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最強のグループ5マシン「ポルシェ935マルティーニ」完成!【達人のプラモ術<ポルシェ935マルティーニ>】

【達人のプラモ術】
タミヤ
グランプリコレクション
1/20 ポルシェ935マルティーニ
05/05

耐久マシンらしいコクピットも完成していよいよ完成が見えてきた1/20 ポルシェ935マルティーニ。グループ5のシルエットフォーミラはカッコいいです、シビれます! 1976年のレースでは全7戦中4勝をあげて、ライバルBMWを圧倒してシリーズチャンピンを獲得しているんですね。最終回となる今回は世界選手権にポルシェの天下を築いた栄光のマシンを完成させましょう!(全5回の最終目/1回目2回目3回目4回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
でもレビューを配信中。

 

■ドライバーフィギュアの製作

最近のカーモデルでは、スケールを問わず、キットにドライバーフィギュアが付属していません。ドライバー個人のライセンスなど複雑な事情が絡んでくるので致し方ないところはあるのですが、時に乗せたくもなります(個人的には立ちポーズのドライバーをマシンの横に置きたい派)。

このキットが1977年に発売された当時は、モーターライズモデルだったこともあり、ドライバーが乗っていました。今回の再販でも、当時そのままに出来の良いドライバーフィギュアは付属しています。せっかくなので塗装を仕上げて乗せてやりましょう。

キットにはジャッキーイクスとヨッヘンマスのヘルメットデカールも付属しており、ジャッキーイクスをチョイスしています。

▲キットに付属しているドライバーフィギュア

▲フィギュアは胴体と腕を接着。腕はハンドルを持たせて不自然にならないように位置を決めておくこと。黒サーフェイサーで下地塗装のあと、レーシングスーツの白をエアブラシで塗装

▲ヘルメットはメタリックブールで塗装。シートベルトやブーツやグローブは筆塗りで仕上げて、フラットクリアーでツヤを整えたのち、スミ入れ塗料のブラックを使いスーツの陰影を強調している。ヘルメットのラインとレーシングスーツのストライプは付属のデカールで再現。ドライバーにハンドルを先に持たせて位置を決めて接着しておくとコクピットへの取り付けがやりやすい

▲完成したドライバーをシートに収めて、ハンドルの角度が不自然にならないように位置決めに注意しながら接着

 

■ウインドパーツの取り付け

ボディにフロントウインドや、サイドウインドといった透明パーツを取り付けていきます。

ウインドパーツは、古いキットということもあって表面の歪みが気になりました。そこで、表面の歪みを消して、より透明感を強調するため、専用クロスを使ってコンパウンドで粗目→細目→仕上げ用→セラミックコンパウンドで表面を砥ぎ出し、さらにコーティングポリマーを塗布して磨き上げます。

磨き上げたクリアパーツはボディと接着。その際、プラ用の接着剤を使うと、僅かなハミ出しでもクリアパーツが曇って台無しになってしまうので、カーモデルの製作でもいちばん気を使う工程でもあります。最近のキットではクリアパーツは接着剤を使わないハメ込みになっているものが多くなり、接着剤で曇らせてしまうトラブルもなくなりつつあるのですが、本キットは接着仕様なので、気を使います。

 

■透明部品はクリアーボンドで接着

さて難易度の高い透明部品の取り付けですが、ここはクリアーボンド(使用したのはタミヤ「多用途接着剤クリアー」)を使って接着することでリスクを減らしましょう。

クリアーボンドはプラや塗装を溶かしにくく、また接着剤自体が硬化しても透明なので、はみ出しても目立たず、透明部品の接着剤の強い味方になってくれます。ただしプラ用接着剤に比べると硬化に時間がかかるので、パーツをクリップやマスキングテープで固定しておくことをオススメします。

▲コンパウンドで砥ぎ出し中のフロントウインド。透明部品はプラが硬く割れやすいので、研磨の際に力を指先に入れすぎなように注意が必要だ

▲コンパウンドで表面の研磨が完了後、コーティングポリマーを塗布中のフロントウインド。塗布→付属のクロスで磨き上げ→乾燥→塗布とコーティングポリマーを3回程度重ねるとより効果的

▲研磨とコーティングが完了したフロントウインド。表面の細かな傷がなくなり、透明度がアップしたのがよくわかる

▲ライトパーツも同時に組み立て。メッキパーツにクリアパーツを組み合わせるのでクリアーボンドを使用する

▲クリアーボンドはボディとライトカバーの接着にも使用

▲フロントウインドがしっかりと接着固定出来たら、マルティーニレーシングのデカールを貼り付け

▲ハセガワ「コーティングポリマー」(1320円)塗布することで表面に薄いコーティング層を形成して、細かな研磨傷などを消してくれる。クリアパーツだけではなく塗装面のつや出しと保護にも使用できる

▲タミヤ「多用途接着剤クリアー」(770円)透明部品やメッキ部品(プラ用接着剤が効かない)の接着に適した透明度の高い接着剤。塗装面を溶かしにくいので粘度が低く、糸引きが少ない塗布のしやすさも特徴。金属や木材、ゴム、皮、紙などにも使用できる

 

■シャシーとボディを組み合わせて完成!

ウインドパーツを乾燥させている間に、タイヤやバックミラー、ワイパー、テールランプといったパーツを取り付けていきます。

ルーフアンテナは細い金属線を使用しており、破損しやすいので最後に取り付けるようします。

ボディとシャシーを合体させる前にウインドパーツ内側にホコリなどがついていないかを確認、ルームミラーも忘れずに接着。

▲フロントラジエターグリルはプラ製でメッシュパーツのように抜けてはいないがが、塗装することで、それらしく仕上がる

▲テールランプは裏側からミラーフィニッシュシートを貼って表側からクリアーオレンジとクリアーレッドで塗装して仕上げている

▲リアアウイングは未装着だが、組みあがったボディとシャシー。フロントタイヤは角度の変更もできる

▲組みあがったシャシーにボディをはめ込む

▲ルーフアンテナは金属線が付属しているのでリアルに仕上がる。固定には瞬間接着剤を使用する

▲ボディ合体後にルーフアンテナを取り付けてポルシェ935マルティーニ完成!

 

■最強のグループ5マシン

ポルシェ935はデビューイヤーの1976年から1984年までに、ル・マン24時間レース、デイトナ24時間レース、セブリング12時間レース、シルバーストーン6時間レーなど50以上のレースで勝利。1977年と1979年のDRMでも不敗マシンであり、ニュルブルクリンク1000km耐久レースおいても勝利も獲得するなど、圧倒的な強さを見せつけたマシンでした。

1970年代末の日本と言えば、少年ジャンプに掲載されたマンガ「サーキットの狼」人気によりスーパーカーブーム真っ盛り(懐かしい)。マルティーニカラーのポルシェ935は子どもたちの間でも人気のマシンとなり、プラモデルだけではなく、ラジコンやスーパーカー消しゴムにもなっています。

今回製作したポルシェ935は、モータライズキットだったこともあり、子どもたちからの人気も高いキットでした。

当時は色も塗らず完成させて、走らせては「多角形コーナリングだぁ!」(サーキットの狼の主人公・風吹裕也のコーナリング技)と叫んでいる子どももいました。まぁプラモで、そんなコーナリングができるワケもなく、ポルシェは壁にぶつかって壊れていました。

▼作例ギャラリー

というワケで今回は、懐かしくもいまだ人気は衰えることのないポルシェ935マルティーニを製作しました。

さて次回は何を作りましょう?

▲タミヤには、1978年以降に大幅なエアロダイナミクスの改良によりテールが延ばされ通称モビーディックと呼ばれた1/24ポルシェ935-70ターボも再販を望みたい。モーターライズでスピード競技用!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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