サイトアイコン IT NEWS

ダイソンの空気清浄機能付きノイキャンヘッドホン「Dyson Zone」は音質も空気清浄もイイ!ただし装着には少し勇気が必要かも

ダイソンが日本国内で5月23日に発売した「Dyson Zone」は空気清浄機能付きのヘッドホン! 非接触シールド一体化というダイソンらしいコンセプト、そしてSFチックな外見から、海外発表時点から話題になったモデルが日本に上陸しました。

▲ダイソンによる空気清浄機能付きヘッドホン「Dyson Zone」。価格は12万1000円

ヘッドホンとしてはハイエンド機の値付けですが、空気清浄機付きという新ジャンルだけに通常のヘッドホンと単純に価格比較できるものではありません。

では、ヘッドホンとしての音質は? そして空気清浄機能の効果は? そもそもシールド装着の外見って。といった数々の疑問をテストしていきたいと思います。

 

■サウンドは優秀だがいろいろと個性派

まずは「Dyson Zone」のヘッドホンから紹介していきましょう。ダイソン初のヘッドホンながら、ヘッドホンとしてはよく作り込まれているのですが、ヘッドホン単体で595gと正直重め。その分、頭頂部および耳のサイドにウレタン素材のクッションを搭載し、さらにイヤーパッドを柔らかくして負担にならないようサポートしてくれます。

▲パンチメタルのシルバーという「Dyson Zone」のデザイン。中心部は中が見える窓付きと、ヘッドホン単体としても個性派デザイン

▲カラーリングのみでダイソン製品だと分かる人には分かります。シールド部はメタリックで周囲が映り込みます

そして「Dyson Zone」唯一無二の構造となる空気清浄機能。ヘッドホンのイヤーパッド部には空気清浄フィルターを内蔵します。ここから外気を吸い込み、ヘッドホンに取り外し可能な非接触シールドにきれいな空気を送り込むという設計です。

▲ヘッドホン内蔵のフィルター。0.1μmの粒子を99%補足する空気清浄機並みの性能。NO2(二酸化窒素)やSO2(二酸化硫黄)なども除去

▲着脱式のシールド。マグネットでヘッドホンに装着できるようになっていて、ヘッドホン装着後につけるのが正しい順序。シールド込みの重量は670g

今までシールド付きのヘッドホンというのを装着したことがなかったので、新しい外見にはなかなか慣れませんが、僕はポジティブに「SF風でカッコいいかも」と思いました。家族に見せると「戦隊モノのレンジャーみたい」と言われてしまいましたが…。

▲シールドが口元をがっちりカバー。なお顔の大きさに合わせてバンド部を伸ばして調整が可能

▲シールド首元に下げることも可能。シールドの上下で空気清浄機能のOn/Offも連動します

各種コントロールは、スマホアプリ「MyDyson」を利用。アプリからは、空気の状態の数値化(周囲の空気質NO2による)と、再生音と外音のレベルを数字化。このふたつのデータは利用時間とともにグラフがそのまま履歴として残るところがとてもユニーク。

さて、この「Dyson Zone」はヘッドホンでもあるわけです。ということで、まずは音質をチェック。

宇多田ヒカル『あなた』から聴いてみると…若干シャープに立てる歌声、オーケストラの広がりも丁寧でクオリティとしては実力十分。BTS『Dynamite』を聴いても、歯切れよい歌声に、6Hzまでカバーする重低音の深みはとても上質です。

▲スマホから音質をチェック。BluetoothコーデックはSBC/AACに対応

イコライザは3つのプリセットがあり、デフォルトは“エンハンスド”。これを“ニュートラル”に切り替えると、高域と低域を抑えてた極めてナチュラル志向。“ベースブースト”にすると重低音の量感をリッチに聴かせてくれます。イコライザのモードはお好みですが、数万円のハイエンドヘッドホン相当の実力はありそうです。音楽のみなら連続50時間駆動なのでバッテリーは十分です。

▲サウンドコントロールの画面からアクティブノイズキャンセルやイコライザを設定可能

そして、8マイクによるアクティブノイズキャンセルと外音取り込み(ダイソンによる名称は“アイソレーション”)、さらに“トランスペアレンシー”にも対応しているので、これらを屋外で装着しテストしてみました。

▲「Dyson Zone」を装着して屋外テストへ。ちょっと外に出るだけでなく電車で外出しています

まず、駅~電車内で試したノイズキャンセルの騒音低減ですが、特に電車の走行音の低音部をしっかり低減。中高域はボリュームダウンして軽く残るタイプ。騒音低減は十分有効で圧迫感もありませんでした。外音取り込みも自然で装着したまま違和感なく歩けます。

そして、シールドを付けて空気清浄機能を使い始めてみます。ノイズキャンセルOnでも空気清浄ファンの回る音が聞こえますね。空気清浄の機能は低/中/高の3段階でデフォルトはAUTOなのですが、最も小さい1に設定した状態でも“ウーン”と鳴る音は聞こえ気味。2、3と上げると騒音の音域も高くなっていきます。ただ、このファン音が“空気清浄機能が動いている”という安心感につながるところもあって、許容するべき部分かも。ちなみに口元に軽く風のあたる感覚がありますが、非接触なので不織布のマスクよりは快適です。

空気清浄機能ですが、これ確かに有効です。鼻に付く程度のニオイは消してくれます。スマホアプリ「MyDyson」で空気の状態を数値化してくれるので興味本位で歩き回ったのですが、アプリ上の空気質は最大でも2.0で“きれい”の範囲内の評価までしか到達せず。空気質スコア3.0~6.9の“やや汚れている”についてはあくまで想像になってしまいますが、結構働きそう。

なお、音楽再生+空気清浄機能を使うと連続再生時間は最長でも4時間になる点は要注意ポイントです。

そして最後の感想。「Dyson Zone」を付けていて街中で目立たない? という部分ですが、誰かに話しかけられたり、指差されたり、カメラを向けられたりすることは、ありませんでした。ただし、人混みのなかでは、妙に知らない人と目が合うことも…。でも、装着している僕のメンタルとしては、最初は人の目を意識していたけど、1時間も外出していたら何だか慣れてしまって、そのうち平然と過ごせるようになりました。

まだまだ世の中マスクをしている人も多いわけで、「Dyson Zone」のシールドも似たようなものと考えると、徐々に世の中に受け入れられていくのではないでしょうか。あとは、シールド部がメタリックではなく落ち着いた色合いになったら、もっと馴染みやすいかもしれませんね。

>> dyson

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

【関連記事】

◆2023年完全ワイヤレスイヤホン最強候補、テクニクス「EAH-AZ80」レビュー。アップル、BOSE、ソニーと比較も
◆総額10万円ちょい!サブスク音楽時代のピュアオーディオ最初の一歩はマランツ×JBLで決まり!?
◆「コーデック」って何? ワイヤレスイヤホン選びで知っておきたい基礎知識

モバイルバージョンを終了