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究極のスタンダードを体現する「ロレックス」定番モデル【VINTAGEコレクター案内書】

【VINTAGEコレクター案内書】

昨今の高級時計ブームに先駆けて、いち早くプレミム化が進んでいたヴィンテージロレックス。需要と供給のバランス、トレンドの移り変わりから相場は常に変動し続けている。ここでは、代表的な4つのプロフェッショナルモデルからその魅力を探る。

 

<SUBMARINER>

■ストイックなデザインが際立つ王道のダイバーズウォッチ

ロレックスが誇るダイバーズウォッチの金字塔である「サブマリーナー」。1953年のRef.6204の発表から繰り返し改良が行われ、今日におけるダイバーズウォッチの礎を築いた功績は絶大な評価を得ている。

ヴィンテージロレックスに該当する「サブマリーナー」において、最もスタンダードなモデルにあたるのがRef.5513だろう。リュウズガードを備えた「サブマリーナー」の現在に繋がる、基本的なスタイルを完成させた定番中の定番である。ダイビングのために必要な要素を突き詰めた針のデザインは、流行に左右されない魅力がある。

Ref.5513は1960年代初頭から1990年頃まで製造されていたこともあり、年代ごとにディテールの違いがある。文字盤について大まかにわけると、ミラーダイヤルとマットダイヤルの2種類がある。コンディション次第で価格が大幅に変わるミラーダイヤルに対して、個体差が少ないマットダイヤルの相場は比較的安定している。

ダイヤル以外のパーツでは、ベゼルインサート、ブレスレットなどにも注目したい。年々パーツの入手が困難になっているため、購入の際はできる限り整合性のとれた個体を選ぶことをオススメしたい。

ロレックス
「サブマリーナー Ref.5513(1979年製)」(335万円)

ダイヤル、ベゼルインサート、ブレスレットなどのパーツの整合性がとれたマットダイヤルのRef.5513。このダイヤルは、キャンディのように見えるインデックスにちなんで “ロリポップ”と呼ばれている。製造期間が短いため、いざ探すとなかなか見つからない。自動巻き(Cal.1570)、ステンレススチールケース、径39.5mm

ケースコンディションはヴィンテージウォッチを購入する際に必ずチェックしたい項目として覚えておきたい。研磨が少ないエッジなケースであるほど個体の評価が高まる

ブレスレットはなるべく年代が合うタイプを揃えたいところだ。フリップロック式のバックルを採用したRef.580/93150は「サブマリーナー」専用のブレスレットだ

付属品の有無で個体の評価は変わってくる。こちらの個体は最も重要なギャランティーのほか、年代の近い外 箱 ・ 内箱・カードケースも付属する

 

<GMT-MASTER>

■パーツ選びにこだわりたい定番のパイロットウォッチ

ロレックス第3のプロフェッショナルウォッチとして1955年に誕生した「GMTマスター」は、アメリカの航空会社パン・アメリカンに採用された由緒あるパイロットウォッチとして認知されている。

ヴィンテージに関しては、プレキシガラス製の回転ベゼルを持つファーストモデルRef.6542は状態が整った個体を見つけ出すことが年々難しくなっている。市場でよく見かけるのが、1960〜1979年にかけて製造されたRef.1675である。

このうち、1960年代後半から展開が始まったマットダイヤルは比較的入手がしやすい。ダイヤルパターンについては、世界中のコレクターの研究から細分化が進んでいる。手堅い選択に挙がるのが、“マーク ダイヤル”や“ロングE ”と呼ばれる初期頃のダイヤルだ。見分けるポイントは12時位置のブランドロゴにある。根気よく探せばコンディションが整った個体を見つ出すことができるはずだ。

購入の際は、ダイヤルやケースのコンディションはもちろん、ベゼルインサートにも目を向けたい。たとえ同じ年代のベゼルでも退色の有無で時計の表情は見違えるほど変わる。なるべくダイヤルのテイストに合わせたものを選びたい。

ロレックス
「GMTマスター Ref.1675(1968年製)」(328万円)

マットダイヤル特有のパンプキンカラーまで変色した夜光塗料が味わい深いRef.1675。ダイヤルの雰囲気に合う退色したベゼルインサートを装備。「GMTマスター」と好相性のアメリカ製のジュビリーブレスが装着されていることも高ポイント。自動巻き(Cal.1570)、ステンレススチールケース、径39.5mm

このダイヤルが“ロングE”と呼ばれる所以は、12時位置にプリントされたブランドロゴのスペルの「E」の文字にある。ほかと比べると横長の形状であるため見分けやすい

ベゼルインサートは「GMT マスター」の顔の一部であり、時計と年代が合うタイプが選ぶのが好ましい。コンディション次第でテイストはもちろん、評価も大きく変わる

ブレスレットは生産国によってデザインが異なる。こちらのアメリカ製のジュビリーブレスレットは、プロフェッショナルウォッチと抜群の相性を誇る。

<EXPLORER>

■シンプルなデザインが愛されるツールウォッチ

ツールウォッチとしての視認性を考慮した3・6・9のアラビアンインデックスを特徴に持つ「エクスプローラー」。その基本的なデザインは1953年の発表からほとんど変わらない。ヴィンテージモデルは36mm径の小ぶりのサイズ感も人気の理由に挙がる。

初期モデルのRef.6350などのコレクターズピースも魅力的だが、ここではRef.1016のマットダイヤルを一押ししたい。製造期間が30年近いロングセラーであるため、同じマットダイヤルでも前期と後期ではディテールが異なってくる。こちらで紹介するRef.1016は、マットダイヤルの最初期に作られた通称“ファットルミナス”と呼ばれるダイヤルを備えている。このダイヤルはアラビアンインデックスの夜光塗料が太めに盛られており、製造期間が極端に短いことから希少性が非常に高い。

数あるヴィンテージロレックスのプロフェッショナルモデルのなかでもRef.1016は、最もシンプルなデザインの部類に入る。そのため、ブレスレットの選択がスタイリングの決め手となってくる。ダイヤルとの整合性を考えた場合、ベストの選択のひとつが、年式が近いスイス製のリベット付きのオイスターブレスレットだろう。

ロレックス
「エクスプローラー Ref.1016(1976年製)」(385万円)

Ref.1016の“ファットルミナス”は約1年ぐらいの製造期間だと言われ、マットダイヤルのRef.1016のなかでも価格が高めに設定されている。この個体は時計本体のコンディションも上々であることに加えて、スイス製のリベット付きのオイスターブレスレットが高ポイントだ。自動巻き(Cal.1560)、ステンレススチールケース、径36mm

トリチウムの夜光は手作業で盛られているため、一点ごとに個体差が生まれる。こちらのダイヤルのようにエイジングが進むと白いプリント表記とのコントラストが強まる

ブレスレットは年代が異なるタイプが付属することが多いため、購入前に必ずチェックしたい。1960年代後半のモデルはリベット式オイスターブレスレットがマッチする

こちらは1960年後半の Ref.1016半ばのミラーダイヤル。“ファットルミナス”と比べると、3・6・9のアラビアンインデックスがやや細めであることが確認できる

 

<COSMO GRAPH DAYTONA>

■ロレックス人気を支える革新的な防水クロノグラフ

今も昔も変わらず、ヴィンテージロレックスの人気を支えているのは、「コスモグラフ‌ デイトナ」であることに異論を挟む余地はない。今では自動巻き式のRef.16520への注目も高まっているが、やはり王道は手巻き式時代のモデルに限る。

1963年から始まった「コスモグラフ‌ デイトナ」の歴史とは、飽くなき防水クロノグラフの探求の歴史だと言い換えられる。

最初期のRef.6239はオイスターケースとねじ込み式のリュウズは備えていたものの、防水性能を持つクロノグラフプッシャーの開発には至らなかった。この課題をクリアしたねじ込み式のクロノグラフプッシャーを正式に採用した1969年のRef.6263は、ロレックスが理想を掲げる防水クロノグラフを体現した記念碑モデルである。

このモデルを含め、手巻き時代のデイトナは世界的な需要の高さから完璧に整った個体を見つけることが難しい。とりわけプッシャーなどのパーツ類を後から整えることは現実的はないので細心の注意を払いたい。

ロレックス
「コスモグラフ デイトナ Ref.6263(1984年製)」(1320万円)

手巻きデイトナでも最人気を誇る、プレキシガラスのベゼルとねじ込み式のクロノグラフプッシャーを採用したRef.6263。前作の Ref.6241とは、プッシャーのならず、ケースサイズや仕様も異なる。こちらのモデルは6時位置に赤字で「DAYTONA」のプリントが入る。手巻き(Cal.727)、ステンレススチールケース

ロレックス
「コスモグラフ デイトナ Ref.6239(1967年製)」(798万円)

Ref.6239は製造期間が長かったことからいくつものダイヤルパターンが存在する。こちらの1967年製の個体は12時位置に「DAYTONA」の表記が入る。交換されていることが多い、タキメーターベゼルや9時位置の針もオリジナリティを保っている。手巻き(Cal.722)、ステンレススチールケース、径36.5mm

※2023年7月6日発売「GoodsPress」8-9月合併号110-113ページの記事をもとに構成しています

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<取材・文/戸叶庸之 写真/中村光明(TRYOUT)>

 

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