仕事のスピードは、着手のスピードや初動で決まる部分もあります。
しかし、とにかくすぐやればいいというわけではありません。どう動くことが効率よく、成果につなげられるのかを「速く考え、すぐやる」ことが重要です。
そこで、タイムパフォーマンスが高い人の仕事の取り組み方を、理央周さんの新著『なぜ、サボる人ほど成果があがるのか? 「仕事の速い人」になる時間術101』からご紹介します。
「いまのラク」より「あとのラク」
×仕事の着手を先延ばしにする
〇まずはいったん手をつけてみる
仕事が速い人は、とにかく着手が早いという共通点があります。先延ばしすると、いまはラクをできても、タスクがどんどん積み重なってしまってあとでたいへんな思いをするものです。
早く着手することのメリットは3つあります。
1つめは、スケジュールの見積もりを大きく外すことがないこと。一度手をつけておくと、時間がかかりそうかどうか、おおよその見当がつきます。逆に、着手が遅い人は「思ったより時間がかかった!」などと徹夜をしてしまうのです。
2つめは、着手を早くして、60点程度の段階で人にアドバイスを求めれば、その人の知恵を借りてより質の高い成果物をつくることができます。ギリギリになって1人で取り組むよりも、クオリティが高い仕事ができるのは言うまでもありません。
3つめは、予期しないトラブルに余裕を持って対応できることです。早めに着手していれば、時間的にも精神的にもすぐ対応できる余裕があります。「やる」と決まったことは、早めに完了させるのが理想です。
完了とまではいかなくても早めに着手さえすれば、時間を正確に見積もり、予期せぬトラブルにも余裕を持って対応することができます。
タスクをできるだけ早く完了させ、「サボる時間」を確保しましょう。
得意な仕事はいつでもできる
×苦手な仕事を先延ばしにする
〇苦手な仕事に一度手をつけてみる
苦手なことはつい先延ばしにしてしまう……。こんな人も多いのではないでしょうか? 仕事の速い人は、「得意なこと」よりも「苦手なこと」からまず手をつけます。
得意なことに比べて苦手なことをやるときには、人に聞いたり調べたりしなくてはいけないこともあり、予想した以上に時間をとられるものです。あまり経験のない分野の仕事であれば、そもそもどれくらいの時間がかかるか、わからないこともあります。つまり、見積もりが狂いやすくなります。
苦手な仕事や経験の少ない仕事を放置しておくと、いざ、ギリギリで手をつけたときに「こんなに時間がかかると思わなかった!」とあわてることになります。
それを防ぐためにも、苦手な仕事をやることになった瞬間に、まず一度手をつけてみましょう。少しだけでも手をつけておけば、だいたいどれくらいの時間がかかるか、予測を立てられます。これだけで、時間の見積もりが大きくズレることがなくなります。
このとき、仕事を完了させる必要はありません。一度手をつけておけば、期日までにアドバイスをもらったり、必要な情報をリサーチしたりすることができます。
また、本当に苦手で、自分でやる必要のない仕事であれば、別の人や会社に頼む手もありますので、検討してみましょう。
相手を変えようとしない
×「コントロールできないこと」に労力を割く
〇「コントロールできること」に集中する
世の中には、「コントロールできること」と「できないこと」があります。仕事の速い人は、自分でコントロールできることにフォーカスします。
たとえば、直感派か論理派か、慎重か大胆か、気づかいするかしないか、といった性質や得意なことなどの相手の内面的な部分は、コントロールしづらいものです。
相手を変えようとするのではなく、「違うからこそできることはないか?」と発想を転換するのがおすすめです。慎重派の人に資料を任せて、大胆な人がどんどん顧客にアプローチするなどと分業することで、より大きな成果につながるものです。
また、顧客が企業の場合、その企業の中のルールも変えられません。ある企業の書類手続きのルールが非効率であったとしても、外部の人間が変えることは難しいでしょう。相手のルールにそって臨機応変に動くほうが、プロジェクトがスムースに運びます。
同じように、すでに起こってしまった過去の出来事も変えられません。頭を切り替えて、次に向けてどう行動するかを考えたほうが生産的です。「コントロールできるか、できないか?」を考え、コントロールできないことについては、相手を変えようとするのをやめて、
ほかのアプローチを考えましょう。自分がコントロールできることに集中し、よりよい成果につなげていきましょう。
ここまで、タイムパフォーマンスが高い人の仕事の取り組み方を紹介しました。いつかやらなければいけない仕事ならば、「すぐやる」ことを徹底して成果につなげていきましょう。
本書には、対話やメール、資料づくりなど、いますぐに実践できるポイントを多数掲載しています。101の時間術の中で、できることから取り組み、自由に使える「サボる時間」をつくりましょう。
<著者プロフィール>
理央 周(りおう めぐる)
マーケティングアイズ株式会社
代表取締役関西学院大学専門職大学院
経営戦略研究科教授。本名:児玉 洋典。1962年生まれ。 静岡大学卒業。大手自動車部品メーカー、フィリップモリスなど を経て、米国インディアナ大学にてMBA取得。アマゾン、 J:COM、マスターカードなどで、マーケティング・マネジャーを 歴任。2010年に起業し翌年法人化。収益を好転させる中堅企業向 けコンサルティングと、顧客視点を育てる社員研修を提供。『売 れない問題 解決の公式』『「なぜか売れる」の公式』(ともに日本 経済新聞出版)『仕事の速い人が絶対やらない時間の使い方』(日本実業出版社)など著書多数。
- Original:https://techable.jp/archives/201323
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:はるか礒部