グーグル初の折りたたみスマホ「Google Pixel Fold」の予約受付が始りました。Googleストアでは7月下旬発売で、価格は25万3000円。ドコモ、au、ソフトバンクも取り扱い、発売日と価格はそれぞれ下記のように案内されています。
<ドコモ>
7月下旬以降発売
25万2890円(「いつでもカエドキプログラム」利用時の実質負担金は14万9930円)
<au>
7月下旬発売
28万6080円(「スマホトクするプログラム」利用時の実質負担金は15万4620円)
<ソフトバンク>
7月31日発売
28万7280円(「新トクするサポート」利用時の実質負担金は14万3640円)
発売まで、もう少し待たなければなりませんが、筆者はグーグルから端末を借り、一足早く使ってみる機会を得ました。率直な使用感をお伝えします。
■手にしただけで所有欲をくすぐられるかも…
Pixel Foldは折りたたんだ状態では5.8インチ、開くと7.6インチの広いディスプレイを利用できます。
閉じた状態は、やや幅太のスマホといった印象。それでも横幅は79.5mmに抑えられているので、片手でしっかりつかめます。ちなみに、Pixelシリーズで最も画面が大きい「Google Pixel 7 Pro」の横幅は76.6mmで、「iPhone 14 Pro Max」は77.6mmなので、それらよりも若干幅広い程度です。
閉じた状態で使う外側のディスプレイは「Corning Gorilla Glass Victus」という強化ガラスで保護されています。
背面にも同じガラスを使いつつ、マット仕上げでサラサラとした手触り。なお、フレームやカメラバーにはアルミニウムを用い、光沢仕上げになっています。
ヒンジはステンレス製で鏡面仕上げ。しっとりと手に馴染む感覚があり、されど指紋が付きにくい、高級感が感じられる仕上がりです。重さは283gあり、スマホとしては重いのですが、ハイエンドの重厚感として好意的に捉えることができます。
右側面に電源ボタンと音量ボタンを配置。電源ボタンには指紋センサーが搭載されています。前面カメラによる顔認証も可能で、顔認証のほうがスピーディにロック解除できます。
上部にはスピーカーとマイク。下部にもスピーカーとマイクがあり、SIMスロットとUSBケーブルの接続口を備えています。
■閉じた状態ではフツーのスマホとして使える
Pixel Foldは普段は折りたたんで持ち歩き、基本的な操作もこのスタイルで行うことになるでしょう。折りたたみ時のサイズは139.7×79.5×12.1mm。一般的なスマホよりは大きく、世代によってはPDA(携帯情報端末)を思い出すかもしれません。
アプリを起動したり、かかってきた電話に応対したり、Webをスクロールしたりといった操作は片手でこなせますが、文字入力はギリギリという感じ。基本的には両手で操作したほうがよさそうです。
■開くとタブレットに近い使用感に
大画面を利用するには、本を開くように両手で開きます。やや硬めで、180度に開ききらない途中の角度でも固定できます。
開いた状態のサイズは139.7×158.7×5.8mm。タブレットと呼ぶには小さいですが、“大画面の薄い板” という印象。内側ディスプレイは7.6インチの有機ELで、解像度は2208×1840。外側ディスプレイと同じく、リフレッシュレートは最大120Hz。ただし、折り曲がる仕様のため、Gorilla Glassなどの強化ガラスは使えず、「保護プラスチック層を組み込んだ超薄型ガラス」を使っているとのこと。閉じた状態よりは強度が弱まるので、うっかり落としてしまったり、固い物を挟んで閉じてしまったりしないように注意が必要ですね。
■多くのアプリが大画面に最適化
やはり最大のメリットは、広い画面を使えることに尽きます。そもそもホーム画面に多くのアイコンやウィジェットを表示できることが利点。下方向にスワイプするとクイック設定と通知パネルを同時に表示され、右方向にスワイプして表示するGoogleのニュース画面も2列で見やすく表示されます。
Google純正のアプリは、あらかじめ広い画面に最適化されています。たとえば「Gmail」は左に受信メール一覧を表示して、選択したメールが右に展開されます。「マップ」は平面地図とストリートビューを同時に表示することが可能。
筆者がよく使うアプリを「Playストア」からインストールしてみたところ、フルスクリーンで表示されるものもいくつかありました。たとえば「TikTok」は、縦画面の動画を再生しつつ、コメント欄も表示できます。「Spotify」も多くの情報が表示され、選曲をしやすく感じられました。
なお、Pixel Foldの内側ディスプレイでの表示に最適化されていないアプリは、左右に黒い部分が表示されます。しかし、横開きではなく縦に開いたように向きを変えるとフルスクリーンに表示されました。
画面を分割して、ふたつのアプリを同時に使えることも利点。画面を分割する方法は複数ありますが、画面の下にタスクバーを表示させて、そこから使いたいアプリをドラッグするのが最も簡単だと思われます。
■高画質カメラは、固定して撮影できるのも便利
背面カメラは3眼。メイン(48メガピクセル/F値1.7)+超広角(10.8メガピクセル/F値2.2)+望遠(10.8メガピクセル/F値3.05)という構成。望遠は光学5倍で、超解像ズームは最大20倍で撮影できます。
撮影画質は、従来のPixel譲りといった印象。風景も人物も食べ物も夜景もきれいに撮れるので、撮影が楽しくなること請け合いです。
折りたたみの形状を生かして、三脚がなくても固定して撮影できることも利点。「デスクトップモード」と呼び、上半分にプレビューが表示され、下半分が操作パネルになります。Pixel Foldのカメラには「長時間露光」モードもあるので、星空を撮影する際などに重宝しそうです。
閉じた状態で使える前面カメラは9.5メガピクセル(F値2.2)、開いた状態で使う内側カメラは8メガピクセル(F値2.0)。ただし、Pixel Foldは開いた状態で背面カメラで自分撮りをすることが可能。前面カメラと内側カメラはビデオ通話用と捉えたほうがいいでしょう。
■パフォーマンスも電池持ちにも満足
プロセッサーは、Google Pixel 7シリーズやGoogle Pixel Tabletと同じ「Google Tensor G2」。RAMは12GB RAMで、ROMは256GB。筆者はまだ数日しか使っていませんが、今のところ、アプリの起動や切り替えでもたつくこともなく、快適に操作できています。
バッテリー容量は4821mAh(標準)で、標準的な使い方で24時間以上の連続駆動を見込めるとのこと。筆者が実際に使った範囲では「1日は余裕で持つが、2日持たせるのは厳しいかも」という印象でした。ワイヤレス充電にも対応しています。
■大画面と携帯性のどちらも求める人に
折りたたみスマホは先進的かつ多機能で、使いこなしが難しいと思う人もいるのでは。しかし、Google Pixel Foldは、折りたたみ時はフツーのスマホと同じように使えて、開いても、操作が難しくなるわけではなく、ただ画面が大きくなって、便利に使えます。動画を見たり、電子書籍を読んだりすることが多い人にはもってこいのデバイスです。
通訳機のように使えたり、受信したメッセージを自動で翻訳したりできる「リアルタイム翻訳」も使えます。Android 14がリリースされるタイミングで、外側のディスプレイと内側のディスプレイを同時に使う、デュアルスクリーンでの通訳モードが使えるようになる見通し。外国人と話す際に、Pixel Foldを開いて持てば、それぞれの言語に翻訳された文章が表示される仕掛けです。
グーグル純正のスマホなので、OSがアップデートするたびに機能が追加され、使い勝手が進化することも期待できそうです。価格は高めですが、「画面は大きいほうがいいが、持ち歩くにはコンパクトなほうがいい」というジレンマを感じていた人は検討する価値アリ。実際に手にすると欲しくなること請け合いです。
>> Googleストア
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/538854/
- Source:&GP
- Author:&GP