【達人のプラモ術】
ハセガワ
「九州 J7W1 局地戦闘機 震電 『ゴジラ-1.0』 劇中登場仕様」
01/04
2024年明けましておめでとうございます! 今年も『達人のプラモ術』でホビーを大いに盛り上げていきたいと思います。
さて新年第1弾として製作するキットは、2023年末に公開された映画『ゴジラ-1.0』登場して注目を集めたハセガワ「1/48 局地戦闘機 震電」です。(全4回の1回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
■話題の映画『ゴジラ-1.0』
東宝ゴジラシリーズ70周年を記念作品となる『ゴジラ-1.0』。日本で製作された実写のゴジラ映画としては通算30作目となります。
タイトルの『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』。舞台は、戦争によって焦土と化した日本。なにもかもを失い、文字通り「無(ゼロ)」になった日本にゴジラが出現。敗戦により武装解除され、自衛隊もまだ存在しない日本は、破壊神のごときゴジラの圧倒的な力ですべてを破壊され、再び絶望の淵へと叩き落とされていく。そんな絶望の中、戦争を生き延びた名もなき人々は、生きて抗うためにゴジラに絶望的な戦いを挑んでいく…。
監督・脚本・VFXは「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズをはじめ「永遠の0」「寄生獣」などを手掛けた山崎貴。
大戸島でゴジラと遭遇しながら生還し、運命に翻弄される主人公の敷島浩一を神木隆之助、焼け野原の戦後日本をひとり強く生きるなかで敷島と出会うヒロイン大石典子を浜辺美波。他にも山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、 佐々木蔵之介と実力派キャストが出演しています。
アメリカのレジェンダリー製作の『GODZILLA ゴジラ』(2014年)、庵野秀明が監督した『シン・ゴジラ』(2016年)に続くゴジラ映画となるのですが、これまでとは違う新しいゴジラの世界観を描いた今回の『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』は国内をはじめ、アメリカでも高い評価を受けており、現在公開中です。
■3回観ました!
というワケで今回は、現在公開中の映画『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』に登場する「九州J7W1 局地戦闘機 震電『ゴジラ-1.0』劇中登場仕様」を製作します。ゴジラと震電の関係を書くとネタバレになるので、詳しいことは劇場で確認していただきたい次第です。
ちなみに達人はIMAX、7.1ch上映、そして4DXスクリーンと計3回観ております(ゴジラ-1.0はいいぞぉ!)。
■九州J7W1 局地戦闘機 震電とは
飛行機好きでない限りはあまり馴染みのない機体ですが、日本爆撃で襲来するB-29爆撃機を迎撃するため、第二次世界大戦末期に1機のみ試作された局地戦闘機です。
エンテ翼と呼ばれた前翼型の機体は、空冷複列星型18気筒エンジンを後部に搭載した独特な形状を持っています。
搭載された空冷複列星型18気筒エンジンは高回転化・高ブースト圧化によって離昇出力2130馬力を発揮。最高速度は約740km/h以上。機首に30ミリ機関砲を4門搭載して、高高度を飛来するB-29迎撃する予定でした。
機体後部にエンジンを搭載したため、前輪式の降着装置を採用。特徴的な長い脚を持っています。しかし初飛行の際に機首上げでプロペラが地面に接触するトラブルが発生したため、垂直尾翼後端に急遽補助車輪を取り付けて対応しています。
1945年(昭和20年)6月に試作機が完成。同年8月に試験飛行をおこなった後、終戦となり、実戦参加は果たしていません。機体は戦後アメリカ軍に接収され、現在はバージニア州シャンティリーにあるウドバーハジー・センターに分解された状態で保管されています。
■震電のプラモデル
震電は1機のみ試作された試作機ですが、プラモデル的には古くから人気があり、ハセガワ以外でも、以前はタミヤから1/72(絶版)が、現在は造形村から1/32と1/48(どちらも発売中)がキット化されています。
そして今回、映画公開に合わせて、ハセガワから劇中仕様の1/48震電が発売されました。キット自体は40年ほど前に発売された古参キットですが、新規で描き下ろされたボックスアートと劇中仕様にするための改修ポイントが記されたインスト(組み立て説明書)、さらにデカールが付属しています。またハセガワの定番商品として1/72震電も発売されています(以前、1/106スケールでもキット化していいました。現在は絶版)。
ハセガワ
「九州 J7W1 局地戦闘機 震電『ゴジラ-1.0』劇中登場仕様」(3300円)
2023年12月27日発売
ハセガワ
「1/72 九州 J7W1 十八試 局地戦闘機 震電」(1320円)
発売中
ハセガワ
「1/48 九州 J7W1 十八試 局地戦闘機 震電」(1620円)
発売中
■劇中登場仕様での製作
今回製作の1/48震電のキットは、先にも書きましたが40年以上前に発売されたものです。古参のキットで、パネルラインも凸モールドと、今の目で見るといささか古さを感じさせられますが、機体のプロポーションも良く、コクピットのディテールも悪くありません。
ただしキット自体は通常版と同じなので、劇中仕様機として製作するには、自身でいくつか改修工作をしなくてはなりません。
キットのインストで指示されている改修点は2か所です。
※記事的に若干のネタバレを含みます。
劇中登場仕様のキットでは、組み立て説明書も刷新されており、改修ポイントが指示されています。
① 垂直尾翼の補助輪をカットする
劇中の震電は、員数外で生産されていた機体という設定なのでしょう。離陸時の機首上げでプロペラが地面に接触してしまったため、急遽垂直尾翼下端に取り付けられた“補助車輪”(練習機白菊の尾輪を転用)が装備されていません。キットは補助車輪が垂直尾翼と一体で成形されているので切り離します。
②右側2門の機関砲を削る。
劇中機は機首に爆弾を搭載するために装備された30ミリ機関4門のうち右側2門を取り外しています。ハセガワのキットは機関砲のカバーと右側機関砲の銃身が一体成型されているので、削り落とす必要があります。なせか左側の銃身は別パーツなんですけどね。
■個人的追加工作
これはある意味劇中機いちばんのポイントになるんですが、実機では装備されていなかった緊急脱出用の射出座席が取り付けられているんですね。
劇中のカットでは座席の背板部に赤い注意書きプレートを確認できるのですが、『Druckluft-Schleudersitz』とドイツ語が書かれています。意味は“圧縮空気式射出座席”の取り扱いに関してなので、ドイツから試験的に持ち込まれていた射出座席を取り付けた設定になっていることがわかります。実際、同時代のドイツ機では、ハインケルが試験的に戦闘機に射出座席を装備していましたが、それが震電に使われて…というのはリアリティがありますね。
■射出座席を自作
キットの座席はノーマルのままなので、劇中機にこだわるのならば射出座席を自作する必要があります。とはいうものの細かい設定資料はないので、それらしく工作出来ていればOKだと思います(飛行機モデルのお約束でキャノピーを閉じてしまうとコクピット内部がほとんど見えなくなってしまう)。
作例では座席後ろの防弾板を兼ねたヘッドレストをプラ板とプラ棒で、射出時のフットバーを真ちゅう線で自作。さらにドイツ式のシートベルトを追加しています。もともとキットのコクピットも出来が良いのでこれで十分かと思います。
■次回は機体の製作を進めます
というワケで今回はコクピットの製作で終了。次回は機体を組んでいきます。1/48サイズの震電は、完成後のサイズも全長196.5mm、全幅231mmとかなりコンパクト(前回製作のF-35Bがデカかったので)。
パーツ数も56点と少な目なので、ストレートに組むだけなら3日~4日で完成できると思います。ウィークエンドモデリングにもオススメです。
2024年も『達人のプラモ術』改めてよろしくお願い致します!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/577989/
- Source:&GP
- Author:&GP