【達人のプラモ術】
タミヤ
グランプリコレクション
1/20 ポルシェ935マルティーニ
01/05
この6月にタミヤから1/20ポルシェ935マルティーニが発売(再販)となりました。初回発売は1977年!ですから実に46年前のキットということになります。しかし今の目で見ても古さを感じさせないのが流石タミヤといったところです。今回はこの往年の名キットを製作しながら、カーモデル製作のノウハウを分かりやすく紹介していこうと思います。(全5回の1回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」でもレビューを配信中。
■ポルシェ935マルティーニとは
1976年に始まった、グループ5レーシングカーによって争われた世界選手権レース。その制覇のために開発されたグループ5マシンがポルシェ935マルティーニです。市販車の930ターボをベースに、ボディからメカニズムまで大改造を施した高性能レーシングカーで、レギュレーションで外観を残すことが規定されていたことから「シルエット・フォーミュラ」と呼ばれました。
リヤエンドに搭載される2857ccの空冷水平対向6気筒ターボエンジンは、KKK製ターボチャージャーが装備さえ590馬力を発揮。軽量化されたボディは前後のオーバーフェンダーや空力的に有利なフラットノーズ、さらに車体後方に大きくオーバーハングしたリヤウイングを採用しています。76年のレースでは全7戦中4勝をあげてポルシェにチャンピオンタイトルの栄冠をもたらしたマシンです。
■最初に発売されたときは電池で走るモデルだった
1970年代後半と言えば池沢さとし氏(現池沢早人師氏)が描いた「サーキットの狼」が大人気となり、日本はスーパーカーブームの真っ盛りでした。国内のプラモデルメーカーは、こぞってポルシェ、フェラーリ、ロータス、マセラッティといったスーパーカーをプラモデルを発売していました。
中でもポルシェの人気は高く、77年に発売されたタミヤ「1/20 ポルシェ935マルティーニ」も高い人気を集めたモデルで、当時はRE0260モーターと単三電池2本で走行させることができるモーターライズでした。
そんなわけでドライバーフィギュアが付属しているんですね(無人のクルマが走るのは不自然)。
キットは1999年の再販以降、長らく発売休止となっていましたが、24年ぶりの再販となる今回は、走行機能は省かれてディスプレイ専用モデルとなっています。
キットはモーターライズだったこともあり、エンジンなどは見える部分だけの再現となっていますが、実車のメカニカルな構造がよく再現されているのは、さすがタミヤといったところです。
近年ではGTマシン等のカーモデルと言えば1/24が主流ですが、1/20スケールとちょっと大きめサイズなのは新鮮でもあります。
■まずはボディの製作を優先
カーモデルの組み立て説明書(インスト)を見ると、大抵の場合、足回りの組み立て→インテリアの組み立て→ボディの製作→最終組み立てといった順番で製作を進めていくように指示されています。
しかしこの順番で組み立てていくと、ボディ製作時に塗装を行うことになるので、塗装を乾燥させている間は作業がストップしてしまいます。
そこで達人的には、インストの製作順にそって作業を進めるのではなく、まず初めにボディの製作と塗装を完了させてしまします。そしてボディの塗装を乾燥させている間に、改めてインストの初めに戻って、足回りの組み立て→インテリアの組み立てと進めることで、ボディ塗装の乾燥待ちという時間ロスをなくし、効率的に製作を進められるというワケです。
それに最初にボディの塗装が上手く決まると、モチベーションがぐっとアップする効果もありますよ。
【カーモデル製作の基本①】パーティングラインを処理する
プラモデルは、金型に溶けたプラスチックを流し込んで成形されている関係で、パーツには金型の合わせ目(パーティングライン)が必ず存在します。カーモデルのボディでは外周に凸線で入っています。
実車には存在しない凸線なので、パーティングラインは研磨して消さなくてはいけません。最近のキットだとパーティングラインは極力目立たないよう配慮がなされていることが多いのですが、今回はさすがに46年前のキットなのでかなり目立っています。
パーティングラインの研磨は、まずはフィニッシングペーパーの400番で段差を削った後、目の細かい研磨スポンジシートで研磨してボディの曲面をなだらかに仕上げていきます。
【カーモデル製作の基本②】パテとサーフェイサーでボディの下地を整える
キットのボディは、やはり古いだけに、よく見るとヒケ(パーツ表面にできる微妙な凹状のヘコミ)や細かい傷が気になります。仕上げにも影響するので、塗装前に修正しておきましょう。
特に左右に大きく張り出したリアフェンダーの上部分はヒケが目立つので、ここはビン入りのサーフェイサーを使って修正しておきます。
ヒケの処理が終わったらサーフェイサー(ライトグレイ)をボディ全体に塗布。乾燥後に2000番の研磨スポンジシートで表面を研磨して、よりボディを平滑に仕上げます。
研磨が完了したら、ボディを軽く水洗いして、サフの削りカスなどを洗い落して完了です。
手前味噌ではありますが、達人はタミヤ公式のYouTube動画配信『タミヤ 基礎からのプラモデル講座(サーフェイサー編)』で使い方のポイントを解説しています。よりしければそちらも参考してください。
【カーモデル製作の基本その③】ボディの塗装は缶スプレーで(前編)
ボディの下地塗装が終わったら、いよいよ本塗装です。今回はエアブラシではなく缶スププレーを使って塗装していきます。エアブラシは確かにキレイな仕上げが可能ですが、カーモデルのボディのような光沢塗装の場合、缶スプレーは効率よく大きな面積に一気に塗料を吹き付けることができると言っても良いでしょう。
またエアブラシを持っていない場合、導入にコストが掛るという問題もあります。吹き付けの際のコツさえ掴めば、手軽に缶スプレーでも美しい光沢塗装を得ることができるのです。そして今回は、難易度が高いとも言われる白を缶スプレーで仕上げいきます。
と言うワケで今回はここまで
ボディの缶スプレー塗装は、期待を持たせつつ次回後編で詳しく紹介。楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/544314/
- Source:&GP
- Author:&GP