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機能を絞ってモンキーレンチを追加!重厚さがむしろ使いやすい工具系マルチツール

【男前マルチツールの世界】

マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”。とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。

そんなマルチツールの男前な魅力を紹介する連載第34回は、NexTool(ネクスツール)「多機能レンチナイフ」(3899円)です。

NexToolは中華系では比較的名の通った実績あるブランドで、「品質はそれなり、コスパは一流」といったところが私の印象。そんな中華ブランドの雄 NexToolのモンキーレンチが付いたモデルを紹介します。

 

■意外と少ないモンキーレンチ付きマルチツール

自在に幅を広げたり縮めたりしてさまざまなサイズのナットをキャッチできる便利なモンキーレンチですが、あまり他のマルチツールには付いていません。その理由として考えられるのが、まずは重くなること。同じくらいのツール数を搭載する同じくらいのサイズと比べて、2〜3割増しの重さです。今回のアイテムの重量は317g。300gを超えるとかなり存在感を感じる重さです。

次に、ハンドル部が分厚くなりかさばるため、携帯性という点ではマイナスになります。そして…というか元も子もない話かもしれませんが、プライヤーがあるなら「要らなくない?」といった考えもあるかもしれません。

ナットやボルトをキャッチして回すだけならプライヤーでもできます。ただし、その場合、もれなくナットを傷つけます。緊急時だから構わないという考えであればそれでいいかもしれません。しかし、繰り返し使うことを想定したボルトやナットであれば、できるだけ傷は付けたくないですよね?

モンキーレンチでもレンチやソケットに比べれば、角をナメる可能性は高いですが、プライヤーほどの攻撃性はありません。ナットの開け締めに関してそこまでシビアではない状況では確実に使えると思います。

モンキーレンチ部ですが、メーカーはモンキーレンチとは呼称していません。「精密スケール」という名称が付いています。実際、20mmのスケールが刻まれていて物を挟むことで長さが計れます。レンチの動作はとてもスムーズで快適。ただ、箱出しの状態だとかなりグリスがたっぷりと各所に塗られているようなので、軽く拭き取ってから使うことをオススメします。

▲プライヤーには4種のツール

先端部はワイヤーを捻じ曲げたり細かなパーツを把持したりするためのニードルプライヤーです。先端までしっかりとトレンチが刻んであり、十分な把持力があります。プライヤー内部にはバネが内蔵されており、開け閉めが簡単。握力に自信がないユーザーでも扱いやすいフレンドリーな仕様。

基部に近いマルチプライヤーはM4以上のナットやボルトをキャッチできます。その後ろが弱電用ケーブルなどを切れるカッター部。さらにその裏のハンドルとハンドルの間にある部分はワイヤーカッターです。約1.6mmのワイヤーや鋼線のカットが可能です。

▲メインのブレードは30Cr13ステンレスの素材を使用

ブレードはボディと同様に黒染めされた渋めのデザインで刃渡り75mm。切れ味は十分です。研げばもっと使えるナイフになると思います。先端部がさほど鋭角になっていません。先端部を使用してなにかを貫通させるような作業はやや不得意な感じですね。視覚的にはマイルドで肥後守のようなブレードです。

ブレードの反対側にはノコギリを装備。素材はブレードと同じ30Cr13を使用しています。厚みは約1.3mmと、マルチツールのノコギリとしては標準的。枝を切るにはいい感じ。どちらもプライヤーを畳んだ状態で展開できるのですが、不思議なことにノコギリにはロック機能があるのにナイフには付いていません。

ドライバービットはプラスとマイナスがあり、共に基部に脱落防止のボールジョインターを装備。摩擦抵抗やマグネットよりも強固な脱落防止方法だと思います。もちろん、付属するドライバービット以外でも装着は可能。ビットはナイフ側のハンドル内側に格納されていて、基部にある弾丸のリムのような溝に爪を引っ掛けて引き抜きます。

ビットはノコギリ側のハンドルエンドの他、二カ所に挿して使います。使用場所やトルクの強さによって使い分けられるのが良いですね。このマルチツールは、主に締めたり緩めたりする作業に適したアイテムだと思います。

▲ハンドルエンド部以外でもビットを挿して使える

個人的な感想ですが、実物を手にして思ったのは、「思っていたよりも軽かった」ということ。300gを超えるアイテムなので「軽い」というのは語弊がありますが、モンキーレンチが付いている割には軽いということです。実はモンキー部分は中空3D構造になっています。

▲各所が肉抜きされているので洗浄しやすくメンテナンス性も良好

ハンドル部分も大胆な肉抜きが施されており、かなり軽量化には苦心した様子が伺えます。ツールの重量に関しては、使い方やシーンによって大きく感想が変わってくると思います。携帯するのか、クルマやバイクなどに車載するのか、などによっても違ってくるでしょう。単純に軽いものが欲しい人にはオススメしませんが、サイズの異なるナットやボルトを適時締めたり緩めたりする用途がある人であれば使い出のあるアイテムだと思います。

▲限られたツールに実用性を感じる

機能を限定することで課題とされる重量減に貢献し、工具としての使いやすさを追求しています。一昔前の欧米ブランドの廉価版といった感じではなく、オリジナリティと使いやすさをユーザーに提案する姿勢は誠実さを感じます。バイクツーリングのお供にいいかもしれません。

>> [連載]男前マルチツールの世界

<取材・文/GOL>

GOL|歯科技工士、ECディレクター、webライターまで幅広く活動しております。指先に伝わるハンドツールの質感や重さ、音などアナログな部分に惹かれて今に至ります。一番好きなのは懐中電灯。

 

 

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