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サブスクアプリの8割以上が月間収益1,000ドル未満という調査結果

アプリ内課金システムを簡単に導入できるツールを提供する米RevenueCatが発表したアプリのサブスクリプションエコノミーに関する調査レポートによると、月間サブスクリプション収益が1,000ドル(約15万円)に達するアプリは全体の17.2%に過ぎないことが明らかとなりました。

RevenueCatのツールを使用するアプリは3万近くもあり、AppleGoogleを除けば、同社は最もサブスクリプションアプリ開発者が集まる単一プラットフォームとなっています。

RevenueCatが公開したレポート「2024年のサブスクリプションアプリケーションの現状」は、29,000以上のアプリと18,000人を超える開発者のデータを対象としており、これらのアプリは合計で65億ドル(約9,600億円)以上の収益を上げ、2億9,000万人を超える購読者を抱えているということです。

月間収益が10,000ドル以上のサブスクアプリは全体の3.5%

RevenueCatがデータを分析したところ、月間サブスクリプション収益が1,000ドルに達するアプリは全体の17.2%に過ぎないものの、1,000ドルに達するとアプリがさらに成長する可能性は高まることが明らかとなりました。例えば、1,000ドルに達したアプリの59%は2,500ドル(約37万円)に達し、2,500ドルに達したアプリの60%は5,000ドル(約74万円)に達します。

しかし、最も驚くべきことは、月間収益が10,000ドル(約147万円)に達するアプリは全体の3.5%に過ぎないということです。これは、インディー系のアプリ開発者やモバイルファーストのスタートアップ企業が自身の事業にフルタイムで専念するために最低限必要な収益だと言えるかもしれません。

RevenueCatはまた、月間サブスクリプションの価格についても分析しており、最も一般的な価格は2023年も変わらず10ドル(約1,500円)でしたが、平均価格は前年比で14%上昇したということです。さらに、12カ月後以降もサブスクを継続する月間購読者の割合は昨年より約14%減少しましたが、そのうちの10%が1年以内に再購読しています。

同社のジェイコブ・アイティング最高経営責任者(CEO)は、「引き締めが確実に見られましたが、それは当然です。なぜなら、多くのアプリが価格を引き上げているからです。インフレによる価格上昇は当然、ユーザーの解約にもつながります」と述べ、「全体的に、エコシステム全体はかなり順調に成長しているように見えますが、いくつかの再調整もありました」と続けています。

アイティングCEOはまた、人工知能(AI)が2024年の「ディスラプター(業界の破壊者)」になることを示唆しました。ただし、一部で予想されているようなモバイルの終焉ではなく、モバイルがAIのインターフェースであるための第二幕になるとしています。

アプリ開発者にとっては厳しい状況が続く?

RevenueCatのレポートによると、月間サブスクリプション収益が1,000ドルに満たないアプリは全体の80%以上ということで、アプリ開発だけで生計を立てることは難しいということがよく分かります。

米国では反トラスト法(独占禁止法)によってAppleやGoogleなど大手テック企業を取り締まる動きが活発しており、ヨーロッパ連合(EU)においては、Appleがデジタル市場法(DMA)に準拠するため、代替アプリストア(マーケットプレイス)の許容、手数料減額を含めたEUにおけるiOS、Safari、App Storeのポリシーの変更を発表しました。

これらの動きから、開発者にとっては追い風となっているような状況に見えますが、Appleの新ポリシーでは、「CTF(Core Technology Fee)」と呼ばれる新たな手数料が導入され、年間100万以上のインストールがあるアプリ開発者は莫大な手数料を支払わなくてはならなくなります。

これは、無料アプリ開発者にとっては持続不可能なモデルだとされており、広告収入を得られたとしても開発者によっては赤字になることもあるでしょう。収益が高い低いに関わらず、アプリ開発者にとっては依然として厳しい状況が続くのではないかと個人的には思っています。

Photo:Apple

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