世界的に進むモビリティの電動化。自動車に関しては、2030年には販売される乗用車の5割強がBEV(バッテリー電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)になるという調査結果が出ています。この流れはオートバイ業界も同様で、世界的な電動化が進んでいます。
そんな中、ホンダから国内初となる一般向け電動バイクが8月24日に発売となります。それが原付一種区分の「EM1 e:(イーエムワン イー)」。着脱式のバッテリーを搭載し、車両とバッテリー、充電器を含めた価格は29万9200円です。
新型電動スクーター「EM1 e:」のポイントは、やはりそのバッテリーシステム。シート下に「Honda Mobile Power Pack e:」というバッテリーを挿し込むカタチになっていて、満充電で最大走行距離は53kmとのこと。充電はコンセントに接続した「Honda Power Pack Charger e:」で行い、ゼロ状態から満充電までの充電時間は約6時間。1日走って帰宅したら、バッテリーを外して家の中へ。寝ている間に満充電という使用シーンが想定できますね。
ちなみにバッテリーである「Honda Mobile Power Pack e:」のサイズはW177.3×L156.3×H298mm、10.3kgとなかなかの大きさ。とはいえ、持ち運べないほどではありません。空っぽになったらバッテリーを交換するという使い方は、充電時間の必要がなく、連続して走行や稼働が可能となります。電動バイクの普及が進む台湾では、街なかの各所に同様のバッテリーパックステーションが設置され、空になったバッテリーを挿し込み、フル充電されたバッテリーを取り出してバイクに挿し込む姿を見かけます。
いわゆるバッテリーシェアシステムは、大容量の大型バッテリーを必要としないバイクだからできること。ホンダもシェアリングステーションである「Honda Power Pack Exchanger e:」をすでにリリース。普及を目指しています。
そして「EM1 e:」はこのシステムを利用可能なスクーターとなります。
コンセプトが“ちょうどe:(いい)Scooter”とあるように、いわゆる原チャリと同じカタチで、通勤通学や近所での買い物などにはピッタリ。シート下はバッテリー搭載スペースなのでさすがにメットインとはいきませんが、小物が収納できるラゲッジボックスになっていて、さらにフロント部には500mlのペットボトルも入るインナーラックやコンビニフック、スマホなどを充電できるUSB Type-A端子を標準装備しています。
モーターは、後輪のホイール内に搭載し、最高出力は1.7kW(2.3PS)、最大トルクは90N・m(9.2kgf・m)。スイッチ操作で、モーターの出力を抑えて省エネ走行が可能な“ECONモード”も備えます。そしてブレーキはホンダ独自の前後輪連動ブレーキが使われ、フロントはディスクブレーキ仕様に。さらにメーターはフルデジタルを採用し、スピードメーターに加えて、時刻やバッテリー残量を表示してくれます。
「EM1 e:」のキモはやはり着脱式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」。これにより、充電環境に左右されない運用が可能になります。自宅に充電設備を作れない共同住宅に住んでいたとしても、それこそ電動アシスト自転車感覚でバッテリーを運用できる電動バイクなら、導入のハードルは低くなります。またバッテリーシェアシステムが普及すれば、走行距離を気にせず楽しめるようにも。
実は2021年には、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内4メーカーが交換式バッテリーの相互利用を可能とする標準化に合意しています。いわゆるバッテリーの規格統一であり、どのメーカーの電動バイク(原付一種および二種のみ)を買ってもバッテリーは共通ということ。そして「Honda Mobile Power Pack e:」は、この合意の流れを受けて開発されたものです。そして今回の「EM1 e:」発売。バイク(スクーター)の電動化は一気に進みそうな気配です。
>> ホンダ「EM1 e:」
<文/円道秀和(&GP)>
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- Original:https://www.goodspress.jp/news/531606/
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