透明で目立たず、従来の歯科矯正の3分の1の価格とリーズナブルな歯科矯正サービス「hanaravi(ハナラビ)」。そのサービスを開発したのは救急医療を行っていた各務氏です。
近年非常にニーズの高いマウスピース型歯科矯正サービスですが、一見関係のない救急医療と歯科矯正。なぜ医師が歯科矯正のサービスを開始したのでしょうか?そして「hanaravi」とはどういったサービスなのでしょうか?株式会社DRIPSの代表取締役である各務氏に詳しく寄稿していただきました。
1人の医師の限界、口腔ケアへの可能性を感じた救急医時代
私は過去、救急医や在宅医療を行う医師として勤務していました。その頃、日本での死因第4位にも数えられる「肺炎」への課題があることを感じました。肺炎は他の疾患と比べると、消極的な治療法になるというか、抗生剤を投与したり炎症を抑えたりするなど、内科的治療でなんとかするしかありません。
中でも誤嚥性肺炎にかかる患者さんが多いのですが、普段から口腔ケアをすることで発症を抑えられ、死亡率が低くなることが知られています。
肺炎に留まらず、口腔内の環境により様々な全身疾患が引き起こされる現状を多く目にしてきました。口腔内の環境が悪いことにより、肺炎の他に、糖尿病、認知症、心血管障害などのリスクが高まること、若年層においても早産、低体重児出産のリスクが高まります。
口腔ケアの重要性はわかっている中で、もっと前段階から根本的な対策を患者さんに対してできるといいのですが、病気に直面していない中で、どうしたら取り組んでもらえるのだろうか、と思っていました。
「目の前の患者さんを救う」立場から「より多くの人を救う」立場へ
口腔環境をよくする上で、歯並びは非常に重要です。しかし、日本ではオーラルケアの意識が低く、海外に比べて歯科矯正が高額であるため、歯科矯正を必要としているにもかかわらず、なかなか受けられない人が多い現状があります。
そのため、近年になりようやくオーラルケアに対しての意識が向上し始めたものの、まだまだ歯科矯正が必要であっても歯科矯正が行われていないことがあります。
現状、歯科矯正はコストや見た目の点で「手軽に見た目をきれいにする」という切り口から歯科矯正にチャレンジしやすくなることで多くの方の予防ができるのではないか、と医師としての使命感を感じ起業しました。こうして「hanaravi」を提供し始めました。
「hanaravi」は信頼できる歯科医のみと提携
従来の歯科矯正では、価格が通常100万円程度と高額で、毎月医院に通う手間や、医院の選び方がわからないなどの金銭的・心理的ハードルがあります。しかし、「hanaravi」では、国内のクロネコヤマトと提携した製造拠点でオーダーメイドのマウスピースを工業的に作成することで、価格を抑え、見た目の問題も解消します。
患者さんは、まず医院で専門の先生の診察と検査を受け、3Dの仕上がりイメージを確認します。その結果、納得いただければご契約いただき、患者さんのもとへ毎月マウスピースが届けられます。矯正の確認をオンラインや来院を組み合わせながら行っているので利便性が高く、患者さんは安心して矯正治療を受けられます。
また、「hanaravi」の製作には国家資格である歯科技工士の資格を持ったメンバーが携わり、丁寧に1つ1つ作っています。マウスピースは患者の口の中に入るものなので、特に安全性を重視しています。また、一部クリニックでは歯科技工士が常駐することで、ドクターや患者さんの声をもとに日々改善を実施しています。
提携先に関しても「hanaravi」は私が信頼できると思った歯科医のみに限定しています(現在は東京2、大阪1、京都1医院の計4医院)。嬉しいことに「hanaravi」を通した歯科矯正で成果の出ている患者さんも増えています。しかし、1点、大事なポイントがあります。
矯正を望んでいる全ての患者さんの状態によっては、必ずしも「hanaravi」での矯正が適しているとは限りません。「hanaravi」を希望して来院した方に医師の判断で、ワイヤー矯正を推奨するケースもあります。
マウスピース歯科矯正は、初診、治療計画、経過観察の治療プロセスが非常に大切です。一歩間違えてしまうとその方にとっては取り返しのつかないことになってしまいます。
「hanaravi」は比較的新しい矯正方法であるからこそ、患者さんが安心して取り組めるような体制を専門の先生と共に構築しています。
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また、「hanaravi」は透明で目立たないため、「矯正中は周りの人に矯正していることを気づかれないまま進めることができた」と好評をいただくことも多いです。
初めて歯科矯正をされる患者さんも多いのですが、矯正のシミュレーションを見ることで、治療イメージがわき、安心して進められるという声も少なくありません。
ありがたいことに、矯正が無事完了した方が周囲の方に勧めていらっしゃるケースが非常に多いです。
今後「hanaravi」については、より治療効果を高めて、より多くの症例に利用していただけるようにしていきたいと考えています。
また、歯科矯正をリーズナブルな価格でありかつ高品質な治療方法を多くの医院に提供し、より多くの人々が歯科矯正に取り組めるようにしたいと思っています。
これからもDRIPSは、当社のミッション「ひとの力と最新技術を組み合わせることでアンフェアを解消し誰でも健康に生きられるようにする」にもとづいて、予防医療に関する各種サービス開発や提供にも取り組んでいきます。
<著者プロフィール>
各務 康貴 (かくむ やすたか)
医師
株式会社DRIPS 代表取締役大分大学医学部卒。医師、救急医療や在宅医療が専門。医師をしながら電通コンサルティングにて中長期戦略策定・新規事業開発・ブランディング戦略などに携わる。2019年に独立し、予防医療に関連するサービスを行うために、株式会社DRIPSを創業。マウスピース矯正「hanaravi」をサービス開始し、口腔内から予防へのアプローチを行う。https://www.hanaravi.jp/corporate/
- Original:https://techable.jp/archives/202304
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:山田真由子