インドで電気自動車(EV)のライドシェアサービスと充電ステーションを展開するBluSmartは、2023年11月、創業から5年未満の期間で1,000万回のライド(乗車)を提供し、人々の移動に変革を起こし、環境貢献のマイルストーンを国内で初めて達成するという快挙を成し遂げた。
インドで注目高まるEV配車サービス
BluSmartはデリーに拠点を置き、主にベンガルールなどで、5,000台以上のEVを使用した配車サービスを運営している。これらの車両が、あわせて2万3,000トン以上の二酸化炭素(CO2)排出を削減したと同社は発表した。
BluSmartは2023年3月、バンガロールのケンペゴウダ国際空港にBluSmartのピックアップゾーンが設けられるなど存在感を示している。なおこのとき、バンガロール国際空港株式会社(BIAL)がKIAで電気タクシー事業者専用のピックアップゾーンを設けるのは初めてであったようだ。
定期的に乗車できる新機能などサービス拡充に積極姿勢
共同創業者のアンモル・シン・ジャギ氏によると、同社は2023年8月時点で平均収益ランレート (ARR) 4億ルピー(3,800万円)を達成し、前会計年度末と比較して60%近い大幅な増加となった。なお同社は2023年3月から現在までの間、継続的に車両を追加しており、1200~1300台以上の車両を追加したであろうと発表。今後も増車していく姿勢をみせているほか、乗客が1か月間定期的に乗車できる新機能を開始するなど、さらなる牽引力をつけている。
11月下旬にS&P Globalが公開したインタビューによると、ジャギ氏は、化石燃料需要の大部分を輸入に依存しているインドにとって、石油から電気モビリティに直接移行するほうが、まず石油からガスに移行し、その後電気モビリティに移行するよりも、相対的に収益性が高くなると述べている。電力の燃料としてのコストは、圧縮天然ガスの5分の1、ディーゼルの9分の1であるという。
充電インフラを拡充へ
同サービスでは2,000か所以上のEV充電ステーションがあり、利用率は約20%であると伝えている。2024年3月までに充電ネットワークを約8,000拠点に増やし、利用率を約35%に高める構えだ。
さらに同氏は「国内で販売されている電気自動車のほとんどは1万5,000ドル台で、バッテリーの航続距離は200km程度。大きな転機が訪れるのは、1万ドル程度で航続距離300km程度のEVが登場したときだろう。そのときこそ、EVの勢いがインドで大きく加速するときである」と付け加えている。充電インフラや公的に利用可能な充電ポイントの拡大が遅れていることが、EVセクターが成長するための制約となっていることも添えた。
同社はまた、アプリ内の「CO2トラッカー」機能を通じて、乗客がどれだけのCO2排出を節約したかを把握できるようにしている。これにより、顧客が環境に対する自身の貢献を認識しやすくなっているのも同サービスの特徴の一つだ。
参考元:
EnergyWorld.com
Money Control
EXPRESSmobility
(文・吉田 拓史)
- Original:https://techable.jp/archives/224079
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:吉田拓史