイヤレスイヤホンが「PI7 S2」。前モデル「PI7」から引き継がれた付属の充電ケースがBluetoothトランスミッタになるギミックもユニークなモデルです。
B&Wの完全ワイヤレスイヤホン最上位機種だけあり、9.2mmダイナミック型ドライバーとBA型ドライバーを搭載した2ウェイの高音質設計。周囲の騒音を分析して最適化される“アダプティブ・ノイズキャンセリング”対応と今どきの機能をカバーしています。そして唯一無二の機能が付属の充電ケースにあり。3.5mmステレオミニやUSB-Cの有線接続した外部機器の音を完全ワイヤレスイヤホンでリスニングするという汎用性も備えています。
音質は、圧倒的なボリューム感を備えた低音、そして音楽の真っ只中にいるような空間を上手く上げるサウンド。解像感に振り切らないナチュラル志向で、集中すると音数多く聞けるタイプです。また音場の広さがとても優秀で、普段聴く音源もライブ風に聞けるほど。特に密度感ある低音と臨場感を求める人に聞いて欲しいサウンドですね。
▼ここが○
・空間の広さとライブ表現重視のサウンド
・トランスミッタ機能がゲーム機接続などに○
・デザインも上質で美しい
▼ここが✕
・音質イコライジング機能がない
・ノイズキャンセルの調整は手動が良いかも
Bowers & Wilkins(B&W)「Pi7 S2」
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、aptX Adaptive
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):5時間
最大再生時間(ケース込み):21時間
マルチポイント接続:ー
3Dオーディオ:ー
低遅延モード:ー
防水:IP54
ワイヤレス充電:ー
実勢価格:6万3800円
■JBL「TOUR PRO 2」
米国の老舗オーディオブランド JBLが送り出す最新ハイエンド完全ワイヤレスイヤホンが「TOUR PRO 2」。世界初のタッチディスプレイを搭載した“スマート充電ケース”が付属するほか、多機能に振り切ったモデルです。
まず目を引くのは、やはり“スマート充電ケース”。完全ワイヤレスイヤホンと連動して、再生/停止などの基本操作、ノイズキャンセルや外音取込み、それだけでなくイコライザプリセットの切り替え、空間オーディオ機能“Spatial Sound”などさまざまな機能を手元で操作可能。アプリからは聴覚テストでサウンドを補正するパーソナライズ機能“Personi-Fi 2.0”も利用可能です。
デフォルトのサウンドは低音強めで空間志向の洋楽志向のバランス。ただ、「TOUR PRO 2」の真骨頂は、“スマート充電ケース”からも手軽に切り替えられるEQの適用が前提のように思えます。フラット志向なら“STUDIO”、J-POPやロックなら“CLUB”から始めて、自分好みに音質をカスタマイズして聴きましょう。
▼ここが○
・手元操作できるスマートケースが想像以上に便利
・EQ、Spatial Soundなど音質カスタマイズが豊富
・トレンド機能を網羅する多機能ぶり
▼ここが✕
・ハイレゾワイヤレス対応なしが気になる
・装着してひねるフィット法はひと癖あり
・ノイズキャンセルの強度はほどほど
JBL「TOUR PRO 2」
対応コーデック:SBC、AAC
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):10時間
最大再生時間(ケース込み):30時間
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:◯
低遅延モード:◯
防水:IPX5
ワイヤレス充電:◯
実勢価格:3万3300円
■SOUNDPEATS「Capsule3 Pro」
ネット通販で人気急上昇中のイヤホンブランド SOUNDPEATS。「Capsule3 Pro」は、通常時の参考価格が9980円、セール時には7000円台で購入できるというお手頃価格にも関わらず機能が揃ったコスパ志向のモデルです。
注目ポイントはやはり1万円以下としては異例の高機能。ノイズキャンセリング方式には1万円以上の機種に多い“ハイブリッド方式”を採用し、可聴域最大43dBの効果を実現。LDACコーデック対応による96kHz/24bit、最大990kbpsのハイレゾワイヤレス伝送にも対応しています。アプリからは10バンドのEQ機能やゲームモードも設定できます。
サウンドは、クリアに伸びる歌声、量感ある重低音とJ-POPやロックの聞きどころを押さえた躍動感ある弱ドンシャリ志向。デフォルトのセッティングでも臨場感があり音楽を楽しく聴けるし、アプリでカスタマイズするのもアリ。音質に対するコスパが優秀な一台です。
▼ここが○
・音質もノイズキャンセルも実力十分
・ノズルの伸びるイヤホン形状もフィット感良し
・セール時には7000円台のお手頃価格が最高すぎる
▼ここが✕
・LDACの音質優先設定は音途切れに注意
・耳元でキラキラし過ぎかも
SOUNDPEATS「Capsule3 Pro」
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):8時間
最大再生時間(ケース込み):52時間
マルチポイント接続:ー
3Dオーディオ:ー
低遅延モード:◯
防水:IPX4
ワイヤレス充電:ー
実勢価格:9980円
<取材・文/折原一也>
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/517888/
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