政府機関である米国際貿易委員会(USITC)の裁定を受け、12月24日(現地時間)から米国内で販売停止となっていたApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売が、現地Apple Storeで復活しました。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. 最新Apple Watchの販売が米国で復活した。
2. 特許侵害にもとづく輸入禁止命令を受け、Appleは24日から販売を停止していた。
3. 今後は侵害を認めたUSITCとの裁判に注目が集まる。
一時的な禁止命令の差し止め
血中酸素濃度の測定機能がMasimoの所有する特許を侵害しているとして、輸入禁止命令(海外で生産し米国に輸入しているため)が下っていたApple Watchですが、AppleがUSITCの判断を不服として控訴裁判所に上訴したことで、少なくとも一時的に販売が復活する運びとなりました。
すでに現地Apple Storeでは、Apple Watch Series 9/Ultra 2ともに陳列が復活しているほか、オンラインストアでも28日12時から販売が再開される見通しです(執筆時点では血中酸素ウェルネスアプリに対応していないApple Watch SEしか購入できない状態となっています)。
うっかりMasimoの特許を侵害してしまった?
血中酸素濃度の測定機能は、2020年に登場したApple Watch Series 6以降で採用されていますが、Masimoとの争いで公開された文書からは、少なくとも2013年の時点でこの機能をAppleが計画していたことが分かっています。
しかし「Appleをナンバー1にする技術開発を手助けする」という甘い言葉を真に受けて、Misimoの従業員を精査せずに引き抜いた結果、待っていたのは泥沼の特許侵害訴訟でした。しかもこのラブコールを受け取ったのは、他ならぬティム・クック最高経営責任者(CEO)本人だったことも文書から明らかになっています。
控訴裁の判決が今後の鍵に
控訴裁が輸入禁止命令を差し止めたことで、何とか販売再開にこぎつけたAppleですが、同社の申し立てが検討の結果棄却されれば、特許問題を解決しない限り再びApple Watchはストアから姿を消すこととなります。もちろん、2024年1月から始まるUSITCとの裁判に敗れれば言わずもがなでしょう。
Wedbush証券のアナリストが「法的問題を考えると、Appleにとって予想外の大勝利」とReutersに語ったように、いずれにしてもソフトウェアの設計を全面的に見直さなければ、依然として暗雲が立ち込めていることに変わりはなさそうです。
(kihachi)
※Apple Watchの血中酸素ウェルネスアプリの測定値は、自己診断または医師との相談を含む医療での使用を目的とするものではなく、一般的なフィットネスとウェルネスのみを目的としています。
- Original:https://iphone-mania.jp/news-571007/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania