近年、月面で動作する宇宙ロボットやISS内を移動する船内ドローンなどの“宇宙テック”が注目されている。宇宙テックをはじめ、宇宙ビジネスは今後も急成長が期待されている。
そこで今回は、昨今の宇宙テックに関するニュースを紹介し、宇宙ビジネスの動向を追っていく。
月面基地建設を支援する“物理シミュレーション”開発
今回の取り組みは、国土交通省と文部科学省が連携して進める「宇宙無人建設革新技術開発推進事業」に採択された、有人宇宙システムの「トータル月面建設システムのモデル構築」の再委託事業だ。
スウェーデンのAlgoryx Simulation AB社が開発するAGX Dynamicsは、高速性と正確性を両立し、高い安定性を誇る最先端の物理エンジン。多くの訓練シミュレータ、エンジニアリング用途シミュレーション、大規模な粒子シミュレーションなどで活用されている。
高性能の開発プラットフォームと物理エンジンにより、月面での作業をできる限り忠実に再現できるようシミュレーション環境を構築するという。
今後は、NASAが配布する月面の高解像度テクスチャデータ「CGI Moon Kit」を使用し、NASA主導の月探査プロジェクト「アルテミス計画」で着陸が想定される月南極付近での作業環境を忠実に再現する予定。
さらに、レゴリス(月面を覆う砂)をはじめ、月面探査によって解明されることが期待される未知の事象をシミュレーションに反映する拡張性を持たせ、長期間、多用途に使用できるシミュレーションの構築を目指す方針だ。
参考元:PR TIMES
人工衛星「Clark sat-1」が打ち上げに成功
同プロジェクトは高校生による人工衛星開発・打上げおよび宇宙をテーマにした探究学習プログラムの開発により、未来のリーダー人材育成を目指すというもの。
打ち上げ時には、クラーク記念国際高等学校が全国に構える学習拠点で現地映像を見守るパブリックビューイングを実施し、打ち上げ成功の喜びを全国で分かち合ったという。
なお打ち上げられたClark sat-1は国際宇宙ステーション(ISS)へと運ばれ、ISSきぼう実験棟から放出。放出後1カ月程度で宇宙空間での運用が開始となる。
今後、宇宙探究部では衛星の運用開始とともに、衛星から受信した写真画像を活用してSDGsをテーマにしたモザイクアートの作成や、地球・宇宙の環境問題に取り組む団体・個人に向けてのエールを音声メッセージで発信する予定だ。
参考元:PR TIMES
(文・Haruka Isobe)
- Original:https://techable.jp/archives/224369
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:Haruka Isobe