内閣府の有識者会議「デジタル市場競争会」は、AppleのApp Store、GoogleのPlay Storeにかわるサードパーティー製アプリストアでのアプリ配信義務化などを盛り込んだ報告書案に寄せられた意見を公開しました。AppleやGoogleは報告書案に強く反発しています。いっぽう、MetaやSpotify、Epic GamesなどかねてからAppleを批判していた企業は報告書案の内容に賛同しています。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. サードパーティーアプリストアを義務付けた政府の報告書案への意見が公開された。
2. Appleは政府の方針は日本の社会と国民を危険にさらす、と強く批判。
3. Googleも政府案を批判。MetaやSpotifyなどは政府案に賛同。
Appleは舌鋒鋭く政府案を批判
内閣府に設置された有識者会議「デジタル市場競争会」は10月12日、6月に公開した「モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告」に対する意見募集(パブリックコメント)の内容を公開しました。
6月に公開された報告書では、AppleのApp Store、GoogleのPlay Storeの寡占状態にあるアプリストアをサードパーティーに開放し、セキュリティの確保のためAppleやGoogleにサードパーティーによるアプリストアの運営体制を審査させる、などの方針が盛り込まれていました。
Appleは、29ページにも及ぶ意見書の中で、サードパーティーアプリストアでダウンロードされるアプリに関するリスクが考慮されておらず「すべてのユーザーをより大きなリスクにさらすことになる」と指摘し、セキュリティおよびプライバシー保護措置のレベルを下げることとなり「日本の社会及び国民を脅かします」と、強い言葉で反論しています。
また、AppleとGoogleを狙い撃ちにした報告書は「差別的」だと指摘した上で、同様の法案が米国議会では廃案になっていることにも留意するべきだ、と批判しています。
Googleも反論、Meta、Spotify、Epic Gamesは賛同
報告書には、Appleのほかにも、Google、Meta、Spotify、Epic Gamesなどの企業、多くの個人を含む559件のパブリックコメントが寄せられています。
Googleは100ページ近い意見書で、正当な競争を促進するという政府の基本方針には賛同を示しつつも「正当性が示されておらず、必要性もない」「深刻な懸念を引き起こす」と、真っ向から反対する意見を表明しています。
Appleのアプリトラッキングの透明性(ATT)により広告収入が激減し、巧妙な回避策を講じたことで提訴されたMetaは、ATTを「排他的であり差別的」と強く批判しつつ、サードパーティーアプリストアは「成長と競争を促進する」と賛同しています。
Appleのアプリ内課金の取り扱いをめぐって3年近く法廷闘争を繰り広げたEpic Gamesは、政府の方針を「 AppleとGoogleの反競争的行為を確実に終わらせる唯一の方法」と評価したうえで、AppleとGoogleがサードパーティーアプリストアの使い勝手を低下させる圧力をかけることも禁じるべきだ、と踏み込んだ提案をしています。
Apple Musicのライバルでもあり、以前からAppleの手数料率に反発し続け、2023年4月にはApp Store経由のアプリ内課金受付を終了したSpotifyは、Appleを「反競争的」と批判し、サードパーティーアプリストアの導入に賛同しています。
早ければ2024年の通常国会に提出
朝日新聞の報道によると、政府は、パブリックコメントも参考にしながら法制化を進める方針で、法案は早ければ2024年の通常国会に提出されます。
Source:内閣府デジタル市場競争会議ワーキンググループ, 朝日新聞
Photo:Apple
(hato)
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- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania