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初代~13代目を振り返りつつ、スニーカー界の大名跡「エアジョーダン」を紐解く!【VINTAGEコレクター案内書】

【VINTAGEコレクター案内書】

バスケットボールの神様と呼ばれた男、マイケル・ジョーダン。そして彼を足元から支えた「エア・ジョーダン」。今なお続く“スニーカー界の大名跡”を人気の高い初代から13代目まで振り返りつつ、その魅力に迫る。

*  *  *

「比類なきデザイン性の高さ。これに尽きます」とワーム トウキョウの小野浩輔さん。1人の選手のシグネチャーでここまで長く続いているシリーズは稀有であり、それがゆえの面白さもあると話す。

「ジョーダン本人が着用したモデルに関していえば、彼のプレースタイルやその時々の要望を盛り込んだデザインと機能性が備えられているのも大きなポイント。歴代モデルごとの特徴を追っている内に、気が付いたらコレクションしていたなんて声もあるくらいです(笑)」

その中でも来店者着用率の高いモデルが「1」〜「13」で、「14」や「15」も近年はコラボベースとして採用され、注目している人も多いとか。読者の中にも、これらをリアルタイムで手に入れることが叶わず、悔し涙を流した人も多いはず。当時のディテールを再現したOGモデルも度々復刻されている。MJの軌跡に思いを馳せつつ、あの頃、憧れていた一足を手に入れてみてはいかがだろうか。

ワームトウキョウ バイヤー 小野浩輔さん
常時1000〜1500足をストックし、市場ではおめにかかれないような“真のレアスニーカー”を求めて世界中からファンが訪れるショップ「ワームトウキョウ」のスタッフ

 

<マイケル・ジョーダンとエア・ジョーダンの軌跡 1963~1992>

1963年2月17日
マイケル・ジョーダンがニューヨークにて生誕。

1984年
米国の名門ノースカロライナ大学を卒業し、NBAドラフトでシカゴ・ブルズに全体3位で指名される。同年、ロサンゼルス五輪にアメリカ代表チームの一員として参加して頭角を現す。

1985年 AJ1
入団1年目からレギュラーに。

1986年
左足を骨折するも、プレーオフでは1試合で63得点を記録。

1987年 AJ2
チームの得点王を獲得。

1988年 AJ3
ナイキから他メーカーへの移籍話が持ち上がる。

1989年 AJ4
ファニータ・ヴァノイと結婚。

1990年 AJ5

1991年 AJ6
ブルズがNBA初制覇を達成。 自身もファイナルMVP受賞。

1992年 AJ7
バルセロナ五輪に、アメリカ代表ドリームチームを率いて参加し、優勝へと導くとともに、自身2度目の金メダルを獲得。ブルズもチーム史上最多67勝を挙げ、ファイナル2連覇を達成。

 

【AIR JORDAN 1】
MJ伝説をともに築き上げたキング・オブ・AJ

NIKE
「AIR JORDAN 1 RETRO HIGH OG【BRED/BANNED 2016】」(ワームトウキョウ販売価格:15万4000円)

マイケル・ジョーダン(以下、MJ)初のシグネチャーモデル。黒×赤の通称【ブルズカラー(ブレッド)】がNBAから規約違反を告げられるも、ナイキが罰金を肩代わりして試合で着用させ続けたという逸話でも有名。カラバリはオリジナル版でも20色以上存在する。

▲上:復刻(2016)、下:オリジナル(1985)。オリジナルと復刻版を並べた際に、誰が見ても分かりやすい差異がシルエット。特にヒールや履き口の角度、スウッシュの大きさは一目瞭然。話のタネとしても覚えておきたい

▼こちらはオリジナル!!

NIKE
「AIR JORDAN 1(1985)」

貴重なフラッシャー付きのデッドストックで、コンディションも良好。カラーも人気の黒×赤ということで市場では300〜400万円もの値が付くとか。(ワームトウキョウ所蔵)

 

【AIR JORDAN 2】
スウッシュが姿を消した、高級思考のイタリアンメイド

NIKE
「AIR JORDAN2RETRO【CHICAGO】」(ワームトウキョウ販売価格:3万7000円)

怪我で悩まされていたMJのために、クッション性と足首のサポートを強化し、イタリアンメイドの高級路線へとシフトした2作目。スウッシュを排し、ウィングロゴはシュータンに配置。19世紀の女性用ブーツから着想を得た流麗なフォルムとフィットを向上させる背面の蛇腹状TPUパーツが異彩を放つ。

 

【AIR JORDAN 3】
3/4カット&ビジブルエア、ジャンプマンと見どころ多数

NIKE
「AIR JORDAN3RETRO」(ワームトウキョウ販売価格:7万7000円)

デザイナーは、“天才”ティンカー・ハットフィールド。3/4カットのフォルムに、ビジブルエアを初搭載 。 さらにはウィングロゴに替わりジャンプマンマークも登場。エレファント柄とも呼ばれる独特のパターンを刻んだトリムなど、後のシリーズには欠かせない要素を凝縮。

 

【AIR JORDAN 4】
その名にFLIGHTを冠し、先進マテリアルで軽さを追求

NIKE
「AIR JORDAN 4 RETRO【FIRE RED 2020】」(ワームトウキョウ販売価格:6万6000円)

軽量スペックのバッシュに冠されていた “FLIGHT” の文字とAJ の象徴ジャンプマンマークがシュータンに並ぶ唯一無二のモデル。 柔軟かつ耐久性に優れたプラスチックラバーやTPUなど先進素材を用いたパーツをアッパーの随所に配備し、前作同様に3/4カットを採用。

 

【AIR JORDAN 5】
シリーズ初のナンバリング、激化する争奪戦は社会現象に

NIKE
「AIR JORDAN 5 RETRO OG【2016】」(ワームトウキョウ販売価格:5万5000円)

モチーフは戦闘機「P-51」。クリアラバーのアウトソールやアッパーのメッシュパネル、クリア樹脂成形のシューレースストッパーなど、革新的な素材使いが近未来感を演出。オリジナル版ではファン垂涎の背番号23が刺繍されたことでブレイク。争奪戦から殺人事件も起きるほどの社会現象に。

 

【AIR JORDAN 6】
MJ悲願の初優勝を支えた初期AJシリーズの集大成

NIKE
「AIR JORDAN 6 RETRO 【2021 CARMINE】」(ワームトウキョウ販売価格:3万3000円)

MJからの要望で“素足感覚”をテーマに開発。インナーブーツを搭載し、低重心に設計されたアッパーはパンチング加工で通気性を確保。ビジブルエアやプラパーツといった過去作の要素に、ラバー製シュータンやポルシェのリアスポイラーにヒントを得たヒールタブなど、最新の意匠が融合。漫画『スラムダンク』の作中で主人公・桜木花道が着用したことでお馴染み。

 

【AIR JORDAN 7】
オリンピックカラーも初登場、さらに進化を遂げた素足感覚

NIKE
「AIR JORDAN 7 RETRO【 CARDINAL】」(ワームトウキョウ販売価格:3万9600円)

ナイキの象徴“ビジブルエア”が姿を消し、同時期に発売された「エア ハラチ」シリーズに搭載されたインナーブーツシステムを採用。ネオプレン素材による優れたフィット感で、前作の素足感覚をさらに追求。バルセロナ五輪では、オリンピックカラーをまとった本作を着用して金メダルも獲得。以降、AJシリーズは独立したラインとして、長く展開されていくこととなる。

 

<マイケル・ジョーダンとエア・ジョーダンの軌跡 1993~2001>

1993年 AJ8
NBA3連覇。不慮の事件によって父親が死去。これが引き金となり7月23日、引退を表明。

1993年 AJ9
引退後、突如野球への転向を表明。幼少期からの夢であり、亡き父親との約束だったメジャーリーガーに挑戦。MLBシカゴ・ホワイトソックス傘下バーミングハム・バロンズに入団。

1994年 AJ10

1995年 AJ11
3月にシカゴ・ブルズに電撃復帰。背番号は45を着用するも、その後再び23へと戻す。

1996年 AJ12
映画『スペース・ジャム』に出演。NBA 2連覇を達成。NBA50周年を記念したオールタイムチームと75周年を記念した記念チームの一人に選出される。

1997年 AJ13
シーズン5度目の優勝。ファイナル2連覇。

1998年 AJ14
6度目の優勝を飾るとともに、2度目のNBA3連覇達成。

1999年 AJ15
1月13日、2度目の引退表明

2000年
ワシントン・ウィザーズに出資。バスケットボール営業部門の社長に就任。

2001年 AJ16
選手として3度目の現役復帰。

 

AIR JORDAN 8】
90年代のナイキの先端技術を随所に注入した意欲作

NIKE
「AIR JORDAN 8 RETRO【AQUA 2015】」(ワームトウキョウ販売価格:5万5000円)

アスリートの足首で交差させたテーピングから着想を得たというアッパー中央部のクロスストラップは、ストリートバスケ用シューズ「エア レイド」のDNAを継承したもの。「AJ7」譲りのハラチシステムとともにフィット感をさらに高め、激しい左右の動きにも対応する当時最高峰のフィット&サポート力を実現。だが、その過剰なまでのディテールが賛否両論を呼んだモデルでもある。

 

【AIR JORDAN 9】
引退表明、MLB挑戦により初となったコート未踏モデル

NIKE
「AIR JORDAN 9 RETRO【OLIVE】」(ワームトウキョウ販売価格:6万6000円)

前作とは大きく趣を異にする9代目。フィット感重視のインナーシステムは継承しつつ、アウトドアブーツの如く質実剛健なデザインで姿を見せた。父の死により引退を表明して野球に転向した時期でもあるため、オリジナル発売当時は、MJ本人がコートで着用することのなかった初のモデルとなった。その上、ソール裏に刻まれた“世界スポーツ”の文字も当時話題に。

 

【AIR JORDAN 10】
AJシリーズ10年間の記録を刻むメモリアルシューズ

NIKE
「AIR JORDAN 10 RETRO【DOUBLE NICKEL】」(ワームトウキョウ販売価格:2万8600円)

1995年3月のNBA復帰を待たず、1994年にリリースされた10作目。前作のシンプルなデザインコンセプトを継承しつつ、アウトソールにMJが1985年〜94年までの10年間で達成した偉大な記録の数々を刻んだ。さらにNBA 復帰後には、シカゴをはじめとする5都市限定カラーも登場して話題に。写真はNBA復帰直後につけていた背番号45の刺繍が入った復刻版だ。

 

AIR JORDAN 11】
エナメル×ナイロンコンビはナイキのバッシュ史上初

NIKE
「AIR JORDAN 11 RETRO【2018】」(ワームトウキョウ販売価格:6万6000円)

“フォーマルシューズのようなAJ”というMJの要望に従い、堅牢かつ軽やかなバリスティックナイロンと上品なエナメル素材のトリムをコンビ使いして、洗練された佇まいに。写真の白×黒はオリジナルカラーの中でも圧倒的人気を誇る、通称“コンコルド”。また本モデルには、ハイカットとローカットが存在するが、後者は全くの別デザインという点もユニークだ。

 

【AIR JORDAN 12】
放射状ステッチが際立つ機能とデザイン性の黄金比

NIKE
「AIR JORDAN 12 RETRO【PLAYOFFS】」(ワームトウキョウ販売価格:3万5200円)

NBA 2連覇を達成した1996年シーズンに着用された12代目。1枚革で構築されたアッパーに放射状ステッチをあしらった本モデルでは、トゥからサイドへと大胆に伸びたサポートパーツが目を引く。背面にはジャンプマンと23の文字が記されている。またシリーズ初のズームエアが搭載されているのも特徴で、プレーヤーたちからも機能性、耐久性ともに高評価を得た。

 

【AIR JORDAN 13】
デザインンモチーフは“黒豹”、後期3ピート達成の立役者

NIKE
「AIR JORDAN 13 RETRO 【PLAYOFFS 2023】」(ワームトウキョウ販売価格:3万3000円)

俊敏かつしなやかなプレースタイルから“獲物を狩る黒豹”とも喩えられたMJ。本モデルの意匠はそこに起因する。このシューズを着用したシーズンに、自身2度目となるNBA3連覇を達成。体表部分の斑点模様を想起させるアッパーや足裏の肉球の如きアウトソール、暗闇に光る黒豹の目をイメージしたアンクル部分のホログラムエンブレムも実に印象深い。

 

<マイケル・ジョーダンとエア・ジョーダンの軌跡 2002~2022>

2002年 AJ17
2度目の現役復帰。NBA初の 40歳40得点を記録。

2003年 AJ18
4月16日、現役引退。

2004年 AJ19

2005年 AJ20

2006年 AJ21
12月29日、ファニータ・ヴァノイと離婚。

2007年 AJ22

2008年 AJ23

2009年 AJ2009
バスケットボールの殿堂入り。

2010年 AJ2010

2011年 AJ2011

2012年 AJ2012

2013年 AJ28
4月、エベット・プリエトと2度目の結婚。

2014年 AJ29

2015年 AJ30

2016年 AJ31
大統領自由勲章を受章。

2017年 AJ32

2018年 AJ33

2019年 AJ34

2020年 AJ35

2021年 AJ36

2022年 AJ37

※2023年7月6日発売「GoodsPress」8-9月合併号100-103ページの記事をもとに構成しています

>> 特集【VINTAGEコレクター案内書】

<写真/河田浩明 取材・文/TOMMY 撮影協力/ワームトウキョウ>

 

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