Appleがリサイクルのために回収した約10万台のiPhoneなどが、リサイクル業者によって盗まれて中国に横流しされていた、と米メディアBloombergが報じています。一方で、Appleがまだ使うことのできる製品を破砕してリサイクルすることを批判する声もあります。
リサイクルされるはずのiPhone約10万台、中国に横流し
Appleは、回収したiPhoneやiPad、Macなどの製品をリサイクルするために、カナダのリサイクル企業GEEPと契約していました。
AppleはGEEPと契約締結後の数年間で53万台以上のiPhone、約25,000台のiPad、約19,000台のApple WatchをGEEPに引き渡していました。
AppleはGEEPに対して、引き渡した使用済み製品を残さず破砕処理する契約を結んでいました。
しかし、2017年に実施した抜き打ち検査で、少なくとも99,975台の使用可能なiPhoneが破砕処理されずに中国に横流しされ、中国で新たなユーザーに再アクティベートていたことが分かりました。
AppleはGEEPを提訴、しかし放置で自然失効か
Appleは2020年1月にGEEPを契約不履行で提訴しました。
しかし、Appleは提訴後に申し立てを行なっていないため、このままだと提訴は2025年1月に自然失効する見込みです。
GEEPも、窃盗に関わっていた元従業員を訴えたものの、こちらの訴訟も動きがないまま、2025年8月に自動失効する可能性が高いようです。
AppleのGEEPへの訴訟は、GEEP以外のリサイクルパートナーで同様の事件が起こらないようにするための牽制だったではないか、とも噂されているそうです。
まだ使える製品の破砕には批判も
Appleに対しては、まだ使える製品を破砕し、素材としてリサイクルすることへの批判もあります。
iPhoneの場合、カーボンフットプリントの80%は製造時に排出されるため、素材レベルからリサイクルするよりも、同じ製品を長期間使うほうが環境負荷が少ない、との指摘もあります。
Appleは、2030年までに製品ライフサイクルにおける100%カーボンニュートラル実現を目指すと宣言していたのに、まだ使える製品を破砕するのは環境に優しくないのではないか、と批判の声もあがっています。
まだ使える製品の破砕は、各社が在庫調整などのために行なっており、珍しいことではないそうです。新製品を売ることで高い利益を得る、業界の構造上の問題と言えるのかもしれません。
Bloombergは、BoseのヘッドホンやMicrosoftのタブレットなど、まだ使える多くの製品が破砕される様子を「まだ使える製品を破砕するなんて正気とは思えない」と振り返るリサイクル企業の元従業員の声も紹介しています。
Apple製品寿命は伸び、修理しやすく
Appleの広報担当者はこの批判に対して、この数年間でリサイクル技術が大幅に進化しており、Apple製品の寿命は伸び、多くの製品が複数のユーザーに使われており、最終的に寿命を迎えた製品は適切なリサイクルによって資源回収が行われている、と説明しています。
Appleは2018年に、1時間に200台のiPhoneを分解し部品を分別・リサイクルできるロボット「Daisy」を導入しています。
最近のAppleは修理しやすさを意識した製品を増やしつつあります。iPhone14では修理しやすい構造を採用し、Apple製品の修理しにくさを批判してきたiFixitを驚かせました。
現地時間4月11日にAppleは、修理規約を大幅に変更しており、iPhone本体に修理用部品を使用しやすくなっています。
Source: Bloomberg
Photo: Apple
- Original:https://iphone-mania.jp/news-578905/
- Source:iPhone Mania
- Author:hato