Appleは現地時間4月11日、修理規約の大幅な変更を発表し、今秋より一部のiPhoneモデルの修理に中古の純正部品を使用できるようになると発表しました。この発表と同時に、同社のハードウェアエンジニアリング担当上級副社長であるジョン・ターナス氏が、物議を醸している「パーツペアリング」についてTechCrunchの取材に応じています。ターナス氏は取材に対し、パーツペアリングは「悪ではない」と主張しています。
パーツペアリングは問題視されている
パーツペアリングとは、部品とiPhone本体のシリアル番号をデジタル的にペアリングすることで非正規の業者での修理を防ぐシステムのことです。Appleは何年も前から、この方法を採用していますが、パーツペアリングと明確に呼んだことはありません。
パーツペアリングは、各種ガジェットの分解レポートで知られるiFixitからも厳しく批判されており、複数の法案の対象にもなっています。
ターナス氏、パーツペアリングは悪ではないことを強調
ターナス氏はインタビューで、パーツペアリングの「否定的な意味合い」について以下のように言及しました。
これにより、私たちがサードパーティー製の部品が機能しないように何らかの方法でブロックしていると人々に信じ込ませていると考えますが、実際にはそうではありません。私たちの考え方としては、いくつかの理由からデバイスにどの部品が入っているのかを知る必要があるということです。
1つ目は、それが本物のApple生体認証デバイスであり、なりすましなどの被害を受けていないことを検証する必要があります。もう1つは、校正(キャリブレーション)です。
このような努力によって、ユーザーは可能な限り最高の体験を得ることができるとターナス氏は主張しています。
部品のペアリングは、呼び方がどうであれ悪ではありません。
私たちが言いたいのは、どのモジュールが搭載されているか分かれば、新しい携帯電話に当社のモジュールを入れた時に、最高の品質が確実に得られるということです。何故それが、悪いことなのでしょうか?
Appleがどのような信念を持っていようと、同社はパーツペアリングのシステムを変更せざるを得なくなる可能性があります。米オレゴン州で最近可決された「修理する権利」法では、パーツペアリングを明確に禁止していますが、法律がどのように施行されるのか、Appleがどのようにそれに従うのかは不明です。
Appleは「修理する権利」法を支持
家電製品などを修理業者や消費者が自分で修理できるようにする「修理する権利」法案が、カリフオルニア州の議会に初めて提出されたのは2018年のことです。その後、この法案は同州で可決され、ニューヨーク州、ミネソタ州、コロラド州、マサチューセッツ州、そして先日、オレゴン州でも可決されました。
Appleは当初、この法案に反対姿勢を示していましたが、昨年8月に法案を支持する側に回ったことが明らかとなりました。しかし、以前としてパーツペアリングの禁止には否定的な姿勢です。
初めてパーツペアリング禁止を含む法案がオレゴン州で可決されたことで、この動きが加速することを見込んで、Appleは今回の発表に至ったのかもしれません。
パーツペアリングを禁止する動きがさらに加速すれば、消費者が修理しやすい環境がより整えられるでしょう。しかし、それと同時にセキュリティ面の問題も懸念されるため、手放しでは喜べないと個人的には思っています。
Photo:Apple
- Original:https://iphone-mania.jp/news-578656/
- Source:iPhone Mania
- Author:m7000