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オレンジ色には意味がある!現役ハンターの声を集めて進化したジャパンブランドの狩猟用ベスト

【グッとくる農具/番外編】

2023年春から田舎と街の二拠点生活を始めたライターのGOL氏。耕作放棄地を再生し、農業の楽しさや難しさ、奥深さにあっという間にハマってしまったとか。とはいえ、そこは根っからのギア好き。農機具をはじめ田舎暮らしに必要なモノにも、思わずソソるギアがたくさんあるようです。冬期は畑が凍ってしまうので春までは狩猟や山仕事関係のギアを主に紹介していきます。

 

■狩猟用ならではの仕様がそこかしこに

hunt&
「ハンティングベスト」(1万5180円)

私の住む地域は3月15日まで指定鳥獣に限り猟期が延長されています。終猟まで残りわずかとなりましたので、今回は狩猟では欠かせないハンティングベストについて紹介します。

この鮮やかなオレンジのベストは、狩猟や有害獣駆除以外で着ることのないものなので、&GPの読者にどれくらい刺さるか分かりませんが、狩猟に関心や興味のある方の参考になれば幸いです。

▲狩猟では欠かせないオレンジベスト

こちらのハンティングベストは北海道旭川のハンティングギアショップ、株式会社ハイクのブランド“hunt&”のアイテムです。オンラインで購入しました。

ハンティングベストは猟友会に入るともらえることが多いのですが、ふたつの理由でこちらを購入しました。

ひとつめは、銃砲所持許可が猟期初めに間に合わなかったのですが、勢子(セコ※)の手伝いとしてグループ猟に参加したかったから。

※勢子:猟犬と一緒に行動し、獲物を追い出してタツ(またはタツマ)で待機する射手に犬の位置を知らせる役。ゲームを組み立てる司令塔的な役

鉄砲を持っていなくても猟場の雰囲気や仕組みを少しでも早く理解したかったので、自前でオレンジベストを揃える必要がありました。オレンジベストは、法的にマストアイテムではありませんが、グループ猟のように複数の人と協同で猟をする場合は、誤射を予防するため着用が強く推奨されているものです。

ふたつめは、猟友会でもらえるベストはフリーサイズでダボついた感じが嫌だったから。

動きやすさや、枝に引っ掛かりにくい体にフィットしたものを選びたいと考えていたからです。プラス、私は左利きなので左利き用を選ぶ必要性がありました。

▲見た目以上の収納力と合理的なポケット配置

ベストの素材はポリエステル。表面はピーチスキン加工された梨地でサラっとした感じです。汚れが付きにくく、水気を弾く効果があります。雨が降らなくても、枝から落ちる雪や、雨後の竹やぶに入る時などに躊躇することがありません。襟元はフルジップタイプ。猟期は秋冬になりますので冷たい風の侵入を防いでくれます。

ポケットは前面に4カ所、背面に取り外し可能な大きなポケットが1カ所の計5個あります。後述しますが、内ポケットもふたつあります。ミリタリーのタクティカルベストのようにモールで必要なポーチを後付けできるようなモデルも他社ではありますが、個人的にはこれだけあれば充分かなと思います。

▲秀逸なシェルポーチ付きポケット

一番下の左右のポケットには各5個のショットシェル(弾)ポーチが入っています。このポーチは外に引き出すことができ、ベストのホックボタンで留められます。そのまま弾帯として使えるアイデアです。シェルポーチは布ゴム製で12番までは収納できるようです。

ショットシェルポーチを露出させるとポケットが空になるので、そこに猟犬を繋ぐリードを収納しています。猟が終了した後に犬を探して繋ぐことも大事な仕事なので、すぐにリードが取り出せるようにここに収納しています。

私は弾帯とこれを併用していますが、その日の気分や猟場によって使い分けています。西部劇のガンマンのように弾帯すべてにシェルを収めると重いし、そもそもそんなに撃つ機会がないことに気づくでしょう。私の場合、今期一番弾を消費した日でも最大6発。1発も撃たずに終えた日の方がはるかに多かったです。弾帯のように外部に露出している場合、弾の紛失の危険性があります。落とさない、失くさないが絶対条件なので、ジッパーの付いたポーチに収納したほうが安心です。

もうひとつ大事なこと。狩猟をしない人にとっては、銃も弾も怖いもの。猟場の近くで出会う人に不必要な警戒心や恐怖心を与えないためにも、人目に付く場所では、それらを見えないようにすることは大切なことです。

▲内ポケットは左右にひとつずつ

銃砲所持許可証が充分に入るサイズ感の内ポケット。私は濡れないように銃砲所持許可証はジップロック等で包んでいます。ちなみにベスト内側の背中に触れる部分はメッシュ仕様になっています。

▲背面の大収納部

背中には取り外し可能な収納ポケットが付いています。開閉は面ファスナー。脱いだジャケットやレインウエアが充分に入るサイズです。私はここに無線機を入れています。とにかくいろいろ入って便利です。

▲背面収納は取り外しが可能

ジッパーで固定されている背面収納は取り外すこともできます。使う必要のない人や、有害鳥獣駆除で秋冬以外の季節に使う時に良さそうです。たくさん山を歩く勢子役の人には最適の仕様だと思います。

▲メッシュ部以外はラミネート生地

内側は基本的に防風性能に優れたラミネート生地仕様になっています。猟をする時は、個人的にはなるべく薄着で行きます。氷点下になる地域ですが、厚着をして山に行くと汗を余計にかくし、着ぶくれしていると銃の肩付けがおかしくなります。その日の気温や天候に合わせてレイヤードで調整しています。本当に寒い日にタツマに立つ時だけダウンジャケットを羽織ったりします。ベストに求められる機能は防寒ではなく防風だと思います。

▲裾はショックコードで調整可能

ベストの裾は絞って調整できます。体にできるだけ密着させることでバタつきや引っ掛かりを防止するできるわけです。狩猟用ベストでこれが付いているモデルは実はあまりありません。

▲信頼のYKK

前開きのジップはYKK製。ダブルジップ仕様。汗や雨で濡れることがあるアイテムなので信頼あるパーツがいいですね。

▲ちょうどいい厚さの肩当

射撃時に重要な肩当て部分は、高耐久性のキルティング生地です。発砲時の衝撃を和らげ、銃の肩付けがしやすい絶妙な厚みです。最初はこんなに薄くて意味あるのかな?と思っていましたが、実際に使ってみるとそのちょうど良さが実感できました。重要なのは肩当ての衝撃吸収性ではなく、正確な肩付けがしやすいか否か。正しい姿勢で肩付けされていれば、それほど衝撃を感じないことが分かりました。

猟期中、毎週末狩猟を行って学んだことがたくさんあるのですが、中でも強く感じたのが、地域に根ざしたローカライズされたものであるということ。なので、狩猟が行われる地形や気候によってさまざまなニーズが生まれるはずです。それだけ細かな要求がたくさんあるにも関わらず、使いやすいように上手くまとめられたスペックとデザイン性は秀逸。これから狩猟を始めたいと考えている人にこそオススメのベストです。

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>> [連載]グッとくる農具

<取材・文/GOL

GOL|現在、東京近郊の山村と都会で二拠点生活をしています。ライター業がメインですが、地方の魅力発信にも力を入れています。実地でのレビューがしやすい環境を活かしてアイテムを紹介していきます。

 

 

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