株式会社SECAI MARCHEは、AI技術を伴うデジタルECプラットフォーム「SECAI MARCHE」などの提供によって、東南アジアの食品流通における課題解決を目指す企業です。
同社はこのたび、経済産業省/JETROによる「日ASEANにおけるアジアDX促進事業 ブーストアップコース」の事業者として採択されました。
これにより、マレーシアですでに実証済みの事業をさらにスケールアップし、急増するEC需要に対応する新しい生鮮品インフラ構築を一気に加速させます。
東南アジアでの生鮮サプライチェーンの課題
東南アジアでのEC市場規模は2025年に1,720億USドルに達すると予測され、その中でも食品部門は56%以上と大きく成長すると見込まれているようです。
しかし、東南アジア地域の生鮮食品の国内輸送は個々の生産者や輸送事業者にゆだねられており、冷蔵フルフィルメント*機能も未発達。そのため、腐敗しやすい生鮮食品は輸送の過程で品質を維持できず、消費段階までに53.92%が廃棄となるのだそう。
また、仕入れを行うレストランやホテルなどにおいては、個別の輸送事業者との間に注文最小量が存在し、カテゴリー(事業者)をまたいだ少量多品種での仕入れができません。
さらに、生産者の資金力や技術力にも課題が。例えば、マレーシアの農家のうち90%以上を占めているのが中小零細(月収20万円未満)であり、既存流通以外の販路を持たず、ECに対応したシステムやフルフィルメント機能に投資することもできません。
こうした状況により、平凡な品質の商品が高価格(高コスト)で取引されることになり、国内外で市場の競争力が低くなり、生鮮食品のEC化が妨げられています。
* フルフィルメント:ECなどにおいて、受注から配送までの業務(受注・梱包・在庫管理・発送・受け渡し・代金回収まで)の一連のプロセス全体のこと
生産者と消費者をダイレクトにつなぐ株式会社SECAI MARCHE
これまで、東南アジアにおいて、生産者と消費者をダイレクトにつなげる、共同小口配送用のフルフィルメントセンター、ECプラットフォームを整備。少量多品種の配送および廃棄率1%を実現し、年間200%以上の継続成長を達成しています。
ECプラットフォームの全域展開へ
株式会社SECAI MARCHEは、今回の採択を受け、実証事業を開始。東南アジアにおける生産者やラストワンマイルの新しい生鮮流通構築のパートナーと連携し、フルフィルメントセンターおよびECプラットフォームの全域展開を加速します。
また、以前から開発しているAI需要予測・自動発注の適用拡大、自動配送ルーティングによるリードタイム減により、さらなる顧客拡大を図る構えです。
事業実現による波及効果
株式会社SECAI MARCHEは、今回の事業をマレーシアだけでなくASEAN各国にも展開し、国内外市場の創出・拡大、生産者の技術向上や収益増加、国際競争力強化を目指します。
また、同事業により日本生産者の輸出拡大も期待できるとのこと。同社のフルフィルメントセンターとECプラットフォームにより、マレーシア国外の生産者も小口・低コストで対マレーシア輸出に参入できるようになるというわけです。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000063442.html
株式会社SECAI MARCHE 公式サイト:https://secai-marche.com/lp
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/219618
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口千穂