Appleが発表したVision Proの名称は、中国の通信大手、Huaweiがすでに商標登録していることが分かりました。Appleは中国でVision Proをどう販売するのでしょうか。ただし、Appleが発表した製品名がすでに商標登録されていた事例は、これまでにiPhoneも含めて複数ありました。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. 「Vision Pro」の名称はHuaweiがすでに商標登録していた。
2. 中国ではVision Pro以外の名称に変更するなどの可能性がある。
3. 直前で名称が変更されて、十分に確認ができなかったのかもしれない。
「Vision Pro」はHuaweiが2031年まで独占使用権を保有
Appleは世界開発者会議(WWDC23)で空間コンピュータ、Vision Proを発表しましたが、この製品名はすでにHuaweiが商標登録していることが分かった、とGizmoChinaが報じています。
Huaweiは、「Vision Pro」の商標登録を2019年に申請しており、2021年11月28日から2031年11月27日までの独占使用権が認められています。
Huaweiは「Vision Pro」の名称の用途を液晶テレビ、ヘッドマウント仮想現実(VR)デバイス、通信機器などの製品と申請しています。
なお、Huaweiはヘッドセット型デバイス「Vision Glass」や、液晶テレビ「Huawei Vision Smart Screen」を販売していますが、現在のところ「Vision Pro」という製品は販売していません。
どうする、Apple?
Appleは、以下3つのいずれかの行動をとる可能性がある、とGizmoChinaは推測しています。
- 中国市場向けに「Vision Pro」以外の名称を使用する。訴訟リスクを避けられる、最も現実的な解決策。
- 「Vision Pro」の名称を使用できるよう、Huaweiと交渉する。交渉は複雑で時間がかかる可能性があるものの、Appleは世界で同じブランドを使用できる。
- 中国市場でVision Proを発売しない。世界有数の重要な市場を手放すことはAppleにとって損失が大きいものの、法的問題の回避には有効かもしれない。
これまでもあった、名称かぶり
Appleが発表した製品が、すでに商標登録されていたのは今回が初めてではありません。
「iPad」は富士通が、「iOS」はCiscoが、Apple TVの発表当時の名称「iTV」はイギリスの放送局ITVが、それぞれ商標登録していました。
そして、Appleは日本で「iPhone」を販売するにあたって、インターホン大手のアイホン株式会社に毎年1億5,000万円のライセンス料を支払っていると推測されています。
そのため、Apple JapanのWebサイトや、iPhoneの外箱には「iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています」の一文が加えられています。
なお、アイホン株式会社はiPhoneと連携可能なインターホンを販売しています。
検証時間が十分に取れなかった?
Appleは、ダミー会社を使って実際に販売しない製品名も含めた多くの商標を登録し、法的問題のリスクに備えていると言われています。
重要市場である中国で、ライバルにあたるHuaweiが商標登録しているVision Proの名称を使用したのは、Appleらしくないようにも思えます。
Appleのヘッドセット型デバイスが噂されていた時期に、Appleがペーパーカンパニーを経由して「Reality Pro」や「Reality One」、そして「realityOS」や「xrOS」を商標登録申請していたことが分かり話題になりましたが、実際にこれらの名称が使われることはありませんでした。
しかし、Appleが開発者向けに公開した動画では、「xrOS」の名称が連呼されており、発表直前に名称が変更されたのではないかと思われます。
こうした状況から推測すると、「Vision Pro」の名称がすでに商標登録されていることを確認するための時間が十分に取れなかったのかもしれません。
Source:GizmoChina, AppleInsider, 読売新聞
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/vision_pro-541478/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania