中華民国台北市に本社を構えるワイズコンサルティング グループは、台湾機械業界専門誌『ワイズ機械業界ジャーナル』の2023年9月第1週号を発行しました。
同号では機械業界・半導体業界・電子業界・食品生産設備業界の動向を紹介。なかでも今回は、AIサーバー関連の製品などを展開する鴻海精密工業(以下、ホンハイ)にフォーカスしてみましょう。
台湾の機械業界がわかる日本語情報誌、今回の目次は?
同誌は、豊富な写真と図表で読みやすく、パソコンでの閲覧に配慮された横型のPDF形式にて提供。ホームページの記事データベースより、自由に過去記事の検索もできます。
- 台湾輸送機械設備製造業の 概況と2023年の展望
- 半導体産業の中心地、竹科から南科へのシフト鮮明
- 鴻海のAIサーバー関連シェア7割、エヌビディアから受注
- 台湾食品、飲料及びタバコ生産設備製造業の概況と2023年の展望
ホンハイの第2四半期、粗利益率・純利益率は上々
ホンハイが2023年8月14日に発表した第2四半期(4~6月)の連結売上高は前期比10.8%減、前年同期比14%減の1兆3045億台湾元、純利益は前期の2.57倍、前年同期比1%減の330億100万元で、同期として過去2番目の高水準でした。
粗利益率は6.41%、純利益率は2.53%で、いずれも前期、前年同期を上回る結果となっています。
第3四半期および通年の売上高予測
第3四半期(7~9月)の見通しについては、4大製品のうち消費者向けスマート製品は例年の需要期で大幅増収を見込んでいるとのこと。
一方で、23年通年の売上高予測は、従来の前年比横ばいから前年比微減に下方修正。地政学的リスクや世界的なインフレ、主要各国の金融引き締めの影響を受けるほか、コンピューターとクラウドネットワーク製品の需要が弱いとの見方があるようです。
ホンハイの劉董事長は、クラウドサービスプロバイダー(CSP)向けの人工知能(AI)製品の需要は期待できるが、一般のサーバーをはじめとするネットワーク製品の需要は回復していないため、クラウドネットワーク製品の通年見通しを下方修正したと説明しました。
AIサーバー関連の需要に期待
ホンハイが強い需要を見込んでいるのはAIサーバー関連。グラフィックスプロセッサー(GPU)大手の米国・エヌビディア社のAIサーバー「HGX」のチップ基板を受注し、出荷シェアは50%以上となるようです。
また、エヌビディアのAIサーバー「DGX」のチップ基板も受注しており、エヌビディア社のAI主要製品の両方に部品・製品を供給することになっています。
さらに、サーバーの組み立ては競合他社が多く、利益率が低いが、高い技術が求められる部品などの利益率は高いとして、今後もPUE*の低い放熱ソリューションなどの開発を強化すると表明しました。
同社は、生成AIサーバーのチップ基板、放熱モジュール、筐体などの重要部品から製品、システムまでをトータルに提供できるのは同社のみで、GPUモジュールと基板の市場シェアは70%以上だと説明。ラックマウント型サーバーのシェアは50%未満だといいます。
* 電力使用効率。値が低いほど冷却効率が良い
EV提携プロジェクト推進、シャープとも提携か
劉董事長は、10社以上の顧客と電気自動車(EV)分野でのプロジェクト計20件について提携または提携を協議しており、うち2件は生産を開始し、5件は契約を締結する可能性があると説明しました。
EV事業の最新の成果は10月半ばに予定している成果発表イベント「鴻海科技日(鴻海テックデー)」で披露するようです。
また、自動車大手・裕隆集団との合弁会社である鴻華先進科技(フォックストロン・ビークル・テクノロジーズ)が開発したスポーツ用多目的車(SUV)コンセプトカー「モデルC」は、23年第4四半期(10~12月)に量産を開始します。
さらに、ドイツの自動車部品大手であるZFフリードリヒスハーフェンと、乗用車のシャシーの開発で提携することを7月に発表。ZFの子会社で車軸を手がけるZFシャシー・モジュールズの株式の50%を取得するようです。
そして、第1四半期、ホンハイが34%出資するシャープが巨額の減損を計上したことで約173億元の営業外損失を計上し、純利益が前期比68%減少。第4四半期には、EV提携も視野に、シャープと中期経営戦略策定に取りかかるようです。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000213.000059899.html
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/219405
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口千穂