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アプリ開発者のジレンマ:Appleの決済ルール変更は「茶番劇」か

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欧州連合(EU)が施行するデジタル市場法を前に、Appleは同地域でのApp Storeのルールを変更し、アプリのサイドローディング(いわゆる“野良アプリ”を公式ストア以外でもダウンロード可能になる)や、ストアを経由しない支払い方法の提供を条件付きで認めました。
 
ところが、Spotifyを創業したダニエル・エック最高経営責任者(CEO)は、Appleの変更を「見せかけの法令遵守や譲歩」に過ぎず、「完全なる茶番劇」と一蹴します。

■3行で分かる、この記事のポイント
1. EUの新たな規制でAppleが手数料ルールを改定。ストア公式以外の決済オプションを選べるようにした。
2. しかし新たな手数料が発生するため、大手アプリ開発者はほとんど恩恵を得られない。
3. SpotifyやEpic GamesのCEOは新ルールを強く批判している。

大手アプリ開発者に選択肢は実質的にない?

App Storeで配信されたアプリは、アプリ内決済の手数料として、売上の30%(一部15%)をAppleに支払う必要があります。従来であれば、この手数料を迂回する方法はありませんでした。
 
しかしiOS17.4の登場を機に導入された、新たなEU向けのルールでは、開発者がアプリ内でApp Store以外の決済オプションを出すことも可能となります。Apple公式の決済を選ぶ場合の手数料は20%(一部13%)、それ以外の支払方法では17%(一部10%)となります。
 
こうして比較すると、従来よりも手数料を安く済ませられるため、アプリ内でユーザーに決済方法を選ばせるオプションを導入することには、メリットしかないように思えます。
 
ところが、Appleのルール改定はここで終わりませんでした。年間100万回以上インストールされるアプリでApp Store以外の決済オプションを提示した場合には、新たに基礎技術手数料(Core Technology Fee:CTF)を納めるよう義務付けたのです。
 
インストール1回ごとに0.5ユーロ(約80円)がCTFとして発生するため、年間200万回ダウンロードされるアプリともなると、Appleに300万円ほどを毎月納める必要があります。結局のところ大手アプリ開発者は、どれだけダウンロードされてもCTFが発生しない、従来通りの30%手数料(Apple公式の決済方法しか提供しないプラン)を選ばざるを得ないのが実情なのです。

「従来と同じか、より悪い」

そうなると、Spotifyのダニエル・エックCEOが「我々にとっては、以前のルールと同じか、より悪い状況に等しい」と批判するのも頷けるでしょう。
 
新ルールでは、App Store以外の認定外部Webサイトでアプリを提供すれば、Appleに納めるのはCTFだけで済みますが(手数料は徴収されない)、それでも「顧客獲得コストを高騰させる」ため、結局はストアでの配信を継続するほかなくと同氏は語ります。「(Appleは)現状に留まることを開発者に強制している」
 
同様の私的は、決済手数料を巡って現在Appleと係争中のEpic Gamesからも聞こえてきます。Epicのティム・スウィーニーCEOはCTFを「ジャンク手数料だ」と批判しました。
 
 
(kihachi)

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