【欲しくなるコーヒー道具 #01】
コーヒー道具ってこだわりだすとキリがない。「おいしいコーヒーを家でも飲みたいだけ」なんて言いながら買い揃えていった道具類が、なぜか不思議とキッチンのいいアクセントになっていたり。そこにあるだけでも満足感があり、しかもちゃんと使いこなせば“おいしさ”で応えてくれる、そんなコーヒー道具をお試し!
* * *
朝はパンとコーヒー。そんな定番の風景を実現してくれるブランドのひとつがAladdin(アラジン)。食パンをフワカリトーストに焼き上げてくれる「グラファイト トースター」が人気商品ですが、そのトーストに合うコーヒーを、ということで今年3月から一般販売を開始したのが「コーヒーブリュワー」(公式オンラインショップ価格:3万3300円)です。
このところ、各社から登場している高級コーヒーメーカーと言われるモノのひとつで、価格は少々お高め。しかもコーヒー豆を挽くところからやってくれる全自動タイプではありません。
でもこの価格には、ちゃんと理由があります。それが独自の“バイパスドリップ”方式。濃く抽出したあとでお湯を加える方式で、雑味を抑えてくれる効果があるとか。
いったいどんな味のコーヒーになるのでしょうか。さっそくお試し!
■簡単操作がうれしい
操作はシンプル。ダイヤルで濃さを選んで淹れたい抽出量のボタンを押すだけ。
濃さは4段階。薄いほうから順に
C=クリア
M=マイルド
S=ストロング
D=デミタス
バイパスしてくるお湯の量で濃度を調整する方式で、最も濃い設定のデミタスは差し湯なしになります。
抽出量は、レギュラーカップサイズ(約130ml)とマグカップサイズ(約250ml)の2種類。説明書に書かれている粉量の目安は、レギュラーカップで約12g、マグカップサイズで約20g。付属のスプーンでだいたい12gと20gが計れるようになっています。
ドリッパーは台形型で1つ穴。ペーパーフィルターは、スーパーなどでも取り扱いの多いカリタの1~2杯用の101が使えます。台形ドリッパーというと、ドリッパー内でお湯が滞留して、コーヒー成分をしっかり抽出するというイメージですが、穴がそこそこ大きい点がどう出るか、楽しみです。
そしてコーヒーサーバーではなく、カップに直接抽出するのが基本になります。背の低いサーバーなら置けなくもなさそうですが、1杯落としタイプなので、わざわざサーバーを使わなくてもいいですよね。カップのサイズに合わせて置く場所の高さを3段階で変えられます。
背面の水タンクは最大で1L入れられます。マグカップサイズだと4杯分。
では淹れてみましょう。
■ひと口目で感じる不思議な味わい
コーヒー豆はエチオピア・イルガチェフェ・ナチュラルのシングルオリジンを用意しました。焙煎度はハイロースト(中煎り)。苦味は少なくフルーティさと甘さが特徴です。
12gの豆をちょっと粗めに挽いて、すっきりとした華やかさを感じられる仕上がりを目指します。
ドリッパーに粉を入れて軽く振り、本体にセットしたらボタンを押すだけ。セット自体はさほど面倒ではありません。ちなみに濃さはM(ミディアム)。
ボタンを押した後、一気にお湯を沸かしているんだと思います。音はそこそこしますが、これはまぁ仕方ないかと。
この時、内部ではいろいろ起こっている模様。
1. 粉にスチームを噴霧
2. お湯を滴下し60秒蒸らす
3. 抽出
4. 差し湯
説明書によると、蒸らし前にスチームすることで、粉の温度を上げて安定した抽出が行えるようになるとか。また、蒸らし時間も長め。ハンドドリップの場合、一般的には約30秒蒸らすとされていますが、その倍です。しっかりコーヒー成分を抽出するということですね。濃く抽出して、最後に差し湯の量で濃さを調整する方式です。
レギュラーカップ分を約4分で抽出完了(マグカップサイズの場合は約4分半)。ではいただきます。
ひと口目の印象は“まろやか”。軟水に似た舌を包み込むような仕上がりに、ちょっとびっくり。個性強めの豆なのですが、元々持っている強めの酸味が抑えられ、飲みやすいコーヒーになっています。そして後味に際立つ甘さ。甘みもこの豆が持つ個性なのですが、そこがしっかり引き出されています。
たしかにこれはパンに合う。コーヒーらしさはしっかり残しつつ主張を控えめに仕上げたフードペアリングに最適な一杯です。
このあと、シティロースト(中深煎り)のブレンド豆を同じくM(ミディアム)で淹れてみましたが、こちらも苦味が抑えられ飲みやすく仕上がりました。
コーヒーの苦手な部分としてよく挙がる“酸味”や“苦味”ですが、それらを抑えつつ、ちゃんとコーヒーとして成り立たせた味わいです。
ハンドドリップでコーヒーを抽出する際、お湯は何回かに分けて落とします。でも実は最後のほうでは、ほぼコーヒー成分が抽出されません。しかもその時に雑味(エグさや渋さ)が出やすい。それらをカットし、そして濃く出てしまったコーヒーの濃度を最後にお湯で調整する“バイパスドリップ”、さらに台形ドリッパーと長めの蒸らし時間、そして蒸らし前のスチームというハンドドリップではできない工程により、独特の味わいが生み出されているのかもしれません。
差し湯をしない濃く抽出できるD(デミタス)モードでアイスコーヒーも淹れてみました。
カップに氷を淹れておいて、そこに抽出していきます。
これ、めちゃ美味い! 時間をかけて作るまろやかな仕上がりのコールドブリューと、ハンドドリップで抽出後に氷で一気に冷やす急冷式の中間。コーヒーの個性は残しつつ、まろやかさもある、絶妙な味わいのアイスコーヒーになりました。いやホントおいしい。
* * *
豆と水を用意すればいいだけの全自動のコーヒーメーカーとは違い、この「コーヒーブリュワー」は挽いた粉を自分で用意しなければなりません。コーヒーは直前に豆を挽くことで最もおいしく淹れられます。だから、やっぱり全自動より手間はかかります(もちろん粉を買ってくるでもいいのですが)。
でもミル(グラインダー)が付いていない分、お手入れは簡単。
ドリッパーが覆われた形状になっているので、粉にお湯が触れた時に立ち上るアロマ(コーヒーの香り)を感じづらいという点と、一杯落とし方式なので複数人数分をまとめて淹れられないというデメリットはありますが、トーストに合うコーヒーというのは間違いない。そして飲みやすいコーヒーを淹れるというある意味この商品が持つ個性は、他のコーヒーメーカーでは味わえない特徴でもあります。コーヒー好きはもちろんですが、むしろコーヒーをあまり飲まないという人にこそ体験してほしいコーヒーメーカーです。
>> 欲しくなるコーヒー道具
<取材・文/円道秀和(&GP)>
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/558837/
- Source:&GP
- Author:&GP