2018年および2020年に複数のクラウドファンディングサイトで資金調達を成功させたハイテクオルゴール「Muro Box」。日本でもオルゴールファンの間で好評を博し、複数のメディアで紹介されるなど話題となった。
そんなMuro Boxの最新型「Muro Box-N40」のクラファンプロジェクトが始まっている。開発は台湾のスタートアップ、Tevofy Technology LTD.だ。
Muro Box-N20のクラファンプロジェクトは、台湾のサイトZecZecで2018 年に目標金額達成率341%(約960万円)を記録したのを皮切りに、2020年にはIndiegogoにて最終314,900ドル(約4600万円)、GREEN FUNDINGでは目標金額の1590%を達成して約1500万円の資金を調達。韓国もあわせると総額50万ドルもの支援を獲得したという。
最新型のN40は音数倍増、フラットやシャープまで表現
このMuro Boxシリーズの最新型として、N40 StandardおよびN40 Sublimeの2バージョンが装いも新たに登場する。
以前のN20モデルの20音ではフラットやシャープといった半音を表現しきれなかったが、N40では高級オルゴールと同様に櫛歯を2枚搭載。音域を4オクターブ近い40音に拡大した。
特に、Sublimeの櫛歯の数はStandardの2倍となる4枚。最高級のオルゴールだけが奏でられる「サブライム・ハーモニー」を実現したフラッグシップバージョンだ(実質「N80」だが、作曲の際に使用可能な音数は40のためN40に含まれる)。リターン価格はSublimeが1870米ドル、Standardが1020米ドル。音色の違いは以下の動画で確認可能だ。
USB-Cに加えてDIN5のMIDIケーブルにも対応したほか、接続した楽器での演奏をそのまま録音するトランスデューサーシステムを内蔵。N20、N40ともにUSB-Cポートからの電源を必要とするが、将来的にはバッテリー式のN20 Lite製造を予定しているという。
「テクノロジーで物語を伝えたい」台湾出身の博士夫妻が開発
Muro Boxを開発したのは、台北を拠点とするTevofy Technology LTD. 。創業者は馮振祥氏と蔡筱晨氏の夫妻だ。ともに米国で博士号を取得した2人は、それぞれの専門知識を活かして2016年にスタートアップ経営に乗り出した。夫妻が掲げるビジョンは「テクノロジーでストーリーを伝える」というもの。テクノロジーによって人々の生活を便利にするだけでなく、人と人との距離を近づけたいと語る。
シリコンバレーのテック企業数社でエンジニアを務めた夫の馮さん。インテル本社という「大企業での9時5時の安定した仕事」に就いている時に、同僚の影響でスタートアップに興味を抱くようになった。「ガレージ起業」を目指してガレージを掃除していると、蔡さんが懐かしいオルゴールを見つける。夫妻が初めて出会ったオーストリアで10年前に購入した思い出の品だった。
「思い出の曲や好きな曲を自由に演奏できるオルゴールを作れないだろうか?」という着想を得たのはこの時のこと。しかも、夫妻の故郷である台湾は半導体など精密機械を得意とするうえ、かつて世界中のオルゴールムーブメントの40%を製造していた実績がある。台湾に戻った夫妻は、オルゴール製造に40年の歴史を持つKyooh Precision Industry Co.,LTD.と提携。Muro Boxはこうして誕生した。
世界中のユーザーからの要望に応え、一層進化した「Muro Box-N40」。クラファンプロジェクトは支援を受付中で、リターンの発送は2024年5月を予定している。
引用元:Indiegogo
(文・根岸志乃)
- Original:https://techable.jp/archives/225189
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:根岸志乃