レトロな感じがどこか懐かしい、ゲームをプレイできるスマートウォッチが誕生間近となっている。「Retro Gaming Watch」が、クラウドファンディングサイトKickstarterにてプロジェクトを成功させたのだ。
Kickstarterプロジェクトページより引用
腕時計サイズながら、ヘビーなゲーム用にFPGAを搭載
折りたたみまたはスライド式のウォッチを開くと、320×320ピクセルの高解像度ディスプレイがゲームのプレイ画面となる。何より、はFPGA(Field Programmable Gate Arrays)を搭載することで、ビデオゲームのハードウェアを実装可能にした点がこのゲーム機の最大の特徴である。
カスタムレンダリングコアを活用し、映像とサウンドのずれといったエミュレーション上の難問を解決。大半の8ビットおよび16ビットシステムを、正確かつ遅延なしにエミュレートすることができる。
最大160MHZで動作するArm Cortex M33と、Bluetoothとセンサー用の2つの低消費電力コア、1.5MBの高速RAM、8MBの外部RAM、専用の低消費電力2Dグラフィックス・プロセッサ、そして上記のとおりヘビーなゲーム用にFPGAも搭載したこのスマートウォッチは、ただの時計以上のものだ。DOS時代のどんなゲームでも簡単に処理でき、Nintendo64時代のシステム以上のパワーを誇るゲーム機を手首に巻けるのだ。
Kickstarterプロジェクトページより引用
開発者は海軍勤務の自称“オタク”男性
レトロウォッチのクリエイターは、米ワシントン州シアトルに住むジェイソン・ロジャースさん。海軍潜水艦士官として24年勤務し、物理学や原子力工学、コンピューターサイエンスの学位を取得したほか、米スタンフォード大学で電気工学の修士号を取得した人物だ。
レトロウォッチ誕生のきっかけとなったのは約10年前。ジェイソンさんは海軍から1年間の特別研究期間を取得していた。スタンフォード大学で電気工学修士課程で学ぶためだ。原子力潜水艦の操縦から離れ、学業があるとはいえ休暇中のような気分だった。そこで久しぶりに趣味に没頭する時間を持つことができたのだ。
前々からゲームのプログラミングとビデオゲームのハードウェアに関心があったジェイソンさんは、その時間を活かしてCPU設計のコースを受講し、FPGAに初めて触れることになる。システムを模倣し代替として動作させるエミュレーションに新たな可能性を感じたそうだ。その頃、FPGAコードを開発しているエリック・ミンコフスキーさんと知り合う。スマートウォッチの開拓者であり、世界中で人気となった「Pebble」を世に送り出した超有名起業家だ。エリックさんと2人でビデオゲーム機について熱く語り合ったことで刺激を受け、多くのアイデアを思い付いたジェイソンさん。「懐かしの2Dグラフィックゲームを懐かしの十字ボタンでプレイできるゲームウォッチがあったら最高にカッコいいのでは?」と考える(この時、カッコいいと思うのはもしかしたら超オタクな自分だけで、ほかの人にはカッコよくないかも、とも思っていたとか…もちろん、同好の士は大量にいたのだが)。
しかし、アイデアが形になるまでには紆余曲折あった。電力の消費が激しいFPGAは携帯端末には適していない。ましてや腕時計に収まるサイズの電池で動作させることは困難だった。しかし、低消費を実現した極小FPGAを制作するEfinix社の存在を知り、連絡をとってみる。腕時計サイズのゲーム機というアイデアが気に入られ、Efnix社の協力を得ることができた。しかも、Retro Gaming Watchは同社FPGAの公式開発キットとして登録までされたのだ。
Kickstarterプロジェクトページより引用
Kickstarterプロジェクトページより引用
引用元:Kickstarter
(文・根岸志乃)
- Original:https://techable.jp/archives/225314
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:根岸志乃