ドイツ・ハンブルクで4月23日〜28日の期間で開催中のHCI(ヒューマン-コンピュータ・インタラクション)の国際会議「CHI(カイ)」にて、明治大学の学生がMacBook Proのノッチに関する興味深い研究を発表しています。
ポインティングの研究を専門とする学生が研究発表
食べたいものの味を何でも記録して、再現できる「味ディスプレイ」など、味覚に焦点を当てたHCI研究の第一人者である宮下芳明(みやしたほうめい)教授の研究室の学生が、HCI研究において権威のある国際会議で、MacBook Pro(2021年発売)のノッチに焦点を当てた研究を発表しています。
修士2年の大場洋介(おおばゆうすけ)さんは、「ポインティング」というカーソル操作に関する研究を専門としていますが、CHIでは、現在Mac上では使用することができない「ワープするノッチ」を実験的に実装し、その効果を検証する研究のポスター発表を行っています。
「カーソルがノッチの左右にワープしたときの効果(Effect of a Cursor Warping Left and Right of the Notch)」と名付けられた論文では、カーソルがMacBook Proのノッチに触れたとき、ノッチの裏を通り抜けるのではなく、そのままノッチの反対側へと移動する新設定により、カーソル移動時間の抑制が達成できるかの実験結果が示されています。
実験では、デフォルトのカーソルとノッチの左右にワープするカーソルだけでなく、デフォルトの2倍の大きさのカーソルが移動時間に与える影響も検証されています。
カーソルをワープさせても移動時間は縮まらない?
大場さんの実験の結果、カーソルがノッチに触れた瞬間に反対側へとカーソルがワープするシステムにより、カーソル移動時間の改善はみられなかったとのことです。
宮下先生いわく、大場さんはカーソルがワープするノッチよりも、ノッチ領域が完全にブロックされ、ノッチの裏側にカーソルが配置されることのないシステムを支持しているとのことで、このブロック領域を使ってアプリの立ち上げなど、別の機能を割り振ることも可能だと考えているそうです。
実験システムの実装はWindowsで
宮下先生によれば、大場さんのカーソルがワープするノッチの実装は、Windowsコンピュータを用いて行ったとのことです。
「(周りを見てもノッチの研究を発表しているのは)世界中で我々しかいない。競合相手がいない笑」と、宮下先生は研究について語りました。
「(ノッチ付きMacBook Proが出たとき話題になったが)ノッチが良いか悪いかを、自分の研究分野から判断したいと思った」と、大場さんは研究を始めたきっかけを説明しています。
世界的にはニッチかもしれないノッチ研究ですが、HCIの重要な領域を占めているため、もっと研究が加速しても良いのではないでしょうか。
Source:CHI EA ’23/ACM Digital Library, 明治大学 (1), (2)
(lexi)
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- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania