エンターテインメントだけでなく、教育やビジネス、行政などでも活用が進んでいる“メタバース”。仮想空間内でさまざまな擬似体験ができる利点から、昨今は災害体験や避難シミュレーションなどの「防災」の用途で多く使用されている。
2023年3月には三越伊勢丹ホールディングスの仮想都市プラットフォームアプリで、日本赤十字社の地震体験ができるメタバースコンテンツが開催(2023年5月に終了)された。
2024年2月には大成建設が、同時に複数人が災害体験可能なメタバースシステム「T-Meta JINRYU」を開発したと発表した。
こうしたメタバース活用が広がるなか、インドとアメリカに拠点を置くA2VRは、建築、教育、広告など幅広い分野をカバーするVR、AR、メタバースコンテンツを提供している。今回は、同社の災害のシミュレーション技術について紹介していく。
AR、 VR、メタバースを活用したサービスを展開する“A2VR”
2016年に設立されたA2VRは建築家、土木技師、コンピューターエンジニア、3Dモデラー、ゲームの専門家、映画制作者など、各分野の専門家で構成されたチーム。AR、 VR、メタバースをベースにしたさまざまなコンテンツ・サービスを提供している。同社の活動分野は、建築、工場、教育、病院、広告、エンターテインメントなど多岐にわたる。
ビジネス分野ではジョブ・トレーニングやさまざまな職業シミュレーション、教育分野ではVRデバイスを活用した学習コンテンツ、ホテル・商業施設などの分野では、360度のパノラマ画像を活用したツアーなどを展開している。
360度パノラマ画像を活用した災害シミュレーション
A2VRの拠点の1つであるインドは洪水、サイクロン、地震、干ばつなど自然災害の多い国であり、災害に焦点を当てた革新的な技術への関心が高いという。そんななか同社では、災害時の避難方法を学べる「バーチャル・リアリティ防災サービス」を提供している。
バーチャル・リアリティ防災サービスでは、ユーザーが実際の施設の写真をもとに作成されたパノラマ画像を通じて、建物内の自分の位置をすぐに識別することが可能。現在地を自動的にハイライトで表示するほか、最も近い安全な出口へ誘導する仕組みのため、ユーザーは仮想現実内で安全に避難する術を身につけられる。
一方、救助機関は同サービスを使用して、危機に瀕している物件の詳細や、危機に陥っている地域への最寄りの入り口を把握できる。状況を把握して侵入口を見つける…といった時間を省けるため、現場に到着した後、迅速に救助活動を行えるだろう。
既存のWebサイトやアプリに埋め込み可能
A2VRのバーチャル・リアリティ防災サービスは、既存のWebサイトやモバイルアプリに埋め込むことが可能だ。
オフィスや教育機関での防災訓練のほか、ホテル客室でスマートテレビを使った避難マニュアル、空港やショッピングモールのデジタルサイネージでの避難情報発信など、使用用途はさらに広がりそうだ。
参考・引用元:A2VR
(文・HAYASAKA)
- Original:https://techable.jp/archives/228490
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:Haruka Isobe