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気候現象の“正確な予測”で金融商品を変えるか?インドの気象フィンテックmistEO社、米USTと戦略的協業へ

世界的に気象関連のリスクが増加しているなか、保険会社や銀行では信頼性の高い超局所的な予測が不足し、保険引受における不確実性とコストの増加に直面している。

インドの気象関連フィンテック企業mistEOは米国大手USTと戦略的パートナシップを提携。USTはmistEOと協業することにより、局所的な気象現象を正確に予測する技術を活用し、気象関連のリスク評価モデルを開発することで保険引受における不確実性を軽減。よりカスタマイズされた保険商品を顧客へ提供できるようになる。

さらにmistEOの技術を活用することで、同社のESG戦略およびリスクを評価する際に重要なデータポイントを提供することを目指す。

気候変動の不確実性による課題を解決するmistEO

The top three startups from Kiuas Demo Day 2021

mistEOは、CEO兼Co-founderであるサミュエル・ジョン氏によって2019年に設立された気象フィンテックのスタートアップ。衛星画像、IoT、固定センサー、レーダー、サードパーティデータなど、幅広いデータソースを自社のプラットフォームに統合し、気象関連のサービスを提供している。

主なサービスは超局所的な気象予想、気象現象に関連するリスクモデリングと早期警報システム、保険の提供、エネルギー資産の投資収益率(ROI)の計算から炭素隔離であり、気候変動に起因する課題を多角的に支援している。顧客は個人から企業、政府まで多岐にわたる。

過去にはKiuas Demo Day 2021でTop3に選出、さらにビル&メリンダ・ゲイツ財団が支援するインド零細農家の課題を解決支援を目的としたSocial Alpha Quest でも受賞している。

灌漑設備が不足するインド、50%の農家が降雨頼り

インドは全人口の60%が農民であり、1億7980万ヘクタールの世界最大の耕地面積を有する世界的な農業大国ではあるがその生産性は高くない。

その理由の1つが灌漑(かんがい*)設備の不足であり、これは農家の貧困と教育機会の不足に起因している。その割合は実に50%程度の耕作地にしか備わっていないとされており、残りの50%はモンスーンなどの自然雨に依存、雨量の予測が収穫量に大きな影響を与える。

*耕地に必要な水を人工的・組織的に給水すること

多様なシーンで気候情報の予測需要に対応

mistEOが予測するのは雨量だけではない。酷暑が続くことによる牛へのストレスも予測する。

牛は暑熱ストレスによって産乳量が変わるため、気候情報の予測が重要になる。mistEOは熱負荷指数を分析し、牛に与える影響について早期に警告する。これにより牛への影響を最小限に抑えることが可能となり、きめ細かいデータを1時間単位で提供できる。

実際にインド・カルナタカ州の牛乳販売企業に対して1km x 1kmの超局所的な気象データを分析し、牛のストレス指数を算出することでカスタマイズされた生産性損失保険を提供した。

今後はよりカスタマイズされた保険や金融商品が求められる

世界的に気候変動のリスクが高まるなか、インドでは超局所的な気候情報を金融リスク管理という側面からビジネスを行うスタートアップmistEOが注目を集めている。

設備が整っている日本においては、気候情報が農業や畜産に与える影響はインドより少ないかもしれない。しかし今では全世界の農作物の先物価格は互いに影響を与えており、日本も無関係ではいられない。

より精密なデータを用いてカスタマイズされた保険や金融商品が求められていくことが予想されるなか、mistEOは最先端のサービスを提供している。

文・はっさく(@hassakumacro)

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