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Apple Watch販売停止の悪夢、きっかけはクックCEOに10年前届いたメール?

Apple Watch Ultra
 
Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2が米国で販売中止となったきっかけが、今から十年前、Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)のもとに届いたメールではないかとの説が浮上しています。彼にメールを送った人物は、Appleが特許を侵害したとされるMasimoの従業員でした。

■3行で分かる、この記事のポイント
1. ライバル会社の従業員から採用希望のメールがクックCEOのもとに届いた。
2. 採用した結果、Appleはライバルの特許を侵害することとなった。
3. この従業員は、Appleでも問題を起こしすぐに退職したが、技術はそのまま採用された。

Masimoの従業員からアピールが届いた

Bloombergによると、本国でApple Watchの販売が中止される異例の事態は、係争相手であるMasimoの従業員(当時)が、Appleのティム・クックCEOに送った、一通のメールに端を発するそうです。
 
Masimoに在籍していたマルセロ・ラメゴ氏は2013年、大胆にもティム・クックCEOに「医療、フィットネス、ウェルネス市場でAppleをナンバー1ブランドにする、新たなテクノロジーの波を作る」手助けができると書いたメールを送りつけました。
 
このメールを送ってから数カ月後、めでたくラメゴ氏はApple Watchのセンサーを開発するエンジニアとして採用され、血中酸素濃度を測定するセンサーやアルゴリズムの特許を次々と申請します。
 
これが悪夢の始まりでした。Masimoによれば、もともとラメゴ氏は血中酸素濃度の測定技術に関する知識を持ち合わせておらず、同社で得た知識をそのままAppleに流していたそうです。

販売中止になった経緯

2020年発売のApple Watch Series 6以降であれば、ユーザーは専用のウェルネスアプリを通して、体内に取り込まれた酸素のレベル(血中酸素濃度)を測定することができます。
 
しかし、同機能の特許権をAppleに侵害されたとするMasimoの言い分を、政府機関である米国際貿易委員会(USITC)が認めたため、米国内では2023年12月24日(現地時間)、最新のApple Watchが販売中止となりました。Appleはこの判断を不服とし、USITCを相手取って米連邦巡回控訴裁判所に上訴しています。

悪夢のクリスマスイブに

結局ラメゴ氏は、マネージャーと衝突するだけでなく、数億円単位の予算や、無断でエンジニアを雇用する裁量権を要求するなどの振る舞いが問題となり、数カ月でAppleを退職することとなります。
 
もし10年前、こんな人物に耳を貸さなければ、よりによってクリスマスイブにApple Watchの販売を取りやめる必要もなかったのではないか――ティム・クックCEOが悔しがる気持ちは想像に難くありません。
 
幸いにも日本では、Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2ともに販売が続いていますが、Masimoの特許を侵害しないよう設計の見直しは必至で、今後何らかの影響が及ぶ可能性もあります。
 
 
(kihachi)
 
 
※Apple Watchの血中酸素ウェルネスアプリの測定値は、自己診断または医師との相談を含む医療での使用を目的とするものではなく、一般的なフィットネスとウェルネスのみを目的としています。

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