Appleは現地時間11月16日、携帯電話でメッセージを送受信するための標準規格「RCS（Rich Communications Services）」を来年採用すると発表しました。RCSが採用されることで、iPhoneとAndroidユーザー間でのテキストメッセージのやり取りがよりスムーズになります。
AppleはこれまでRCSの採用に難色を示していましたが、規制当局やGoogleおよびSamsungといった競合他社からの圧力を受け採用を決定したようです。また、RCSは発展し続けており、かつてよりも成熟したプラットフォームとなったことも背景にあります。
■3行で分かる、この記事のポイント
1.Apple、これまでサポートを見送ってきたRCSを2024年に採用すると発表。
2.Googleなどを含む競合他社は長年、RCSを採用しないAppleを非難。
3.Androidユーザーも青い吹き出しでメッセージを送れるかは不明。
Apple、RCSの採用を発表
Appleの広報担当者は声明文で、次のようにコメントしています。
来年後半には、GSM Association（GSMA）によって公開されている標準であるRCS Universal Profileのサポートを追加する予定です。RCS Universal Profileは、SMSやMMSと比較して、より優れた相互運用性を提供できると考えています。これは、iMessageと並行して機能し、iMessageはAppleユーザーにとって最高かつ最も安全なメッセージング体験であり続けるでしょう。
RCSの採用により、iPhoneとAndroidデバイス間でのメッセージングにおいて、既読、入力中インジケーター、位置情報共有、高画質画像や動画の送受信が可能になるなど、iMessage同士でしか使えなかった機能が利用できるようになります。RCSは通常のSMSとは異なり、モバイルデータ通信またはWi-Fi経由でのメッセージの送受信も可能です。
これまでAppleはRCSの採用を拒否
iPhoneやiPadの標準メッセージアプリ「iMessage」では、Apple製デバイス間では青の吹き出し、相手が他社製デバイスを使用している場合は緑の吹き出しで表示され、これが「緑色の吹き出し差別」を生む原因となっていると、Appleは非難されてきました。
AppleがRCSを採用しないことに対し、Googleは2022年8月、AppleにRCSの採用を促すための専用サイトを公開し、「Get The Message」キャンペーンを行ってきました。Googleはこれまで、Appleを非難する動画広告を公開したり、屋外広告で採用を呼びかけるなど、Appleに対してRCSの採用を強く求めています。
Samsungもまた、「Get The Message」キャンペーンに便乗し、AppleにRCSの採用を促す動画広告を公開するなどAppleに圧力をかけてきました。
AppleはRCSをサポートすると発表しましたが、これによりAndroidユーザーもiMessageと同じ青い吹き出しでメッセージが送れるようになるかは不明です。
RCSを採用しない代わりにiMessageを強化
AppleがRCSの採用を決定したのは、このような、GoogleやSamsungを含む競合他社からの長年にわたる圧力を受けてのことです。これまでAppleはその圧力に抵抗し、代わりにiMessageを強化してきました。ただし、iPhoneとAndroidデバイス間のSMS体験にいくつかの改良は加えています。
例えば、iOS16でiPhoneとAndroidユーザー間の会話において、ダブルタップで絵文字を返信できる「タップバック」機能が利用できるようになりました。iOS17では、AndroidユーザーとiPhoneユーザーの両方が参加するSNSグループチャットにも、スレッド返信やメッセージ編集などの機能が追加されています。ただし、これはグループ内のiPhoneユーザーに対してのみ機能し、編集したテキストなどはAndroidユーザーに反映されないという欠点がありました。
RCSのサポートは、2024年後半のソフトウェア・アップデートによって提供が開始されるということです。
Source:Reuters, AppleInsider, 9to5Mac
(m7000)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-559740/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania