ソニーネットワークコミュニケーションズの運営する格安スマホのNUROモバイルは、3月8日に新料金プランとなる「NEOプランW」を導入しました。データ容量は40GB、料金は3980円です。
これまで、同社は中容量帯として20GBの「NEOプラン」や、NEOプランから一部サービスを削った「NEOプランLite」を提供していましたが、NEOプランWは、この上位プランにあたります。
NUROモバイルはデータ容量が40GBのNEOプランWを導入した
NUROモバイルも、この価格帯に合わせた「バリュープラス」と呼ばれる料金プランを用意しています。バリュープラスは、3GB、5GB、10GBの3つに容量が分かれます。
NUROモバイルの料金プランは、大きく分けて3つある。主力はバリュープラスとNEOプランで、それぞれにデータ容量を設けている
ただ、MVNOがデータ容量の大きな料金プランを提供しようとすると、大きな壁があります。通信品質です。
MVNOは、大手キャリアからMbps単位で帯域を借り、エンドユーザーにサービスを提供しています。MVNOと大手キャリアを結ぶ接続点の“太さ”に料金を払っていると言えるでしょう。
一方で、帯域の太さには限界があります。特に問題になるのが、ピーク時。MVNOの抱えるユーザーが一斉に通信するお昼休みは、この接続点の帯域が不足して速度が低下する傾向にあります。
ピーク時のトラフィックに合わせて帯域を借りればいいのですが、そうなると、今度は料金に跳ね返ってしまい、格安で通信サービスを提供するのが難しくなります。データ容量が少ない場合、ある程度通信する時間は限られるため、それでもユーザーは獲得できていました。
一方で、中容量帯になってしまうと、データ通信の頻度や量が増え、通信品質が悪いと満足度が低下してしまいます。
そのため、NUROモバイルは格安プランのバリュープラスと中容量帯のNEOプランの帯域を分け、通信品質を向上させました。
そのぶん、料金はNEOプランが2699円、新プランのNEOプランが3980円と高くなっていますが、データ容量をあまり気にせずに使いたい人にとっては、比較的安価な選択肢と言えるでしょう。
ahamoなどのオンライン専用プランに、真っ向から勝負を挑んだのがNEOプランというわけです。
バリュープラスとNEOプランで通信帯域を分け、NEOプラン側の品質を向上させている
NEOプランWにも、こうした特徴は継承されています。同じ容量でも、実質的に利用できるデータ量が多く、快適なことを特徴にしていると言えるでしょう。
NEOデータフリーなどのサービスで、大手キャリアと差別化を図る
実際、通信が混雑しがちなお昼休みの時間帯でもNEOプランは速度低下があまりなく、22年8月時点で東京・港の虎ノ門で計測した際には200Mbps以上の速度が出ていたといいます。これこそが、専用帯域を設けた効果です。
専用帯域を確保した結果、通信速度も高いという
しかもahamoには、5分間の音声通話定額までついています。20GB帯はKDDIのpovo2.0やソフトバンクのLINEMOなど、競合も多い激戦区です。
これに対し、NEOプランWの40GBは大手キャリアが未開拓の容量帯。ahamoなどのオンライン専用プランでは、少しデータ容量が足りないというユーザーにとって、約1000円の追加で40GBになるのはいい選択肢と言えるかもしれません。
ahamoでもデータ容量の追加はできますが、1GBごとだと割高で、「ahamo大盛り」を選択すると一気にデータ容量が100GBに上がってしまいます。金額も4950円になり、ドコモがデータ容量無制限で提供する「5Gギガホ」などへの変更が視野に入ってきます。
MVNOとしては高額な3980円だが、大手キャリアのオンラインプランよりデータ容量は多い。ahamoなどで物足りないユーザーに向けた料金と言えそうだ
とは言え、MVNOで3980円という料金は異例とも言える高さ。大手キャリアに対して品質やサポートが劣るイメージがあるだけに、こうした風評をどう払しょくしていくかが成否を左右するカギになりそうです。
(文・石野純也)
- Original:https://techable.jp/archives/201208
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:はるか礒部