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タフな自然環境と一体化するための野営ギア19選【グッとくるタフネスギア】

【グッとくるタフネスギア】

道具ありきのキャンプとも、サバイバルとも違う森遊び、それがブッシュクラフト。持ち出す道具は少なくても、技術・知識を組み合わせることで驚くほど心地よい空間を作れるぞ。

*  *  *

自分にとって最低限の道具を手に、野にあるモノで数日の暮らしを楽しむ〝ブッシュクラフト”。バックパックに詰めるべき道具は5Cと言われる刃物、シェルター関連、火の道具、容器、ロープ。いずれも野では入手しづらく汎用性が高いのが特徴だ。

たとえばタープは2・3m四方だと軽さで優位にたつけれど、3m四方のほうが広く、張り方のバリエーションが広がります。長方形なら折り込んで床を作ることも。軽さとその道具でできることを知り、何をもっていくか選ぶんです。ただ、元スウェーデン軍特殊部隊員のヨハン・スカルマンは『重くても気分がいいものは持っていく』とも。

「そうした選択がおもしろい」と語るのは全国でブッシュクラフトの技術を広めている越山哲老さん。

では取捨選択の基準とは? その答えは「理屈を知ることが第一歩」なんだとか。

たとえば直火は足先からあたためてくれるが、直火ができない場所が増えた今、焚き火台とともにコットも用意して火と高さをそろえて過ごせばあたたかい。こうなるとコットは無駄なモノではなくなる。

また刃物はノコギリ、鉈か斧、ナイフの3種類あると便利だが、ナイフだけですむ場合も。

「両側から切り込みを入れて折ればノコギリ替わりになるし、細めの木であれば鉈や斧がなくてもバトニングで小薪を作れます。もちろんフェザースティックも作れる。さらにノッチを削る技術があれば焚き火の熱を無駄にしないリフレクターや、鍋を吊すハンガーすら生み出せます。ナイフという道具に技術が加わるとできることが増えるんですね。そもそも森によって風の向きや太陽の位置、木の生え方で表情が異なり、それぞれ別の物語を紡いでいます。知識と技術を増やし、環境と融和しながら物語の一部になれるのがブッシュクラフトのおもしろさなんです」(越山さん)

ブッシュクラフトに過剰な道具を持ち込むのはナンセンスだが、タープ泊に自信がないならフロアのないタープテントからはじめるというのも手。

知識と技術が増えれば、その都度道具を絞っていけばいい。ブッシュクラフトは背伸びせず、無理なく生きる力を養える究極の森遊びだ。

ブッシュクラフトインストラクター/越山哲老さん
リバーサイドブッシュクラフトスクール代表として全国各地で野営に役立つ技術を指導。当代きってのナイフ研究家でもある。

 

【幕】張ればそこが秘密基地

身体を休める場所作りに欠かせない幕。「スタンダードは3×3mのタープですが、軽さを優先するなら2.3m四方もあり。長方形はフロアを作れるという利点があります」(越山さん)

1. テントとしても使えるマルチな難燃タープ

グリップスワニー
「ファイヤープルーフ GSタープ」(4万2350円)

従来の難燃素材より5倍も強度がある難燃生地ブレイズシールドを用いたタープで、万一炎に触れても燃え広がらず炭化。19個ものループと鳩目を備えておりいろいろな形を作れる。張り綱付属。サイズ:3×3m

2. 立ち姿が美しい注目ブランドのTCテント

TOKYO CRAFTS
「ダイヤフォートTC」(3万9800円)

タープ泊の定番“ダイヤモンド張り”を思わせるシルエットのテント。通気性と遮光性にすぐれたTC製で、前面パネルを取り外せばより開放的になる。アルミポール、ペグ、張り綱付属。サイズ:3.3×2.75×H2.15m

3. TC素材のハンモックなら近くで焚き火もOK

テンマクデザイン
「焚火ハンモック」(3万7400円)

特殊なフレームと立体裁断構造で、寝返りをうって身体が端に寄っても安定する。本体とフライにTC素材を採用しているので火の粉で穴があきにくいことも大きなメリット。ロープ別売。インナーサイズ:90×200×H75cm

4. あると雰囲気UP!

ダーラム
「トナカイファー ワード M」(1万5400円)

タープ泊の大敵、地面からの冷えと湿気を遮断できる毛皮。毛が抜けにくい特殊加工済みで長く使える。サイズ:約70×40cm

【刃】全てを生み出す要ギア

「ナイフは断面形状がコンベックスかスカンジのフルタングが、バトニングには理想。斧か鉈かは好みが分かれますが、刃渡が短い斧のほうが恐れずに使えるのでは」(越山さん)

5. 目詰まりしづらく軽快に刃が食い込む

シルキー
「ゴムボーイ 荒目 270」(4818円)

太目の生木をザクザク切れる剪定鋸。アサリなし(鏡面研磨仕上げ)のおかげで切り口は美しい。ベルトに取り付けられるクリアケース付き。刃長27cm、刃厚1.4mm

6. 野営に必要なモノをまとめて持ち運べる

モーラナイフ
「ガーバーグ サバイバルキット(S)」(1万3200円)

ファイヤースターターとシャープナー、パラコードをまとめて持ち運べるフルタングナイフ。切れ味のよさも自慢。スカンジグラインド。刃長10.9cm、刃厚3.2mm

7. 原幸治デザインの美しいフルタングナイフ

MITSUBOSHI
「Outdoors Northern Land ロッキー」(2万9700円)

グリップ位置を変えられるので操作性良好。再生紙由来のハンドルは環境負荷が低いうえ耐熱性、耐火性、耐水性よし。コンベックスグラインド。刃長10.5cm、刃厚3.5mm

8. 斧頭に刻まれているのは職人の誇り

グレンスフォシュ・ブルーク
「ワイルドライフ」(2万3650円)

焚き付け用に備えたいバランスの良さが自慢の斧で、斧頭に職人のイニシャルを刻印。代理店であるファイヤーサイドで柄の有償交換を行っており一生の友となる。刃長8cm、斧頭W13cm

【火】熾すことから野営が始まる

焚き火があれば周囲を照らし、寒い夜も身体をあたためるうえ、あたたかな飲み物も作れる。暮らしに欠かせない火だから、どんな状況でも確実に火種を作る技術と道具が必要だ。

9. 工具も兼ねたスゴイヤツ

UCO
「サバイバル ファイヤーストライカー」(1980円)

長めのフェロセリウムのロッドとステンレスストライカーのセットで、あらゆる環境で大きな火花を生む。使用回数は約3000回。焚き火の火種とするほか、低温時はガス器具着火にも使えて便利。サイズ:8.4cm

▲ステンレス製のストライカーはレンチや栓抜き、スクレーパー機能付き。マルチツールとしても優秀だ

10. 雨に濡れても風に吹かれても消えない

UCO
「ストームプルーフ マッチキット グリーン」(1760円)

雨・風という従来のマッチの弱点を克服。1本約7cmで、濡れても風が吹きつけても15秒ほど燃え続ける。密閉性の高い防水コンテナ入り。サイズ:φ3.9×7.9cm

 

【住】雰囲気と快適さを兼備

野での暮らしを豊かにする装備。なかでもロープは「ブッシュクラフトで重要な位置づけで耐荷重の高いものが安心。使用頻度によりますが2〜3年で交換しましょう」(越山さん)

11. 硬めだけど底付きのイヤな感じはなし

エバニュー
「FP mat 125」(3630円)

ミニマリストの声に応え、硬めにすることで底付きしない程度に薄く(5mm)、頭から腰までをカバーする長さに抑えた新感覚のマット。ザックの中に仕舞いやすいようあえて折りたたみ式となっている。サイズ:125×50cm

12. 抜群の耐荷重でハンモックにも使用OK

タフグリッド
「700ポンド リフレクティブパラコード100FT」(3520円)

11芯で耐荷重317kg! 硬く結べるのにほどきやすいという特徴も見逃せない。反射材入りで視認性も高く安全なサイト作りを実現する。

13. ゆらめく仄かな灯りが自然には似合う

デイツ
「オイルランタン D78 MARS ブラック/ゴールド」(5665円)

強風下でも消えない耐風性と美しさに定評のあるオイルランタン。ブラック/ゴールドのほかにカラバリが豊富なのも人気の理由だ。DIETZ JAPANより購入すれば数量限定で安全に持ち 運べるBushCraft Inc.製専用カバーが付属。高さ:26.5cm

14. ミリタリーシュラフの世界シェアNo.1

カリンシア
「ディフェンス4 マルチカム リミテッド エディション」(3万9800円)

NATO軍ほか30カ国以上の軍隊で採用されるセンタージップの寝袋。中綿G-LOFTを二層にするほか、保温性を高めるサーモフレクトを装備することで快適温度-8°Cを実現している。■適応身長:M〜185cm、L〜190cm

 

【収】タフ&使いやすさが肝

野に出るための道具は効率よく持ち運ぶパックはスリムなデザインだとあらゆる地形で動きやすい。使用頻度の高いものをまとめるEDCポーチも抑えておきたい。

15. フィンランド国境警備隊向けパックを改良

サヴォッタ
「ヤーカリ M」(2万8600円)

軍用グレードの構造と機能性を備えた30Lのパックは険しい地形でも動きやすい縦長デザイン。フレームを内蔵し背負いやすさも格別だ。

▲雨蓋を伸ばしてウエアを挟む、ボトムのループに寝袋を装着する、PALSウェビングで別売ポーチを装備するなどカスタマイズも可能

16. 高い縫製技術でギアの出し入れがスムーズ

asobito×野良道具製作所
「EDC ケース」(6160円)

バンドの向きが異なっているので、シースナイフやミニLEDライトなど長さの違うギアを効率よく収納できる。内側に縫い代がないのでほつれにくく、出し入れのストレスもない。サイズ:27.5×8×H13cm

17. 使用頻度の高いギアは身に着けておく

マグフォース
「Osprey Waistpack」(1万1220円)

メインコンパートメントも前ポケットもダブルジッパーで大きく開閉。斧やナイフを取り付けられるウェビングが配備されていて、作業に必要なモノを常に身につけていられる。

 

【食】最小限でも十分賄える

クッカーや水筒はブッシュクラフトで重要とされている“容器”のひとつ。「クッカーはダブルウォールよりも火にかけられるシングルウオールのほうがマルチに使えて重宝します」(越山さん)

18. 簡単&10秒で濾過できる水筒

グレイル
「ウルトラプレス ピュリファイヤー」(1万1800円)

外筒で水をすくい、フィルター付きの内筒を押し込むだけで寄生虫や細菌を除去できるボトル。濾過前の水は口に触れることはなく、そのまま飲めるのも便利。容量500ml

19. 北欧のメスキットをステンレスで再現

パスファインダー
「PFM40クックセット」(7700円)

スウェーデン軍メスキットがベースで、深型ポットとフライパン、固形燃料やアルコールストーブの風防兼ゴトクをまとめて持ち運べる。フライパンは木の枝で持ち手を延長可能。

※2023年11月6日発売「GoodsPress」12月号86-89ページの記事をもとに構成しています

>> 特集【グッとくるタフネスギア】

<取材・文/大森弘恵>

 

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