【&GPゆく年くる年ー2024年先取り情報】
■既存のガンプラ好きとともに新規ファンのことにも注力!『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のガンプラが2023年には続々登場
さまざまな作品の新製品が登場した中でも、特にラインナップが拡充したのは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のガンプラシリーズだ。2022年のSeason1に続いて、2023年4月からはSeason2のオンエアおよび配信が行われ、番組内に登場する機体のガンプラが続々とリリースされた。
そんな『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のガンプラの開発を担当したのが、BANDAI SPIRITS ホビーディビジョンの諸岡由輔さん。「既存のガンプラ好きはもちろん、今までガンプラに触れていない若年層にしっかり届けたいという“2つのターゲットの軸”を念頭におきながら、同シリーズの商品を開発してきました」(諸岡さん)
同シリーズの一部機体では「シェルユニット」という部位を再現できるよう、あらかじめ模様があしらわれたインモールド成形のパーツが付いている。劇中の発光演出さながらにキラリと光を反射し、見る角度によって表情を変えるのが特徴だ。
「HGというガンプラのシリーズで『シェルユニット』のような模様を表現する場合、シールを貼る仕様が定番なのですが、インモールド成形のパーツで再現できれば、初めてガンプラに触れる人にも『すごい技術だ』と驚いてもらえるんじゃないかと考えました。インモールド成形は、かつてSDガンダムの商品(超機動大将軍や武神輝羅鋼)でも採用していた技術なので、既存のガンプラファンにとっても『インモールド成形が復活している!』とサプライズのように感じてもらえるのではないかと思いました」(諸岡さん)
インモールド成形は「HG 1/144 ガンダムルブリス」「HG 1/144 ガンダムエアリアル」そして「HG 1/144 ガンダムエアリアル(改修型)」では赤発光、物語の終盤に登場する「HG 1/144 ガンダムキャリバーン」は虹色発光を表現している。
「アニメ本編の『シェルユニット』の色変化に合わせて、インモールド成形の色も変えることによって、ガンプラにおける“シェルユニット表現の進化過程”を見せられるのではないかと考えました。プラモデル技術の可能性を感じてほしいですね」(諸岡さん)
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のガンプラにおいて「HG 1/144 ガンダムエアリアル」や「HG 1/144 ガンダムキャリバーン」といった、主人公スレッタ・マーキュリーが搭乗する機体のキットは、武装のさまざまな形態変化を楽しめるようになっている。
「スレッタの乗るモビルスーツ(以下、MS)はガンビットが機体に装着したり、ライフルに合体したりするので、それをガンプラでも再現できるようにしています。キットが完成した後、パーツを付け替える、そしてまた元に戻すといった遊び方を想定し、小さくて扱いにくいようなピーキーなパーツにするのは避けつつ『サイズをどうするのか』『劇中にはない“パーツを着脱するための穴”をどうしたら違和感がないようなデザインに落とし込めるのか』といったところまで、企画段階から揉んでいきました」(諸岡さん)
例えば「HG 1/144 ガンダムエアリアル」のビットステイヴというパーツは、“ビットオンフォーム”で好きなポージングを取ろうと遊んでいる時には外れないけれど、付け替えようと思ったらすぐに外せるようになっている。
「そのような相反することの両立は“嵌合(かんごう)調整”を入念に行うとともに、設計にもこだわって実現しました。素材には耐摩耗性の高さなどを考慮したKPS材で、パーツを着脱する各種ギミックがストレスのないようにしています」(諸岡さん)
なおMSのデザインは、BNFW(バンダイナムコフィルムワークス)とBANDAI SPIRITSのホビーディビジョンが連携しながら進めたという。
「ガンプラは、出来上がっている機体のデザインに対してBANDAI SPIRITSがどうアプローチしていくのか、ということも多いのですが、アニメでもガンプラでも『カッコいい』を両立するために、BNFWの担当者と相談しながら、アニメ側とガンプラ側の両方を一緒に詰めていきました。打ち合わせでは『このデザインだと周辺が干渉して、ガンプラでは膝が十分に曲がらなくなります』という具合に、MSとともにガンプラの構造をブラッシュアップしていきました。そういった過程を経てMSのデザインが固まり、ガンプラとしてお客様の手元に届く時には、よく動くようになっている…というわけです」(諸岡さん)
若年層にとって『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のガンプラは“初めて作るガンプラ”になる可能性がある。そのため、特に最も購入が見込まれる主人公機のキット「HG 1/144 ガンダムエアリアル」は作りやすさに強くこだわったそうだ。
「最初に触れたガンプラが組み立てにくかったら、ほかのキットは絶対に買ってくれないだろうと。組み間違えにくい“後嵌めの構造”を採用しているのはもちろん、パーツが気持ちよくハマる“嵌合調整”や、パーツを探しやすいランナーの配置にもこだわりました」(諸岡さん)
できるだけ少ないパーツで色分けができるように開発し、シールを貼る作業は少なく、塗装せずともカッコよく出来上がるようになっているのも特徴だ。
「『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のガンプラにおける集大成といえるのが『HG 1/144 ガンダムキャリバーン』です。最終決戦の機体になるということも踏まえつつ、同シリーズの開発を進める中で『ここをもうちょっとこうしたら良くなるかも』といったアイデアなどを、できるだけ盛り込みました。ブレードアンテナと胸部の『シェルユニット』の発光表現も含めて、ガンプラの進化を実感してほしいですね」(諸岡さん)
■というわけで2023年を象徴するガンプラはコレ!
BANDAI SPIRITS
「HG 1/144 ガンダムキャリバーン」(2200円)
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の最終決戦時に登場した機体をキット化。虹色に輝く胸部「シェルユニット」とブレードアンテナをインモールド成形で再現している。脚部などの可動域が広いため、宇宙用の姿勢制御ユニットとして機能を特化させた「ハイマニューバモード」の形態を取らせることも可能だ。
本体ディスプレイ用の台座が付属し、お気に入りのポージングで飾れる。戦闘シーンで印象的な活躍を見せた長尺のメインウェポン「バリアブルロッドライフル」が付属し、銃身の後部が展開するギミックは劇中さながら。白いエスカッシャンの構成要素である11基の「ガンビット」は着脱可能で、全身の各部にも取り付けられる。
©SOTSU・SUNRISE・MBS
■シリーズ最新作が待望の劇場公開!『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のガンプラが2024年にはリリースラッシュ!
2024年に控えるガンプラの新作として注目なのが、2024年1月26日に公開される『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のキットだ。「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」でお馴染みのフリーダムガンダムやジャスティスガンダムを想起させる、ライジングフリーダムガンダムとイモータルジャスティスガンダムが登場。今回は可変機構を備え、ガンプラでも再現できるようになっていると、ガンプラの開発を担当しているBANDAI SPIRITS ホビーディビジョンの栗原直也さんは話す。
「両機体は、共通のフレームを使っている設定になっており、ガンプラでも同じような変形ギミックを採用しました。その上で、ライジングフリーダムガンダムで言えば、モビルアーマー(以下、MA)形態へ移行した際に腹部側へ取り付けるシールドの一部が上下にカパッと開き、そこのジョイントにビームライフルをセットできるなど、劇中と同じような仕組みにしています」(栗原さん)
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のガンプラでは、新規と既存の両ファンをターゲットにしていたのに対して、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のガンプラは、既存の“SEEDファン”をメインターゲットとし、作りやすさは追求しつつも、変形機構の再現度を含め、できるだけ高い満足感を得られるような仕様にこだわったという。
「新たに変形機構を採用しつつも、股関節に設けたスライド機構などによって、両機体特有のポージングがしっかりと取れるようにしました。『HG 1/144 ライジングフリーダムガンダム』ではフリーダムガンダムならではの“ハイマットフルバースト”(一斉射撃)状態で飾れます。『HG 1/144 イモータルジャスティスガンダム』ならインフィニットジャスティスガンダムのような“蹴りのポージング”も思いのままです」(栗原さん)
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のHGシリーズのガンプラは「SEEDアクションシステム」という内部構造を採用し、どのキットも劇中で印象的なポーズが取れるようになっている。
「具体的には首、肩、胴という3カ所がより大きく動くように設計し、みんなが再現したくなる“見得を切る”ようなSEEDらしい決めポーズの再現を可能にしています。約20年前にアニメの放送に合わせて発売されていた『機動戦士ガンダムSEED』のガンプラでは、どうしても『劇中のように飾れない…』と感じるところがありました。今回はそのあたりを注力して“イチ押しのポイント”とし、アニメの新作を約20年待っていた“SEEDファン”に満足頂ける仕様にできたと自負しています」(栗原さん)
ライジングフリーダムガンダムのキットには“偏光成形”されたビームシールドが付属。光の当たり方や見る角度によって表情が変わるようになっている。20年前に発売された『HG 1/144 ストライクフリーダムガンダム』にもビームシールドが付属したものの、それはあくまでも色の付いたクリアパーツ。そのあたりも約20年前のガンプラからのアップデートとして“SEEDファン”が楽しめるようになっているわけだ。
「“偏光成形”のエフェクトパーツは、ゲルググメナースという機体のキットにも採用しています。取り付けるシールドは、パーツの差し替えで収納と展開の両状態を再現できるようにしました。設定画を見た時に『このシールドはどうなっているの?』と注目したポイントであり、劇中でどう使われるのか、私自身も楽しみにしています」(栗原さん)
エフェクトパーツでいえば同作品に登場するブラックナイトスコードシヴァとブラックナイトスコードルドラの機体を再現したキットのビームマントにも注目だ。
「グラデーション印刷を施した軟質素材を使っています。布や紙とは異なる、しっかりとした素材感で厚みもあります。そのあたりもぜひ、劇中のシーンとともに楽しんで頂きたいですね」(栗原さん)
■というわけで2024年に注目したいガンプラはコレ!
BANDAI SPIRITS
「HG 1/144 ライジングフリーダムガンダム」(2640円)
©SOTSU・SUNRISE
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場する「ライジングフリーダムガンダム」のキットは一部パーツの差し替えによってMA形態への変形が可能だ。“偏光成形”のビームシールドとともに攻守を兼ねたシールドも付属。クリアのエフェクトパーツを取り付けて劇中のイメージを楽しめる。
付属する2本のビームサーベルの連結や、腰部レールガンの砲身が伸びるなどのギミックは“フリーダム”と名が付くガンダムならでは。2024年1月26日発売予定
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BANDAI SPIRITS
「HG 1/144 イモータルジャスティスガンダム」(2640円)
©SOTSU・SUNRISE
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場する、イモータルジャスティスガンダムのキット。「HG 1/144 ライジングフリーダムガンダム」と同様にMA形態への変形に対応し、攻守を兼ねたシールドが付属。
インフィニットジャスティスガンダムでお馴染みのブーメランは両腰の装甲にマウントでき、クリアのエフェクトパーツを取り付けられる。膝から爪先部にかけて展開されるビームカッターは、クリアのエフェクトパーツを取り付けることで再現でき、ダイナミックな“蹴り”のポージングも思いのままだ。2024年1月26日発売予定
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BANDAI SPIRITS
「HG 1/144 ブラックナイトスコードシヴァ」(2970円)
©SOTSU・SUNRISE
その名のとおり、騎士を想起させるデザインが特徴。パーツの差し替えとリード線の取り付けによって、シールドの射出状態を再現だ。
グラデーション印刷されたビームマントを装着できるほか、胸部のアーマーを展開したり、爪先部にエフェクトパーツを取り付けたりすることにも対応。様々な形態のディスプレイを楽しめる。
題材となる機体が『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』でどんな活躍を見せるのか、期待感が非常に膨らむキットだ。2024年2月発売予定
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BANDAI SPIRITS
「HG 1/144 ゲルググメナース(仮)」(3190円)
©SOTSU・SUNRISE
往年のガンダムファンには懐かしい“ゲルググ”の名を冠したキット。こちらも『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場する機体が題材で、高い機動性を感じさせる大型ウィングを装備。可動式の構造により、リニア砲やミサイルランチャーを前方に構えることができる。
“ゲルググ”の象徴的な武器である近接戦闘用のビームナギナタが付属。グリップは腰部後方にマウント可能だ。レールガンを両手持ちできるなど肩部の可動域も広い。2024年3月発売予定
■『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の公開に合わせてリリースされるTVアニメで登場した巨大可変MSも初のガンプラ化!
BANDAI SPIRITS
「HG 1/144 デストロイガンダム」(1万4300円)
©SOTSU・SUNRISE
TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する機体を、全高約390mmのビッグサイズでキット化。同スケールのガンプラと一緒に飾り、巨大さを実感したい。
劇中さながらにMA形態への変形が可能。ロック機構を多数採用し、MSとMAの両形態時における安定性を確保している。
全長約260mmの大型エフェクトパーツ(“偏光成形”のもの)とともに一斉掃射を再現可能なクリアパーツも付属。五指は各関節で動くようになっており、様々な表情を付けられる。2種類の台座が付属し、浮遊と接地の両状態のディスプレイが可能だ。2024年3月発売予定
<取材・文/ナゴヤリュータ>
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- Original:https://www.goodspress.jp/columns/577243/
- Source:&GP
- Author:&GP