【&GPゆく年くる年ー2024年先取り情報】
このところ、久しぶりのバイクブームが盛り上がっているバイク業界。2023年もその勢いは継続しています。一時期は新車の生産が追い付かず、購入しても納車が数ヶ月待ちということも珍しくありませんでしたが、今年はその待ち時間もだいぶ短縮されているようです。そんなバイク業界の状況を振り返りつつ、2024年の注目モデルをピックアップしてみました。
2023年のバイク業界を振り返ったとき、元気が良かったのが400cc前後のクラスです。カワサキは4月にクルーザータイプの「エリミネーター」を発売し、7月には4気筒のスーパースポーツ「Ninja ZX-4R」をリリース。どちらも大きな話題となりました。
そして、10月にはハーレーダビッドソンが同社の日本向け正規モデルとしては初の普通二輪免許(中免)で乗れる「X350」を発売。70万円を切る価格でも話題となりましたが、大排気量バイクの雄といえるハーレーがエントリー層向けに排気量の小さいモデルを投入してきたことは、このクラスのさらなる激戦化を予感させます。
■2024年発売予定の注目バイク
1. トライアンフ「Speed 400/Scrambler 400 X」
前述の「X350」の登場で、普通二輪免許で乗れる輸入バイクが話題となっていますが、それに続くインパクトを持っていると思われるのがトライアンフの「Speed 400」と「Scrambler 400 X」。どちらも水冷の398cc単気筒エンジンを搭載し、スリムな車体ながら高いパフォーマンスを実現しています。
この単気筒エンジンは40PSの最高出力と38Nmの最大トルクを発揮。ライドバイワイヤースロットルやトラクションコントロールなど、電子制御も充実しています。足回りは、43mm径の倒立フォークとリアのモノショック、300mm径のディスクにラジアルマウントキャリパーなどハイスペック。それでいて、価格は「Speed 400」が69万9000円、「Scrambler 400 X」は78万9000円とかなり魅力的なものになっています。
2. ホンダ「GB350C」
国産車で期待されているのがホンダの「GB350C」。これは、2022年に最も売れたバイクとなった「GB350/S」を、よりクラシカルなテイストにしたモデルです。「GB350」の生産国であるインドで販売されている「ハイネスCB350」にクラシカルなタイプが追加されたことで、国内でも登場が期待されていたものですが、ホンダがSNS上で発売予定であることをアナウンスしました。
発売日や詳細なスペックなどは発表されていませんが、キャブトンタイプのマフラーや、セパレートシート、フロントフォークカバーなどクラシカルなディテールが魅力。価格もベース車にならってリーズナブルなものになることを期待したいところです。
3. カワサキ「W230/MEGURO S1」
車検のない250ccクラスにも魅力的なマシンが登場予定。それが、カワサキの「W230」と「MEGURO S1」です。どちらも230ccの空冷単気筒エンジンを搭載し、丸目1灯のライトとティアドロップ型のタンクを採用したレトロスポーツモデルです。11月に開催されたモビリティショーの舞台でお披露目され、大きな注目を集めました。
基本設計は共通ですが「MEGURO S1」は、かつてカワサキに吸収されたブランドであるメグロの名称を採用し、クロームメッキのガソリンタンクを採用。ブラックを基調とした高級感のある仕上がりとなっています。「W230」のほうは、同社のWシリーズらしいレトロスポーツで、どちらもスチール製フェンダーやフォークブーツ、スポークホイールなどを採用し、このクラスには久しく登場していなかったクラシカルなマシンとして注目されます。
4. カワサキ「KLX230」
個人的に期待しているのが、同じくカワサキがモビリティショーで公開した「KLX230」です。国産メーカーの軽量なオフロードモデルは絶滅危惧種に近い状況だったので、カワサキが復活させてくれたことは歓迎したいところ。軽量な空冷エンジンを搭載しているので、取り回しがしやすそうで、オフロード遊びをする層を広げてくれそうと期待しています。
エンジンは前述の「W230」や「MEGURO S1」などと同じもの。足回りはオフロード走行に必要なホイールトラベル量を確保しつつ、良好な足付き性も実現しているようで幅広いライダーに受け入れられそうです。発売時期などは未定ですが、買いやすい価格で登場してくれることを願っています。
5. KTM「390 DUKE」
KTMの「390 DUKE」は以前からあるモデルですが、2024年モデルではフレームからエンジンまでを新設計に。エンジンは水冷の単気筒で、最高出力は45PSで最大トルクは33Nmとかなりパワフルなマシンに仕上がっています。フレームはスチールパイプを組み合わせたトレリスタイプで、新デザインのLEDライトと、大きくなったシュラウドもアグレッシブな印象を掻き立てます。
輸入ブランドの中でもKTMは「READY TO RACE」の標語の通り、“走り”にこだわったマシンを積極的にリリースしています。DUKEシリーズは、アップハンドルのネイキッドマシンという位置付けですが、どんどんアクセルを開けて積極的に荷重をかけて走るよう促してくるようなマシン。価格は78万9000円ですが、進化の幅を考えると安く感じられる完成度です。
* * *
400ccという排気量で区分する免許制度は日本独自のものなので、少し前まではこのクラスはあまりラインナップが充実していませんでしたが、最近は輸入車も含めて面白そうなモデルが増えてきています。日本の道路事情に適した排気量だともいえるので、今後もこのクラスが盛り上がってくれることを期待しているライダーは少なくないでしょう。
<文/増谷茂樹>
【関連記事】
◆スーパースポーツから電動モデルまで! モビリティショーで見たグッとくるバイク8選
◆ハーレーを身近な存在にしてくれた新「X」シリーズの気になる乗り味
◆“アメリカン”じゃなくて“クルーザー”!「レブル」「エリミネーター」で人気のクルーザーモデル4車種を試乗比較
- Original:https://www.goodspress.jp/columns/577058/
- Source:&GP
- Author:&GP