映画界最高の栄誉とされるアカデミー賞の受賞条件が、AppleやNetflixなどのストリーミング事業者に厳しいものに変更される可能性があります。2022年と2023年にアカデミー賞を連続受賞したAppleは、映画事業への投資を強化する方針です。
2年連続でオスカーを獲得したApple TV+作品
Appleは2022年、Apple TV+で公開した「Coda コーダ あいのうた(原題:CODA)」でアカデミー賞の作品賞、脚色賞、助演男優賞の3部門で受賞を果たしました。同作品の受賞は、ストリーミング作品として初の作品賞獲得という、歴史的な出来事でした。なお「Coda コーダ あいのうた」は、日本ではApple TV+での公開は行われていません。
Appleは、2023年には「ぼく モグラ キツネ 馬(原題:The Boy, the Mole, the Fox, and the Horse)」でアカデミー賞短編アニメ映画賞を受賞しています。
AppleやNetflixは受賞条件を満たすために劇場公開
現在、アカデミー賞作品賞を受賞するには、最初に全米主要6市場(ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ、マイアミ、アトランタ)の1つ以上の映画館で公開され、1週間以上上映される必要があります。映画館と同時に、ストリーミングで作品を公開しても受賞条件を満たすことができます。
AppleやNetflix、Amazonといったストリーミング事業者は、受賞条件を満たすために一部の映画館で公開を行っています。
映画館での上映に対する姿勢は各社で異なり、Appleは「CODA」のアカデミー賞受賞にあわせた劇場再公開を行ったのに対し、Netflixは劇場公開を最小限に抑える傾向があります。
アカデミー賞作品賞の受賞条件の厳格化を検討
海外メディアPuck Newsによると、アカデミー賞を運営する映画芸術科学アカデミーは、作品賞の受賞条件を、全米トップ50市場のうち最低でも15〜20の市場での劇場公開とするルール変更を検討している模様です。受賞条件の変更には、4月末のアカデミー理事会での承認が必要です。
このルール変更は、ストリーミング事業者にとって条件を満たすためのコスト増大につながり、従来からの映画業界を保護することが目的と思われます。
米メディアAppleInsiderは、既存の映画館がストリーミングサービスに利用者の多くを奪われている現状では、映画館での上映によってストリーミングの視聴者が減る影響よりも、映画館での上映拡大による広告効果に期待できるのではないか、とコメントしています。
Appleは映画事業に年間1,300億円を投資か
Appleは、Apple TV+での映画事業参入にあわせて受賞請負人と呼ばれる専門家を獲得しているほか、その後も著名なマーケターを獲得しています。
米Bloombergは先日、Appleが映画事業に年間10億ドル(約1,300億円)投じる予定と報じています。
Appleにとって映画事業は、iPhoneやiPadなどのエコシステムにユーザーを囲い込むためのきっかけとする見方もありますが、今後、Apple TV+作品が賞レースの常連となる可能性もあります。
Source:Puck News via AppleInsider
Photo:Apple
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-531345/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania