寒暖差や気圧の変化が激しい季節の変わり目、自律神経の乱れからくる不調を感じている人も多いのでは。そんな不調やストレスを解消する際には、深呼吸などの呼吸法が大切であることが広く知られている。
深い呼吸は副交感神経系を刺激するため、車でいえばアクセルに該当する交感神経系のはたらきを抑える一助になるのだ。しかし、『BREATH』(『呼吸の科学』近藤隆文訳、早川書房2022)の著者ジェームズ・ネスター氏などの専門家によれば、現代人の9割が間違った呼吸をしており、それが慢性的な体調不良の原因になっているという。
今回紹介する「Breth」は、呼吸法でストレスを解消してくれるデバイス。ストレス解消以外にも集中力改善・質の良い睡眠を実現する呼吸法、“Zen”のようなリラクゼーションを体験できる製品だという。
現在IndieGoGoにて実施中のクラウドファンディングプロジェクトは、すでに100万円を超える支援を集めている。特別価格の約2万3000円から購入可能だ(配送対象は北米のみ)。本体を首から下げるだけ、振動・音・視覚情報の3つで呼吸をガイド
呼吸法アプリや呼吸トレーニングアプリは、すでに複数存在する。こうした既存アプリとは異なり、Brethはスマートセンサーによってユーザーの呼吸速度を測定。これにより、その人に合った呼吸法トレーニングが提案され、長期的なストレス解消習慣を身に付けられる。
使い方は付属のストラップで首から下げるか、横たわって胸の上にのせるだけ(胸骨の上にフィットする設計のため、ストラップなしで使用可能)。心地よい音と共に、リラックスを促す振動が胸部に送られてくる。上部モーターの振動に合わせて息を吸い込み、下部振動に合わせて息を吐けばよい。振動の強さは好みに合わせて調節できる。
また、専用のアプリ画面上の視覚情報もガイドとしてはたらく。3つの呼吸パターンを表す3種類の図形上を本体振動とリンクしながら光る丸が移動するので、それに合わせて呼吸することができる。 普段は無意識で行っている呼吸を意識しすぎると、うまくできているのか気になってしまう…という人もいるかもしれないが、Brethはこうしたハプティクスガイドが直感的に導いてくれる。ただし、リラックスしたいときにスマホ画面を見つめていては、せっかくの効果が薄れてしまうかもしれない。そのため、画面を見なくても振動と音だけで十分使用可能になっている。テクノロジーと科学に基づく呼吸法で瞑想、雑念をシャットアウト
また、Brethがあれば瞑想も簡単に行える。Forest(Zen)とOasis(Zen)を含む3種の「エクスペリエンスモード」では、サウンドスケープとバイブレーションがシンクロし、体の芯から意識まで癒やしてくれて、より深いレベルの安らぎを実感できるそうだ。雑念をはらおうと無理に頑張らなくても、正しい呼吸法と瞑想の効果を得ることができるだろう。
一日中身に付けていられる軽量設計と、目立たないデザインもうれしい。リラクゼーションを日常生活に取りこむことができ、職場や自宅、移動中でも必要に応じて穏やかな時間を楽しめる。黒か白のベースカラー2色×前面カラー7種で、色の組み合わせパターンは14種類。 開発企業によると、Brethは科学的な根拠に基づき、テクノロジーの力で効果的な呼吸法に導くとしている。同製品の科学的根拠とされる研究結果によると、リラックスした呼吸パターンを意図して模倣することで、身体の不随意機能を制御している神経系を落ち着かせることができるのだという。結果として血圧と心拍数の低下、血中のストレスホルモン濃度の低下、身体的エネルギーの増加、安らかな眠りといった効果につながるそうだ。
開発は嚥下障害にフォーカスしたカナダ企業
Brethを開発したのはカナダのエドモントンにあるTrue Angleという企業。CEOを務めるJana Rieger氏らによって2017年に設立された。科学的裏付けのあるテクノロジーの創造に努め、人々を健康へと導くべく、データ主導型のバイオフィードバック技術を開発するのが使命と伝えている。
Rieger氏は臨床医、研究者、大学教授などを務めるなかで、嚥下障害がいかに生活の質を低下させ、食事の楽しみを奪うかを目の当たりしてきた。また国土が広大なカナダでは、医療機器にアクセスするために患者が毎日通院することに困難があることも。この問題を解決するために開発されたのが、表面筋電位(sEMG)技術搭載のデバイス&ソリューション「Mobili-T」だ。
デバイスを下あごに接着すると、表皮に接着したセンサーが筋肉の動きを捕捉し視覚情報として表示する。患者はアプリ画面を見ながら嚥下運動のトレーニングを簡単に行えるというもの。デバイス本体はコンパクトで自宅でもどこでも使え、医師による遠隔診療も受けられる。Mobili-Tのベースとなるセンシング技術と関連するソフトウェアソリューションは、さまざまな応用が可能であることから、同社はかねてより「Mobili-TはTrue Angleの始まりに過ぎない」としてきた。今回のBrethは、まさに同社の技術とノウハウが応用された製品と言える。
単なるヘルステックカンパニーとしてではなく、ポッドキャストなどの支援活動を通じてイノベーター、ディスラプター、アーリーアダプターなど支援者コミュニティの構築にも努めるTrue Angle。今後も人々の潜在能力を最大限に引き出すことで、人生を楽しむ力を与えたいとしている。
引用元:
True Angle
IndieGoGo
(文・根岸志乃)
- Original:https://techable.jp/archives/231805
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:根岸志乃